<ライブレポート>LAMP IN TERREN、どこまでも“今”を映し出した初のホールワンマン

Billboard JAPAN



 LAMP IN TERRENが、15周年を記念したワンマンライブ【Branch】の東京公演を11月13日、日本青年館にて開催した。

バンド結成15周年を記念し、地元・長崎と東京の2か所で開催された今回の特別ワンマン。記念公演らしくセットリストは新旧織り交ぜた構成になるのか、また東京公演は自身初となるホールでのワンマンライブともあり、日ごろライブハウスで腕を磨いてきた彼らがどんなプレイをするのか、開演前から期待が高まる。

ライブは、9月にリリースされたばかりの最新曲「ニューワールド・ガイダンス」からスタートした。メランコリーなギターのアルペジオから、松本大(Vo./Gt.)の慎重な歌声が響き渡ると、会場中に緊張感が漂う。曲が後半に向かうにつれて演奏は徐々に熱を帯びていき、同時にスタンドマイクからハンドマイクに切り替えた松本が、ステージ後方の大きな階段状のセットを上っていく。この階段セットは、後に「月のこどもたち」や「New Clothes」でも印象的に使われ、階段を自由に上り下りするメンバーたちが、楽曲内のテンションの起伏を視覚的に表しているようにも見えた。

セットリストの前半は、「ランデヴー」など疾走感のあるロックバンド然とした楽曲と、「heartbeat」「緑閃光」といった広々としたサウンドがホール映えする楽曲が続く。どの曲にも通じて感じられるのは、胸をすくような清々しさ。「Enchanté」のメロディアスなベースラインも、「innocence」の気持ちを掻き立てる力強いビートも、「Water Lily」の流れるようなギターソロも、ホールの環境で聴くとその感慨もひとしおだ。また演奏中、メンバーが表情や手振りでオーディエンスと積極的にコミュニケーションを取っている姿も印象的で、どんなに会場が大きくなろうとも、むしろ大きくなったからこそ、客席にいる一人ひとりに自分たちの曲を届けようとする気概が伝わってきた。

さらに、この日のテレンからは、いつにも増して"ありのままの状態"で演奏に臨んでいるような雰囲気が感じられた。特に「BABY STEP」の落ちサビで松本がマイクを通さず歌声を届けたのは象徴的だった。後のMCで松本が「俺はロックバンドをやりたい。ロックバンドは生き様だと思うから、ステージでは嘘をつかない」と語っていたことにも通じるが、彼らのライブはとにかくプリミティブだ。ただそれは衝動的に楽器を鳴らしているという意味ではなく、ステージ上での立ち振る舞いがごくごく自然だということ。鳴らしている人と鳴っている音に乖離がない、と言ってもいい。それが15年間の賜物なのかはわからないけれど、他のバンドにはない稀有な魅力であることは確かだ。

「風と船」「月のこどもたち」「Fragile」とバラードが続いた後は、「New Clothes」を投下。落ち着いた雰囲気の序盤から、EDMで言うドロップのようなセクションで一気に会場のテンションを引っ張り上げていく。2番に入ると、それまでピアノを弾くために離れた場所で演奏していた松本がセンターに戻り、3曲ぶりに4人がステージの中央に集まってラストのサビに突入する。鳴っている音はずっと4人の音だったが、ここで改めて完全体のロックバンド=LAMP IN TERRRENになったような感覚があり、さらにテンションが高まる。

ここから「涙星群の夜」、そして「地球儀」へと至る流れは、ロックバンド=LAMP IN TERRRENを体感するには完璧なセットリストだった。「地球儀」が始まると自然にクラップが巻き起こり、イントロではオーディエンスのジャンプによって床が大きく揺れるのを感じた。この時点で会場のムードは完全に出来上がっており、松本も間奏で客席を見ながら「15年やってきたご褒美って感じです。今めちゃくちゃハッピーです!」と叫ぶほど。その後の「multiverse」でも、多幸感溢れるコーラスが会場を包み込んだ。

この日最後のMCでは、松本がこの15年間を「しんどい時もあった」と振り返る。それを踏まえ、「色々悩んできたけど、それで良かったんじゃないかなって最近は思います。みなさんがどんな未来を選んでいこうと、何でもいいと俺は思う。意味を持てるのは自分だけ。誰にも決められない」と、オーディエンスに語りかけた。

「今が一番生きてる。生きてるって表現することはすごく難しい。でも俺は選んだ。俺がここにいる証」――そう言ってバンドがラストソングに選んだのは「EYE」だった。今にも壊れそうなくらい全身全霊で歌い上げる松本と、それを支えるようにどっしりと演奏に集中する大屋真太郎(Gt.)、中原健仁(Ba.)、川口大喜(Dr.)。「New Clothes」から「multiverse」までにあったムードが"ステージと客席が一体となった多幸感"だったとしたら、「EYE」には"この会場に集まった一人ひとりがその人であることを祝福するような多幸感"があったと思う。

アンコールでは、2015年リリースの「メイ」と、12月8日に配信リリースされるEP『A Dream Of Dreams』より新曲「カームダウン」を披露し、この日のライブは締めくくられた。セットリスト的にはバンドのこれまでの歩みを凝縮したような構成だったが、その内実は、LAMP IN TERRENの"今"をどこまでも映し出したライブだった。今日と同じ日はもう二度と来ない。だからこそ尊い。そんな当たり前すぎて忘れていたことを、この日、LAMP IN TERRENは思い出させてくれた。

Photo:浜野カズシ

◎ライブ情報
【Branch】
2021年11月13日(土)
東京・日本青年館ホール
<セットリスト>
01. ニューワールド・ガイダンス
02. Enchanté
03. ランデヴー
04. innocence
05. heartbeat
06. 緑閃光
07. Water Lily
08. 心身二元論
09. 花と詩人
10. BABY STEP
11. 風と船
12. 月のこどもたち
13. Fragile
14. New Clothes
15. 涙星群の夜
16. 地球儀
17. multiverse
18. EYE
EN1. メイ
EN2. カームダウン

◎リリース情報
『A Dream Of Dreams』
2021/12/08 配信スタート
<収録曲>
M1 カームダウン
M2 心身二元論
M3 ニューワールド・ガイダンス

◎公演情報
LAMP IN TERREN One-Man Live 2021
【A Dream Of Dreams】
2021年12月28日(火) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
OPEN:18:00 / START:19:00
※開催時間は全て予定。新型コロナウイルス感染拡大状況によって変更となる可能性があります。
チケット:前売4,500円(+1D)※当日券未定

当記事はBillboard JAPANの提供記事です。

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