1年間作品を育てていく、新国立劇場の「こつこつプロジェクト」 第二期2nd試演会が終了

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新国立劇場が行っている「こつこつプロジェクトーディベロップメントー」。2021年4月より始動した第二期が進行中だ。この度、7~8月の1st試演会を経て、10~12月に2nd試演会を終えた3名の演出家のコメントが届いた。

「こつこつプロジェクト」とは、小川絵梨子芸術監督が、就任とともに打ち出した支柱のひとつ、「演劇システムの実験と開拓」として、一年間、3~4か月ごとに試演を重ね、その都度、演出家と芸術監督、制作スタッフが協議を重ね、上演作品がどの方向に育っていくのか、またその方向性が妥当なのか、そしてその先の展望にどのような可能性が待っているのかを見極めていくプロジェクトだ。

プロジェクトでは、時間に追われない稽古のなかで、作り手の全員が問題意識を共有し、作品への理解を深め、舞台芸術の奥深い豊かさを一人でも多くの観客の方々に伝えられる公演となることを目標としている。

福山桜子 (『7ストーリーズ』) コメント

『7ストーリーズ』2nd
『7ストーリーズ』2nd

4月からの“こつこつ”で、脚本解釈やキャラクターの読み込みがだいぶ進み、通常ではなかなか時間の取れない「必要過去」(桜子WSエクササイズ)というお稽古などを取り入れました。これは、キャラクターが物語の中で取る行動に対し「こういう過去があったから、この言葉が出てくる」の「こういう過去」の部分を条件付きのインプロビゼーション(即興劇)でやるというものです。それから「台詞を入れていない状態」で場面をやっていく稽古。もちろん出演者には前もって告知せず「今日はこの場面やります、台本持たないで」と突然始まります。無理にストーリーを進めてはいけない。本当に考えていること以外言ってはいけない。登場人物の目的が本当にクリアで、しっかり役者に落ちていないと堂々巡りになりますが、さすが、こつこつ。「まだ埋まっていないところ」を発見しつつも、それぞれのキャラクターが染み込んでいるのでスリリングで有意義な時間でした。1月からはついに台詞を入れての立ち稽古。「伝えることをクリアにして、うねりを創っていく」段階に入ります。登場人物たちのリアルな生き様が浮かび上がっていくのが、とてもとても楽しみです。

船岩祐太 (『テーバイ』) コメント

『テーバイ』2nd
『テーバイ』2nd

2ndでは、1stで産まれた『台本』を立ち上げ、稽古場での試演の為に一旦パッケージし、試演の参加者と共に作品全体の方向性を検証した。3rdではこのプロセスで得た経験を基に1から作品を組み立てる予定だが、仮組ながら一度全編を『観客』に晒した事により、作品は新たな強度を獲得するはずだ。『時間に追われない』作品創りは想像していた以上にある種の緊張感を孕んでいた。普段時間に追われ犠牲にしてきた事に向き合った結果、『何故これを演るのか?』『作品が成立するとは何か?』といった根源的な問いがいつも稽古場を襲うからだ。今はこうした問いの答えを一つ一つ丁寧に探していく程に作品の体重のような物が増すのではないかと信じている。

柳沼昭徳 (『夜の道づれ』) コメント

『夜の道づれ』2nd
『夜の道づれ』2nd

「今をいかに人間らしく生きるのか」というテーゼをはらむ三好十郎作品。その普遍性は今日の上演機会の多さを見れば明らかですが、大戦後まもない頃、偶然出会った中年男性二人が夜の甲州街道をただ歩く『夜の道づれ』では、複雑な人物設定や物語の展開といった演劇的要素が少ないかわりに、執拗といっていいほどの会話を通じて、人間とはなにかという命題が問われています。

2ndでは作品全編の試演を目標に、1stに引き続きディスカッションを重ねつつ、3週間に渡り現代における受容点を検証しました。収穫としては、本作の大きな特徴である「歩く」という身体を、舞台上のもうひとつの言語として扱う演出を試行錯誤のなか導けたことは3rdへの大きな足がかりとなりました。

当記事はSPICEの提供記事です。

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