言われていたら勝ち確です。男の言葉に隠れた「本心」とは
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現在上映中の『ハウス・オブ・グッチ』の監督は、御年84歳のリドリー・スコット。かれこれ50年近く映画業界で活躍しているもはや超人です。
これまでも『エイリアン』や『グラディエーター』、『オデッセイ』などSFや歴史映画を数多く撮ってきました。
そんなリドリー・スコット監督の映画『最後の決闘裁判』のご紹介です。
14世紀のフランスで性的暴行を受けた騎士の妻が、その事実を告発する物語。被害を受けたと主張するマルグリット(ジョディ・カマー)と、告発された人物の主張は食い違い、目撃者もいない。そのため真相は、夫と被告による生死を賭けた“決闘裁判”に委ねられました。
女性の意思など関係なく政略結婚させられていた時代。自分の尊厳のために声をあげたマルグリットの告発は、並大抵の覚悟ではできなかったと思います。しかしながら告発した後のマルグリットへの周囲の反応もまた、現代の状況から見ても容易に想像ができてしまうのでなんとも居たたまれなくなりました。
そして驚きなのが、決闘裁判は実際に行われていた方法だったということ。中世ヨーロッパでは証人や証拠が不足した場合に、原告と被告が決闘を行う“決闘裁判”が制度化されていたのです。「神は正しい者に味方をする」というキリスト教の信仰が背景にあったそうなのですが、正直「嘘でしょ?」と思いました。
命をかけて真実を暴くなんて、むごすぎますよね。しかも、勝者が正しいとも限りません。それを「どっちが勝つのかな?」と指をくわえて見ていた群衆の表情を想像するだけでも恐ろしいです。地位や名誉、愛など、何かを守ろうとした時の人間の“そこはかとない怖さ”を感じました。
エリック・ジェイガーの『決闘裁判 世界を変えた法廷スキャンダル』を基に描かれた本作。脚本は、ニコール・ホロフセナー、そして『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』でもコンビを組んだマット・デイモンとベン・アフレックが共同で脚本を担当。マットとベンはキャストとしても共演しています。
そして特筆すべきは、80代でもなお精力的に作品を世に送りだしている監督の存在です。最後の決闘シーンは壮大なスケールで描かれていて、思わず息をのむほどの迫力。80代でこんな荒々しい映像が撮れるなんて、やっぱりリドリー・スコットは超人です。
しかしながら、マット・デイモンとベン・アフレックに加え、アダム・ドライバー、そしてジョディ・カマーといった豪華キャストを迎えながらも興行的に今一つだったのは残念な点。153分という長尺も原因の一つかもしれませんが、古城の厳かな映像美や構成の秀逸さ、そして史実に基づいている点は一見の価値があると思います。
【公開】 2021年
【キャスト・スタッフ】
監 督:リドリー・スコット
脚 本:ニコール・ホロフセナー
ベン・アフレック
マット・デイモン
出 演:マット・デイモン
アダム・ドライバー
ジョディ・カマー
ベン・アフレック 他