【高貴】映画『パラダイス・ネクスト』美しさがすべてを覆う

Oh!My!ムービー

台湾の街を彩る濃い青色やハッとするほどの真っ赤、じめじめと湿気がまとわりつくようなそれらの色が、美しい男女をグロテスクに照らし出す。
そこで息をするだけで芸術になってしまうような説得力を持ったキャスト陣による「台湾という物語」は、異国の空気を茶の間床の間に運んできてくれました。

美しい!

社会と一線を引いたようにひっそりと生きる男に、ある日突然ウザ絡みしてくる日本人男性。
「うっひゃっひゃ系妻夫木聡」を堪能できる一品である本作なのです。
たぶんヤバいことやっちゃった人なんだろうが、心底憎みきれないような弱々しさから、つい優しくしてしまいたくなる罪な男であります。
そんな明るいだけが取り柄、もしくはただただウザいが故に追い払うのすらしんどいような男がまとわりつくのは、長身を海風になびかせて台湾の陽射しを受けながら浅黒く日焼けした腕に絵柄を輝かせるTHEトヨエツ。美しく淫らなその存在が台湾の街並みに溶けこんでもう…すごいんだから…。

ただ見つめていたい

音楽を奏でるように、情緒をはらみながら「逃亡」するふたりの男。言葉少なに意思疎通に挑む彼らからは、どうしても悪人らしさを感じられなくて、彼らがどうしてこんなに逃げ続けなければならないのかが気になって仕方ない。
理由を求める観客をたしなめるように、ゆっくりと美しい時は進み、次第に私たちはその時の流れの中へと誘われていきます。

哀しみや後悔は、作品になった途端に美しくなる。どんなに醜い現実も、照明と芝居のマジックにかかれば額に入れて飾っておけるほど価値のあるものになったりもします。

各々の生きざまに

映画のなかで道を踏み外し、どん詰まりでむせび泣いてくれる人物を眺めながら、自分の人生を省みる。私はそうやって多くのことを映画から学ばせていただいてきました。

これからもきっと、映画で人生をかたち作っていくのだと思います。
台湾の奥深い美しさに包まれて、今日も人生について思考した100分でした。ありがたいです。

映画『パラダイス・ネクスト』はDVD他、U-NEXTなど動画サブスクリプションサービスで観られます。
【公開】
2019年
【スタッフ・キャスト】
監督:半野喜弘

脚本:半野喜弘

出演:妻夫木聡
   豊川悦司 他

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