田中圭への愛が爆発した!『ザ・ロストシティ』を吹き替え版で見てほしいワケ

女子SPA!

『ザ・ロストシティ』が2022年6月24日より公開されている。

まず、本作はとても楽しい映画だ。サンドラ・ブロックとチャニング・テイタムが南の島で大冒険!というシンプルな期待に、圧倒的なサービス精神をもって応えてくれる上に、クスクス気兼ねなく笑えるシーンも盛りだくさん、しかも意外な感動も待ち受けているという、優秀なアクションコメディに仕上がっていた。

◆タレント吹き替えへの不安 VS 田中圭への愛

ダニエル・ラドクリフとブラッド・ピットが、良い意味で極端な役で全力を尽くしてくれるのもたまらないものがある。

そして、本作の吹き替えでチャニング・テイタムの声を担当するのは田中圭。彼はこのオファーに対して「メラメラした」「もう一度挑戦したい念願の仕事」など、闘志を燃やすコメントもしていた。

とはいえ、本業声優ではない俳優の起用に不安を覚える人も少なくないだろう。筆者も正直、観る前は「タレント吹き替えを条件反射的に拒絶してしまいがちな映画ファン」VS「田中圭の仕事をなんでも肯定したい田中圭ファン」という相反する心理が拮抗していた。

しかし、本編の吹き替えを観てみれば、田中圭への愛が圧勝したのはもちろん、総合的に良い吹き替えじゃないか!と賞賛できた。特に、田中圭のファンには是が非にでも吹き替え版で観ていただきたい。その具体的な理由を記していこう。

◆カッコ悪くて憎めないチャニング・テイタムの魅力

本作のあらすじは、恋愛小説家のロレッタ(サンドラ・ブロック)が、謎の大富豪フェアファックス(ダニエル・ラドクリフ)に強引に南の島へと連れ去られたため、小説のカバーモデルであるアラン(チャニング・テイタム)が救出に向かう!というシンプルなもの。小難しいところがまったくない、良い意味で気を張らずに観られるポップコーン・ムービーなのだ。

注目は、チャニング・テイタム演じるアランという男が「表面上はセクシーだが、本当はちょっと不器用で情けない」こと。新作小説のプロモーションのため、派手なパフォーマンスでファンの期待に応えようとしているものの、どうにも間が抜けていて、盛大な失敗をしてしまう。はっきり言ってカッコ悪いのだが、愛嬌もあって憎めない。

チャニング・テイタムは筋骨隆々で屈強にも見えるが、『フォックスキャッチャー』(2014)のような悩みを抱えたダウナーな役も似合うし、『21ジャンプストリート』(2011)のようなコミカルな役にもバッチリハマっていた。その資質と俳優としての力が、今回の「パッと見は大人気でセクシーなモデルだけど、けっこうダメな人では?」とじわじわ思わせてくれるキャラクターにも最大限にマッチしていたのだ。

◆冒頭の不意打ちセクシーボイス

そして、筆者は本作の田中圭の吹き替えを、彼への愛を置いておいても、本気で肯定したい。声の演技そのものの上手さと、田中圭自身のチャーミングさが、前述した「けっこうダメな人」的に漂う哀愁とコミカルさが同居している役柄に、大いにマッチしていたからだ。

印象は、田中圭が『総理の夫』(2021)で演じた役にも近い。思いもよらぬ事態に翻弄されまくりだが、愛する妻のために全力で問題に立ち向かうキャラクターは、今回の『ザ・ロストシティ』でさらわれたビジネスパートナーの女性小説家、いや親友のために一生懸命になるチャニング・テイタムに重なった。

しかも、田中圭の「セクシーボイス」を冒頭からいきなり聞くことができるのは完全に不意打ちだった。良い意味で「あっちょっと待って心の準備できてない」と動悸が激しくなった。しかも、劇中のチャニング・テイタムは小説のカバーモデル、いわばビジュアル面での広告塔としての仕事をしているほどの「圧倒的な見た目(肉体)の美しさ」の持ち主。

