映画『吟ずる者たち』インタビュー!比嘉愛未「お芝居には正解がないので、とにかくチャレンジし続けるしかないんです」改めて知る俳優業の本質

全国公開中の映画『吟ずる者たち』に主演した人気俳優の比嘉愛未さんにインタビュー! 本作は、日本酒造りが盛んな町、広島を舞台に、東京で夢破れ、故郷広島へ戻った主人公が、家業の酒造りに再び触れることで、本当にやりたかったことを見つけていく人生の物語です。その主人公・永峰明日香を演じた比嘉さんに、撮影のこと、お酒のことなど聞きました!

●今回の作品、撮影が始まる前に俳優として何が一番楽しみでしたか?

油谷誠至監督のチームとまたご一緒できることでした。もちろん初めましての俳優さんたちとのセッションも楽しみだったのですが、以前参加した『飛べダコタ』が本当に素晴らしい撮影チームだったので、早くご一緒したかったです。わたしの撮影期間は2週間ほどでしたが、本当に毎日が楽しくて。「わたしこんなに幸せで本当にありがたいです!」とずっと言っていたような記憶があります(笑)。

●約10年ぶりの再会になりましたか。

監督以下、みなさん巨匠クラスと言いますか、長年その世界で生きている方たちから学べることが、わたしには一番財産になるんですよね。みなさん、こうしろああしろと言わないんです。もうプロフェッショナルな仕事を直接見られることは感謝でしかないですし、毎日が刺激的でした。

●物語は酒蔵が舞台で、酒造りが題材ですが、実際に広島に行かれて、その世界に触れ、思うことはありましたか?

人間的なところですね。受け皿がみなさん深いんです。お弟子さんたちに声を荒げることはなく、温かい愛情で見守り、包んでいる感じを受けました。だから全体の空気感が柔らかくて暖かく、明るくなる。それはわたしたちの仕事でも大切なことで、そうやってわたしは先輩の女優さんたちに育てられて来ましたし、わたしも次世代に受け継いで、そういうことを伝えていかないといけないなと、今回改めて思いました。

●酒造りを通じて、観る人も普遍的なテーマを感じますよね。

そうですね。たとえばわたしの話ですと役者が一番偉いのではなくて、監督、照明、それぞれの部があり、役割が違うだけなんです。そういう風に考えると、人を育てるということ、人を包みこむように育てるということ、親が子を想う愛情ではないですが、それに近いものを感じました。なかなかできないことなのですが、わたしもそうやってひとつひとつの作品を作る時に、そういう気持ちで関わっていけたら、そこでもいい人間関係になれたらなと思いました。もっと深いディープな部分で、そうありたいなと。いつかそういう先輩になれたらなと思います。

●広島でのロケはいかがでしたか?

オール広島ロケでしたので、食べ物の話で言うと、とても美味しくいただいていました(笑)。監督の同級生の方のお店に行って食べたカキフライが衝撃的に美味しくて、もう一度食べたいと思います。人生で一番のカキフライでした。最高の日本酒と最高のコラボレーションでした。

●ちなみにお酒はお好きですか?

一番好きなお酒は、大好きな人たちと美味しいご飯を食べながら、そのご飯に合うお酒を飲むことです。ひとりで飲む時は、今日仕事をすごく頑張ったとか、自分をちょっとほめてあげたい日があるじゃないですか、そういう時ですね。本当に月並みですけれど、そういう時は美味しいお酒を飲み、ご褒美だなと思って飲みます。

●この作品はお酒造りが天職になる女性の物語ですが、天職と感じる瞬間はありますか?

わたしにはまだないですね(笑)。好きは好きですが、自分で天職とは言い切れないですかね。それは客観的に観ていただくものでもあり、作ったものが届けられていないと意味がないと思うんです。広島では先行で上映していましたが、このコロナ禍で上映できると決まって届けられると決まった時は、やってよかったなと思いますね。作って終わりでは自己満足なので、そうではなくて、作ったものが無事に届けられたことで感じる人の温もり、想いを感じられた時が、とても幸せだなと思います。

●また劇中には、酒造りを百回試して、千回改める「百試千改」という言葉が出てきますが、何度も試して改善するという心構えはお芝居に共通しますか?

そうですね。本当に素敵な言葉です。お芝居には正解がないと思っているので、とにかくチャレンジし続けるしかないんです。仙三郎(中村俊介)さんは、本当に日本男児で武士のような方だなと思うのですが、見習うことがたくさんあります。みなさんが今、コロナ禍で落ちてしまっているかも知れないですが、それだからこそその精神で学び、日本人ってもっと強いはずだよね、と思いますよね。

●今日はありがとうございました!最後にメッセージをお願いします。

近年少なくなってしまった、邦画らしい邦画が出来上がったと思っております。誰もが日本酒を嗜まれたことはあると思うのですが、作ることがこれほどまでに大変であるということ、その忍耐を含めて、みなさんの努力があって、わたしたちは美味しいものを今、いただけていることをこの映画を通して体験してほしいです。

(執筆/takashi.tokita_tokyo)https://www.instagram.com/takashi.tokita_tokyo/

全国順次、絶賛上映中
出演:比嘉愛未/中村俊介ほか
監督:油谷誠至
配給:ヴァンブック
(C) 2021ヴァンブック

WRITER

  • takashi.tokita_tokyo
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  • 「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。映画とディズニー(主にパーク関連)をメインによく取材しているが、パリとクルーズが未体験なことはナイショです。また、ディズニー好きが集まって、あることないことを語り尽くす無害なポッドキャスト「田組fm」が、SpotifyやApple Podcastなどで配信中。

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