劇場版『からかい上手の高木さん』監督が描く「忘れられない夏休み」

シリーズ累計1100万部を突破した山本崇一朗の大人気コミックを原作にしたアニメシリーズ『からかい上手の高木さん』が、ついに劇場作品となって6月10日(金)より全国公開される。
とある中学校で隣の席になった女子の高木さんに、何かとからかわれる男子中学生・西片。テレビシリーズで三期にわたって繰り広げられてきたそんな二人の胸キュン「からかい」青春バトルもついに大詰め。少しずつ大人の階段をのぼりはじめながら西片と高木さんが繰り広げる、中学校生活最後の夏の行方とは……。
テレビシリーズ全シリーズに続き、劇場版も手掛けることになった赤城博昭監督に、本作の制作秘話や見どころなどについてたっぷりと語ってもらった。


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──まず、劇場版制作が決まった時に感じた率直なお気持ちからお聞かせください。

赤城 最初に考えたのは「何を描いたら劇場まで足を運んでくれたお客さんに喜んでいただけるのかな」ということでした。とてもいい終わり方だったテレビシリーズ第一期のラストを超えようと、第二期、第三期と頑張って作ってきたわけですが、監督としてここまでやらせていただけるとは思っていなかったこともあって、実はプレッシャーだらけの7年間だったりもしたんです(笑)。
でもスタッフたち力を合わせて慣れに驕らず、さらに高みを目指して苦労してきたその結果が今回の劇場版につながっていったわけで、とても嬉しく思いました。

──監督が原作コミックから感じた『からかい上手の高木さん』の魅力とは何ですか。

赤城 学生時代を思い出すようなノスタルジー感と、西片くんと高木さんの間に漂う淡い時間のもどかしさですかね。高木さんのからかいにもドキドキさせられるんですが、そのからかいに翻弄される西片くんにも「頑張れ」と思ってしまう、みたいな。そんなところが僕としてはすごく好きですね。

──劇場版制作にあたっての心構えみたいなものはありましたか。

赤城 本当にてらいなく作ろう、ということですね。ダイナミックな感じの映画ではなく、「西片くんと高木さんの中学生最後の夏」という小さな物語を素敵に描けたらという風に思っていたんです。
併せてテレビシリーズ第三期からの流れの終着点を劇場版で必ず描こう、とも考えていました。そうすると、原作にはない流れになりますので、原作者の山本祟一郎先生に一度おうかがいを立てた上で制作を進めようということになりました。

──山本先生とは、どのようなお話をされたのでしょうか?

赤城 いろんな物語のアイデアをスタッフで出し合ったものを、山本先生に「このシーンは見たいですか?」とジャッジしていただいた感じです。最終的にはいつもどおり「面白かったら何でも構いません」みたいな話にはなったんですけど(笑)。

──監督の中で、テレビシリーズから劇場版まで一貫して守ってきたテーマというのはありますか。

赤城 「高木さんは常に西片くんファーストであれ」ってことですかね。そんな「高木さん目線」をいつも意識しながら二人を描いていってほしい、ということは演出家や脚本家陣には要望してきました。そこはテレビシリーズから劇場版まで一貫して変わっていないところだと思います。

──劇場版制作にあたって、改めて舞台となる小豆島へのロケなどはされましたか。

赤城 はい。島での夏の雰囲気を感じるだけでなく、独特ですごく綺麗な棚田と『八日目の蝉』という映画にも出てきた「虫送り」というお祭を作中で描きたい、という思いがありましたので、脚本が出来上がったくらいのタイミングでロケに行かせてもらいました。

──脚本制作は3人で担当されたようですが、どのような作業分担で進められたのですか。

赤城 まずスタッフを集めていろいろとブレストを重ねまして、そのアイデアを福田裕子さんにまとめてもらってお話の箱書きを作っていただきました。

――「構成」のクレジットがそれに当たるわけですね。

赤城 はい。それをベースにメインストーリーについては福田さんが、三人娘パートについては彼女たちを描くのが上手な加藤還一さん、さらに重要なキャラとなる猫のハナが登場するシーンは、猫好きの伊丹あきさんに書いていただきました。

──今回「劇場版だからあえて挑戦しよう」と狙った部分はありますか。

赤城 今までのアニメシリーズと違うものを目指そう、といったことは考えませんでした。西片くんと高木さん、さらにはミナ&ユカリ&サナエの三人娘や木村、高尾、浜口といった同級生たちも含めたキャラクターたちの、卒業までの限られた時間の中で揺れ動く感情の流れを、最初から最後まで繊細に描いていくことを徹底していった感じです。

──三期のラストで「遂に告白?」みたいな雰囲気になった高木さんと西片くんのその後の関係が見られるということですか?

