伊藤美紀×植田佳奈が語る『マリア様がみてる』と出会えた喜び

今だから観たいゼロ年代に人気を博したアニメ作品をピックアップしていく、U-NEXTによる名作アニメとの「再会」プロジェクト『THE PLAYBACK』。出演キャストと共に懐かしの作品を振り返り、その魅力に改めて迫っていく。
第1弾のタイトルは『マリア様がみてる』。主役の福沢祐巳を演じた植田佳奈さん、そして祐巳の一番親愛な上級生・小笠原祥子を演じた伊藤美紀さんによる、久々の「紅薔薇姉妹」トークが実現。後編は二人の実際の学生時代の話や当時のアフレコ現場の様子など、さらに踏み込んだエピソードが語られていきます(全2回)。

>>>『THE PLAYBACK』トーク時の伊藤美紀さん、植田佳奈さんを見る(写真8点)

▲(左から)『THE PLAYBACK』より伊藤美紀さん、植田佳奈さんの対談の様子。

──先ほど話に出た、祥子様の意外に庶民の常識を知らない「ボケ」の面を演じる時は、普段の凛とした時とのギャップは意識されていたんですか?

伊藤 そこで声のトーンとかを意識して変えたりしていたことは、まずないです。やっぱりその時の雰囲気と、祐巳とのやりとりの中での自然体という感じですね。なるべく作らずに……そうやって出てきた「芝居」です。

その状況を理解して「私はお嬢様だから、こんなところに足を踏み入れたことはない。でも祐巳が連れてきてくれたところだから、興味もあるし、絶対楽しいところに違いない!」っていう感覚に自分自身がなる、みたいな。作ろうとしてではなく、その場で自然に出てきた感じなんです。

──ああいうシーンでの祥子様は、グッと柔らかくて可愛らしい部分が芝居としても顔をのぞかせる感じがしたので、ギャップ感を意識されていたのかと思っていました。

伊藤 とにかく自分の知らない世界に連れてこられたから、頼りになるのは祐巳しかいない! そういう感じかなぁ?

植田 誰からも愛されて育った感じでしょうか。あれは天性のものなので、そこにすごく憧れます。
祐巳がいるだけで、なんだかホッとするんですよね。ひときわ明るいわけでもないし、ものすごく包容力が高いわけでもない。そんなに特徴らしいものがない、本当に「普通」っていう言葉が似合う子なのに、なぜこんなにも魅力的なんだろう? っていうのは、昔からものすごく羨ましかったです。

だから、最初に祐巳が祥子様の妹になるかもしれないとなった時に、同学年の1年生の子たちが「なんであの子が?」みたいに……やっかみに近いような感じで不思議に思われたんだろうなって。

──ですが、2年生の時のバレンタインの話では「祐巳様には隠れファンが多い」と言われていましたよね。

植田 そうなんですよ。そんな周りをホッとさせる祐巳の不思議な魅力には、でも山百合会のみんなは最初から気がついているんですよね。志麻子さんは序盤に「祥子様の妹は、祐巳さんしかいない」みたいな話をしてくれていたりとか。そういう不思議な魅力に憧れます。

(C)今野緒雪/集英社・山百合会

──伊藤さんから見ての、祥子様に憧れるところは?

伊藤 女性なら、一度はああいう立場になってみたいと思いますよね。一生続けるのは、ちょっと厳しいかもしれないですけど(笑)。一年間くらいだったら、あんな人生を送ってみたいですよね? きっと楽しいだろうなって。

植田 (笑)

伊藤 そういうところかなぁ?

──演じている中で、リリアン女学院というか山百合会のような環境自体にも憧れを感じたりはしましたか?

植田 私は元々宝塚に行きたかった人なので、ああいう「女性の園」みたいな世界はメチャメチャ憧れでした。宝塚も、どちらかと言えば先輩方=お姉様の世界なので。だから『マリア様』の出演が決まった時はとにかく嬉しかったです。

──ちょっと、その疑似体験ができたみたいな感じですか?

植田 そうです。まさに疑似体験でした。

伊藤 私はずっと共学校で学んできましたので、新たなる世界に飛び込んだような感じでしたね。実際はどうなのかは分からないですけど、女子高ってきっとこういう感じなのかなぁ? って思いながら楽しんでました。

──お二人の高校時代の想い出みたいなものを伺いたいのですが。

伊藤 もう私はちょっと昔過ぎて……ここはパスと言うことで(笑)。

植田 高校ではないんですけど、私の通っていた大学が実はリリアンみたいなお嬢様学校っぽい空気だったんですよ。
それこそリリアンにあるような銀杏並木が校内にあって。それからグラウンドの周りを桜の木が囲んでいるんですけど、そこでみんなで座ってピクニックしたり……そういうのは、アニメでも志麻子さんと由乃さんとでやったなぁ、とか。

今でも私は銀杏並木が大好きで、銀杏を見ると「志麻子さんが銀杏を拾ってそうだなぁ」って思ったり(笑)。
▲『THE PLAYBACK』より、植田佳奈さん。

伊藤 私も思う~(笑)。銀杏と百合根を見ると、志麻子さんを思い出す(笑)。

──植田さんにとっての初の座長(主役)を務めた作品は『マリア様』になるんですか?

