アパレル系ブラック企業で体を壊してから見つけた、お金をかけずにおしゃれをする方法

女子SPA!

『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。

◆アパレルのブラック企業で働き、洋服が嫌になったけれど…

あれは二十歳少し前のころのことでしたでしょうか。大人になって、働いて、30歳になったころには、好きな服を好きなだけ買えるようになるに違いないと、漠然(ばくぜん)と思い描いていました。二十歳前の私にとって、30歳は立派な大人で、仕事に就いていれば、そんな他愛(たあい)もない夢など、簡単に叶うものと、疑いもなく信じていました。

ところが現実はそれとは正反対で、30歳になるころの私は、今で言うところのブラック企業にだまされて就職してしまったせいで、好きな服を買えるどころか、健康を維持することも、文化的な生活をすることもままならず、デパートの婦人服売り場でそのブラック企業の生産した衣服を見つけると吐き気を催すほどになっていました。

そんなところで働いてしまった経験から、ほとほと洋服というものが嫌になり、専門学校時代の教科書は資源ごみの日にすべて捨ててみたものの、二年ばかりたったころには、まだ死んでいなかった根っからの服好きの精神がひょっこりと息を吹き返し、おしゃれをしたいけれども、お金もないし、どうしたものかと考えるようになりました。

◆お金をかけずにおしゃれをする方法「チープシック」

そのころ知ったのが、アメリカやヨーロッパには「チープシック」と呼ばれるおしゃれ方法があるということでした。

スポーツウエアやワークウエア、古着を取り入れて、お金をかけずにおしゃれをする方法があるということを知り、これなら私もできそうだわ、これからはチープシックの精神でおしゃれをしていくわ、と心に決めたのが30歳を過ぎたころ。

それからは、既にあるものをリメイクしたり、自分で作ったりと、ありとあらゆるお金をかけない方法を実践するようになりました。その中で私がよくやっていて、今でも続けているのが誰かと洋服をシェアすること、また自分が着なくなった服を交換することです。

◆服は着て初めて、そこに意味が立ち現れる

いくら服をたくさん持っていても、その服を着ないのなら、それは存在しないのと同じこと。

服というものは、誰かが着て初めてそこに意味が立ち現れます。見ているだけ、触っているだけでは、まだそれは単なる品物にすぎません。しかし、その単なる品物に誰かが袖を通し、脚を入れたときに、服そのものにあたかも生命が宿ったかのような瞬間が訪れ、それは時に騎士のように着る人を外敵から守り、道化のように着る人を楽しませ、愛馬のように着る人をどこかへ連れていってくれるものへと変容するのです。

誰かが着ない服があるのなら借りればいい、もしくは私の着ない服と交換してしまえばいい、そう考えて、それ以来、お金があるときもないときも、私はいろいろな人と服をシェアしたり、交換したりを繰り返してきました。

ほとんどの人のクローゼットには、今では着ることのない服が眠っています。問題なのは服をシェアしたり、交換したりする相手がいるかどうかです。

同じような趣味嗜好で、シェアや交換を提案できるほどの仲の良さがあるか、または柔軟な精神の持ち主で、シェアや交換に抵抗がない人が望ましい。

◆シェアや交換でお互いのおしゃれの幅も広がっていった

幸いなことに、そういう人たちが私の周囲にはいつもいました。

特に20代女子とシェアハウスをしていた期間は、お互いのワードローブをシェアするのは当たり前。もう着ないと決めたものは交換、もしくはあげてしまうのは日常茶飯事。そうすればするほど、新たに何かを買わなくても、自分のワードローブは拡大し、おしゃれ心が満たされるだけではなく、お互いのおしゃれの幅も広がっていきました。

今回ご紹介するブラウスも、そんなふうにして仲が良い友人と交換したもの。私が相手に渡したのは、自分に合うと思ったサイズを買ったものの、最近のビッグシルエット流行りのせいもあって、どうにも我慢できないほど大きくて、だんだん着るのが嫌になってきたパンツ。

それに対して私がもらったブラウスは、友人が古着として購入したワンピースを、ウエストからカットしてリメイクしたものの、友人が自分で着るには小さいということでした。私にとっては大き目なパンツと、友達にとっては小さ目なブラウスを交換することで、お互いぴったりのサイズのものが着られるという結果になりました。

◆おしゃれで生活がおびやかされてはいけない

既にあるものをどうしたら着られるか探求し、それでも自分が着られないのなら、誰かと交換したり、あげたりする。持つべきなのは、こんなことが気兼ねなく軽々とできる友達のネットワークでしょう。

いずれにしろ、おしゃれに対する自分の欲求や、周囲からの要望を追求した結果、生活がおびやかされてはいけません。私にとっては安心して生活できることが一番大切。

20代の終わりに私がアパレル業界を通して学んだのは、ゆっくり眠ること、三食きちんと食べられること、休息をとること、それらを捨ててまでおしゃれを優先させてはいけないということでした。

お金がないならないなりに、誰かと服を交換しながら、できることをやっていく。そうすることでワードローブも、人生の幅も広がっていく。そう私は確信しています。

<文/小林直子>

【小林直子】

ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。新刊『わたし史上最高のおしゃれになる!』は発売即重版に

当記事は女子SPA!の提供記事です。