赤城 はい、もちろんそうです。その流れがあるので、冒頭はすごく悶々とした西片くんが現れます。梶裕貴さんも「なんだか碇シンジくんみたいだな」とか言ってたりしていましたけれど(笑)。二人の心の距離がどう変化していくのか、そして中学最後の夏をどう過ごしていくかに注目してもらえたらと思っています。

──劇場版に合わせて新規に描き下ろしたキャラクターデザインなどはあったりするんでしょうか?

赤城 ペットショップ店員の太田さんという女性キャラクターが登場するのですが、こちらは山本先生にキャラ原案をお願いしまして、それを基にキャラクターデザインの髙野綾さんに新たに描き起こしてもらいました。
あと猫のハナは、伊丹さんに細かい特徴などを書いていただいたものと僕のコンテのイメージ、あと写真を参考にしてもらいながら、髙野さんにデザインしてもらいました。

(C)2022 山本崇一朗・小学館/劇場版からかい上手の高木さん製作委員会

──改めて、西片くんを演じる梶裕貴さんと高木さんを演じる高橋李依さんの印象についてお聞かせください。

赤城 梶さんは「本当に西片くんを演じることが大好きなんだろうな」って常々感じさせてくれるんです。作品への愛情もすごくあって、高木さんとの面倒くさい関係についても「そこを何とかやってくれ」っていう僕からのお願いを受けて見事に演じてくれるんですね。

高橋さんは、実際にはとても元気で溌剌とした女性なのに、全然違う高木さんを演じているのがすごく不思議な感じがしますね。アフレコ中の高橋さんを見ていると、だんだん高木さんに見えてくるくらいに深い演技をされていて。梶さんとの掛け合いも素晴らしくて、今回の劇場版でも安心して収録を見させてもらっていました。

──そんなお二人との、今回の劇場版の収録はいかがでしたか。

赤城 最近はコロナ禍で分散収録をする場合が多いのですが、アニメシリーズでも劇場版でも「この二人については、どうしても一緒にアフレコをしてほしい」とお願いしていました。
これでアフレコも最後ということで寂しい感じもあったのですが、劇場版で梶さんには今までにないチャレンジなどもしてもらっていますので、ぜひ楽しみにしてもらえたらと思っています。

──さらに映像的な見どころ、サウンド面の注目点などありますでしょうか。

赤城 劇場版でも全般的に場面に合わせて音楽を用意するフィルムスコアリング的な作りをしていまして、映画館ならではの大きなスクリーンによる美しい映像とサウンドで作品世界を楽しんでいただくことが出来る作品になりました。
特にアバンタイトルのシーンについては、音響さんとすごく打ち合わせをさせてもらって作り込んだこともあって、自分としても大満足の映像を作ることが出来たと自負していたりもしますので、ぜひ劇場で確認してもらえたらと思います。

──主題歌「はじまりの夏」も、テレビシリーズに続いて大原ゆい子さんが担当されていますね。

赤城 雨上がりの小豆島を舞台に晴れ晴れした夏が始まる、といったとても良い曲を作っていただきました。ちなみに曲の合間に聞こえる波やフェリーの音は、編曲を担当している吉田穣さんが実際に小豆島まで行って収録してきたものだそうです。いつものオープニングよりちょっとだけ背伸びした雰囲気の曲調で、この映画の始まりとしては本当に最高な曲になったんじゃないでしょうか。

──本作は、監督自身にとってどのような位置づけの作品になったと考えていますか。

赤城 『からかい上手の高木さん』という素敵な作品のアニメシリーズを長い時間をかけて手掛けられただけでなく、劇場版まで作らせていただけたことは本当に嬉しい限りです。山本先生やファンの皆さんを喜ばせようと頑張って取り組んできた『高木さん』ですが、僕にとってもこれからのアニメ作りの礎になる作品になったんじゃないかなって思います。今まで本当にありがとうございました。

──最後に、公開を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。

赤城 この映画は中学校卒業を間近に控えた最後の夏休みのエピソードが描かれた作品となっています。きっと西片くんと高木さんの心に、この夏の思い出は深く刻まれていくことになると思いますし、観てくださった皆様の心にも夏の思い出としてずっとあり続けるような映画になってくれたら、という願いを込めて作った作品となりました。映画館に足を運んでいただけたなら嬉しく思います。どうぞお楽しみください!

(C)2022 山本崇一朗・小学館/劇場版からかい上手の高木さん製作委員会

当記事はアニメージュプラスの提供記事です。

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