【隅々まで美しい】映画『モロッコ、彼女たちの朝』女性たちが直面する苦悩

Oh!My!ムービー

美しいモロッコの街並みが印象的なモロッコ映画をご紹介。モロッコ製作の長編劇映画としては、日本初の劇場公開となった本作。カサブランカの旧市街にある小さなパン屋が舞台となり、そこで出会うはずのなかった二人の女性が新たな人生を歩んでいく物語です。

映画『モロッコ、彼女たちの朝』のあらすじ

美容師のサミア(ニスリン・エラディ)は臨月のお腹を抱え、仕事と寝る場所を探していました。イスラームの国、モロッコでは未婚の出産はタブー視されています。婚外交渉が罪とされ、中絶も合法ではないモロッコの地で、サミアは路上で眠りにつきます。そんな苦境を見かねて家に招き入れたのは、シングルマザーのアブラ(ルブナ・アザバル)でした。

アブラは夫に先立たれ、小さなパン屋を営みながら、女手一つで明るく素直な一人娘・ワルダ(ドゥア・ベルハウダ)を育てていました。未亡人のアブラに対する周囲の目もまた厳しいものがあったのです。周囲に溶け込むような地味な服をまとい、感情を露にすることもなく禁欲的な生活を送っていたアブラにとって、サミアを保護することは容易いことではありませんでした。「生きづらさ」を抱えた2人の女性たちは、日々の生活を共にするうちに互いを理解し合い、自分を見つめ直していきます。

モロッコの女性が直面する苦悩

女性の社会的地位がまだまだ低いモロッコで、アブラとサミアのように生きづらさを抱えている女性は多いと言われています。マリヤム・トゥザニ監督が、以前家族で世話をした未婚の妊婦との思い出を基に描かれたという本作。その妊婦は、妊娠がわかった途端、結婚を約束していた男性に逃げられ、親友や家族にも打ち明けられず一人遠く離れた地で出産を決意したそう。出産後は、養子に出して“普通”の生活に戻ろうと考えていたようです。

そうせざるを得なかったのは、必ずしも生きやすい社会とはいえないモロッコの社会的背景が原因ともいえます。しかしこの作品は、アブラやサミアが被害者のようには描かれていません。自分たちで未来を切り開いていく姿が描かれているのです。

宗教上の理由から、最愛の夫の遺体に触ることすら許されなかった無念さを抱き続けるアブラ。周囲から心ない言葉をかけられても動じない、タフで真っ直ぐなサミア。2人の女性の目にうつる景色や感情の揺らぎが、ありのまま静かに流れていきます。彼女たちの未来が少しでも光に包まれていてほしいと願わずにはいられない作品です。

【公開】 2021年
【キャスト・スタッフ】
監督・脚本:マリヤム・トゥザニ
出   演:ルブナ・アザバル
      ニスリン・エラディ
      ドゥア・ベルハウダ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