2年後には免許不要に。賛否両論の“電動キックボード”、シェアサービス事業者の対策は

日刊SPA!

 電動キックボードが議論の対象になっている。3月4日、電動キックボードを免許不要で走行できる道交法改正案が閣議決定された。これにより、最高時速20km/h以下の電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」となる見込みだ。16歳以上であれば、免許がなくても乗ることができる区分である。

しかし、これは非常に危険ではないか? そのような議論が、今もSNSで繰り広げられている。

◆免許不要の「特定小型原動機付自転車」

現状、電動キックボードは「原付扱い」である。出力によって原付一種か原付二種かの違いはあるが、いずれにせよ免許が必要であることに変わりはない。

そして、原付に搭乗する際はヘルメットが必要だ。電動キックボードも、現状ではヘルメットがなければならない。

「あれ? 電動キックボードシェアサービスはノーヘルじゃないの?」という声もあるだろう。現在日本でサービスを展開している電動キックボードシェアサービスは、政府の特例措置の対象である。速度制限は課されるものの、車両区分は小型特殊自動車となるのだ。これは実証実験の側面もある。が、冒頭に述べた通り2年以内に法律そのものが変わる見込みだ。

道交法改正により新設される見込みの特定小型原動機付自転車は、現状原付扱いで最高時速が20km/h以下であればその枠内に区分される。そして注目すべきは、特定小型原動機付自転車に乗るのに免許は不要、ヘルメット着用は「努力義務」とされる点である。

◆ノーナンバーのキックボードも見かけるように

いくら自転車が免許不要の乗り物とはいえ、モーターが搭載されている電動キックボードをそれと同じ扱いにしていいのか? そのような問題提起が、一般人のみならず識者からも挙げられている。

また、現状においても「電動キックボードの乗り方」が問題視されている。

たとえば筆者は静岡県静岡市在住だが、この土地でも電動キックボードに乗る人を見かけるようになった。静岡市は今も電動キックボードシェアサービスは進出していないため、ここで走行している車両は間違いなく個人の所有物。そして、実際問題ノーナンバーやノーヘルメットの電動キックボードが堂々と車道を走っていたりも……。もしも電動キックボードシェアサービスがやって来たら、こうした問題はますます深刻なものになってしまうのでは? 静岡市民からの不安の声があることは否定できない。

◆電動キックボードシェアサービスの見解

電動キックボードシェアサービスの進出都市では、一般利用者が夜の街を飲み歩いた後に車両を借りて帰宅する……ということが相次いでいる。「電動キックボードの飲酒運転」だ。

これは各テレビ局の報道番組でも取り上げられ、SNSでも大きな話題になった。では、シェアサービスの利用者がそのような悪質な運転を行った場合、運営側はどのような対策・措置を施すのか?

今回は東京都渋谷区に本社を置く電動キックボードシェアサービス「LUUP(ループ)」に話を伺った。

◆「一定数のアカウントを停止してきました」

——LUUPの利用者で悪質な運転(信号無視、飲酒運転等)が発覚した場合は、具体的にどのようなペナルティがあるのか?

「初回登録時に、全利用者を対象に交通ルールのテストを受講いただいており、全問正解した方のみが当該電動キックボードをご利用いただけます。それにもかかわらず、電動キックボードの利用において重大な違反行為が、警察等と連携した結果、確認できた悪質な利用者においては、アカウントの無期限停止をしております。実証実験中におけるアカウント凍結は原則的に解除されることはありません」

——今までにそのような利用者(悪質な運転をして何かしらのペナルティを受けた人)はいるのか?

「残念なことではありますが、これまで一定数のアカウントを停止してきました。実証制度下であるため、数については現在非公開となっております」

——プレスリリースで発表された「交通安全講習会」について、都内を除く全国都市でも開催される予定はあるのか?

「LUUPのサービスを展開させていただいているエリア(東京、大阪、横浜、京都)においては順次実施してまいります。将来的にサービス展開エリアが増えましたら、当該エリアにおいても基本的には実施していく考えです」

ここで注目すべきは、最初の質問に対する回答である。重大な違反が発覚した場合はアカウントの無期限停止措置が下され、しかもそれは実証実験中に解除されることはないという。シェアサービス運営者としても、交通違反に対しては厳しい態度で臨んでいるのだ。

また、LUUPは安全講習会の開催にも積極的な姿勢を見せている。今月予定されているLUUPの安全講習会は、以下の通り。

・5月13日 東京ソラマチ

・5月14日 ドックヤードガーデン

それ以外にも全国各都市で同様の催しを実施するということだ。

◆保険会社と共催の安全講習会

なお、この安全講習会は東京海上ホールディングスとの共同開催である。

今年に入り、各損害保険会社が電動キックボード向け保険の開発に踏み切った。保険というものは膨大なデータに基づいて設定額を算出しなければならない。そのような理由から、電動キックボードシェアサービスと連携して日々蓄積される走行データを取得しているのだ。しかし、あまりに事故が多く発生すると保険商品そのものを開発できなくなる可能性もある。

保険会社にとっても、交通事故はないに越したことはない。従って、シェアサービス業者の安全講習会に協力することはむしろ自然の流れとも言える。

そして、こうした催しは今後全国各地で頻繁に開催されるだろうと筆者は予想している。特定小型原動機付自転車に免許は必要ない以上(即ち交通法規を学ぶ機会がない)、それを補完する意図の講習会は積極的に開催せざるを得ないはずだからだ。

電動キックボードは確かに便利な乗り物だが、事故の可能性は常につきまとうということを我々は強く認識しなければならない。

<取材・文/澤田真一>

【澤田真一】

ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