そこに田中圭のセクシーボイスが憑依したら最強に決まっているし、「田中圭のこの声に脳内変換するから、その小説を今すぐ読ませろ」となる。

◆本当に見たかった、聴きたかった推しの究極合体

物語が進むに連れて、チャニング・テイタムの筋骨隆々の美しき肉体+田中圭のセクシーボイスという最強に思えたキャラクターの物語上での弱さや頼りなさも見えてきて、母性本能がくすぐられる。とんでもない事態に慌てふためく様には萌え萌えになれるし、ギクシャクしていた女性小説家と心を交わす瞬間も訪れる。

なんだこれは、「本当に見たかったチャニング・テイタム」「本当に聴きたかった田中圭」の究極合体ではないか。

なお、その他の俳優陣の吹き替えには、サンドラ・ブロックに本田貴子、ダニエル・ラドクリフに小野賢章、そしてブラッド・ピットに堀内賢雄と、いわゆるフィックス(専属吹き替え)の超豪華なベテラン声優陣が揃っている。

ブラッド・ピットこと堀内賢雄がとんでもない戦闘スキルを発揮し、その活躍に対して嫉妬と戸惑いが入り混じり、しどろもどろになるチャニング・テイタムこと田中圭の演技も見(聴き)どころだろう。

◆賛否両論は免れないかもしれない。だが、それでも…

正直に申し上げておくと、本作の田中圭の吹き替えは賛否両論も免れないだろう。なぜなら、チャニング・テイタムの地声はとても低く、田中圭の若々しい声質とのギャップがあるからだ。そこがずっと気になると、今回の吹き替えそのものを否定的にみてしまうかもしれない。

名誉のために作品名はあげないでおくが、50代の俳優に対して30代の田中圭が声を当てており、田中圭への愛を持ってしても残念ながら肯定できない、ずっと違和感ばかりを覚えてしまった、某怪獣映画の吹き替えも過去にはあった。

その吹き替えでは田中圭自身が「つらい収録でした」などと振り返っていており、実際の本編でも田中圭は声のトーンを俳優に合わせようと努力している、いや無理をしていることが伝わってくるので、聴いているこちらもつらかった。こういう誰も幸せにならないキャスティングミスは、もう金輪際なくなってほしいと心から願う。

だが、今回の『ザ・ロストシティ』はまったく違う。チャニング・テイタムと年齢が近い田中圭が、悔しい思いをした吹き替えへのリベンジ魂を燃やしつつ、伸び伸びと自分の個性を活かし、楽しくアフレコをしているイメージが実際の本編からも伝わってきたのだ。楽しい映画の内容と同様に、推し俳優が楽しく演技をしている、こんなに嬉しいことはないではないか。

◆「本当の自分らしさ」というメッセージも

何より、今回は元来ダウナーかつコミカルな役も似合うチャニング・テイタムと、同様の役をキュートに演じられる田中圭の声の夢のハイブリッドなのだ。

筆者も序盤はチャニング・テイタムらしからぬ声の高さに違和感を覚えてしまったが、次第に慣れてくるだけでなく、田中圭の演技力と声の良さに改めて気づいたし、「表面上はセクシーだけど、実は不器用かつコミカルで、しかも誠実で愛おしい」というキャラクターにはマッチしていたので、「この田中圭の吹き替えでいい、いやこの吹き替え『が』いい!」と、本気で思えてきたのだ。これを見越してキャスティングをしたであろう担当者さんに、今一度お礼を申し上げたい。

もちろん、チャニング・テイタムのもともとの声とのギャップを感じてしまう時点で、これが田中圭の吹き替えのベストとは言わない。もともと特徴的な声を持つ、いや唯一無二とも言ってもいい魅力を持つ人なので、その声に合う役柄をそもそも見つけづらいとも言えるだろう。でも、だからこそ、田中圭のファンとして、俳優としての活躍はもちろん、最良の声の仕事も見つけられることも、願ってやまないのだ。

ちなみに、本作の物語には「本当の自分らしさ」という普遍的に多くの人に響く、尊いメッセージも込められている。単純明快なアクションコメディとして「あー、楽しかった!」で終われるだけでなく、明日の仕事を今よりもちょっぴり頑張れるような、ポジティブな気分になれるのが、もっとも良いところだ。ぜひ田中圭のファンは、吹き替え版で推しの声をプラスして、さらなる明日への活力を得てほしい。

<文/ヒナタカ>

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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