植田 たぶんそうだったと思います。確か、お姉様の婚約者・柏木優さん役の檜山修之さんから、1期の打ち入りで「主役にとって大事なことって、分かる?」と言われたんです。

伊藤 うんうん。

植田 その時の私は「しっかりお芝居すること」みたいな、今思えばもうありがちなことを答えたんですよ。若かったなぁって思うんですけど(笑)。そうしたら檜山さんは「それは当たり前のことで、主役=座長に一番必要なことは、現場の空気を作ることなんだよ」って。

主役とはいえ新人が現場を引っ張っていくというのが、当時の自分には考えられなくて。実際に現場ではお姉様(伊藤さん)や蓉子様(篠原恵美さん)がすごく引っ張ってくれていたんです。そして聖様(豊口めぐみさん)がムードメーカーになってくれていて。

その上で、「自分はどう空気を作っていったら良いのか?」となった時に、檜山さんから「色々な人の架け橋になれよ。ゲストとかで来た人間がその作品を好きにさせるのが、主役やレギュラーキャストの役目なんだよ」って言って下さったのが、すごく印象に残っていて。

だから私が主役をやらせてもらえる時には、新人さんが現場に初めて来た時に、溶け込みやすくなるように促してあげたり……例えば「アフレコの後みんなで食事に行くけど、一緒にどう?」とか。「若手はあまり知らないわ」みたいなベテランの方がいらした時には、すごく積極的に話しかけるようにもなりました。

誕生日とかのお祝い事があった時には、キャストだけじゃなくてスタッフさんも一緒にワイワイできるような場を作れるように、自分から動いたりとか。そういうことをするようになった切っ掛けの一言でした。

──お姉様である伊藤さんからご覧になって、そういう空気は作れていた感じがしましたか(笑)?

植田 ウフフフ。

伊藤 当時ですか? いやぁ、とにかく私は最初から祐巳(植田さん)を贔屓していたから(笑)。

植田 そうなんですよ! なんでも肯定して下さるんです。そこが逆に受け入れてもらっていることなのかな? って思うんですけど。

伊藤 でも、これほどまでに素敵な作品に仕上がって、みんなの仲が良くなったということは、ちゃんと祐巳ちゃん(植田さん)が、そこはしっかり架け橋になれていたからだったと思います(キッパリ)。

植田 いやぁ(照れ)?

(C)今野緒雪/集英社・山百合会

──当初は1期の1クールだけでのスタートだったと思うのですが、すごく息の長いシリーズになりました。

植田 『マリア様』は1クール単位で全4期でしたけど、アニメと並行してドラマCDもすごくたくさん、しっかりと作って頂いてたんですよ。それも合わせるとそれこそ4クール分以上やっていたなぁという感じがしてました。

──それだけ長く続いてくれたことは、やはり嬉しいですか?

植田 ええ、嬉しいです。

伊藤 自分の好きな作品が、観て下さる方が応援して下さって、その結果として続いていく。それはこの仕事をしていて最高の喜びですよね。本当に嬉しいことです。

──お二人のキャリアに於いて『マリア様』は、どのような作品になりますか?

植田 難しい質問ですね。お姉様(伊藤さん)は、パッと浮かびます?

伊藤 そうね……まず、作品自体は本当に「私の宝物」と一言で言えるんですけど、キャリアの中でいくと、私生活の話になって恐縮なのですが、子供を産んで少し仕事をセーブしていた時期があったんです。それが娘が小学校に上がった時に、またセーブすることなくお仕事を受けるようにしたんですね。

でももしかしたら、仕事を自分の意志で減らしていたので、今後は細々と声優を続けていく形になるかもしれないなって。そう考えてもいた時期に、思いがけず頂けた大きなお仕事だったんです。だからその意味では「第2の声優人生のスタート」みたいな作品なんですよ、実は。
▲『THE PLAYBACK』より、伊藤美紀さん。

植田 とにかく私の最初の代表作は、やっぱり『マリア様』だと思っているんです。これで私を知って下さった方は、すごくたくさんいて。そういうみなさんに知って頂けた作品が長く続いていたことは、私の中でも絶対に忘れられない、人から「代表作は何ですか?」と訊かれたら真っ先に名前が挙がる作品ですね。

──この作品に出会えて良かったことは?

植田 それはもういっぱいありすぎて、「全て!」って言いたいところなんですけど(笑)。その中でも、お姉様(伊藤さん)をはじめとして最高のキャストに出会えたことがあると思います。

『マリア様』という作品に出会えたこと自体が一番良かったことではあるんですけど、こんなにもキャラクターとキャストがリンクした作品はなかなかないですし。さらに『マリア様』のキャストのみんながこの作品を愛していて。未だ似合うと、すぐにその当時の空気に戻れるっていうのは、本当にこの作品ならではなんです。そうしたキャストのみんなとの出会いが、一番良かったことですね。

伊藤 まず、今野緒雪先生がこの作品を書いて下さったことに、本当にありがとうございますって言いたいです。そこから始まりますね。

作品のストーリーも大好きだし、今まさに祐巳(植田さん)が言ってくれたように、キャラとキャストの最高の組み合わせで。しかもあれだけみんなで一致団結して一つの方向に向かって、作品を作り上げていけたこと。全てが上手く行った作品だなぁと思うんです。

ですから私も「これ」と絞れないくらい「良かったこと」があります。音楽も含めた画面の雰囲気もとても素晴らしい仕上がりですから。本当に「全て」です。

(C)今野緒雪/集英社・山百合会

当記事はアニメージュプラスの提供記事です。

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