伝記コーナーで遭遇した「意外すぎる人物」が話題 まさかその地位にいるとは…

しらべぇ


「偉人」と呼ばれる人々に関する知識を深める際、頼りになるのが伝記。小学校の図書室にて、いわゆる「伝記漫画」シリーズを読破し、先人たちの努力や功績に胸を熱くした経験のある人も多いことだろう。

現在ツイッター上では、そうした偉人たちと肩を並べる「意外な存在」に注目が集まっているのをご存知だろうか。

【話題のツイート】この並びは確かに意外すぎる…

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■歴史に名を残す人物らの間に…


今回大きな話題となったのは、ツイッターユーザーのPM-103さんが投稿した一件のツイート。

投稿には「え、くまモンその地位に居るのか…」と、何やら意味深な一文がつづられており、添えられた写真を見ると、そこには源頼朝、豊臣秀吉、徳川家康など、歴史の教科書にも載る偉人たちの「学習まんが」が並ぶ、書店の本棚の様子が。



いずれも「教科書の常連」とも呼ぶべき錚々たる布陣なのだが…そこには、熊本県PRキャラクターである「くまモン」の学習まんがが、しれっと混じっていたのだ。

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■「かなりシリアス」なのが良い


天下統一を果たした豊臣秀吉、江戸幕府を開いた徳川家康など、こうした「学習まんが」にてフォーカスされる人々は何らかの大きな功績を残しているものだが…そうした観点から見ると、なぜくまモンがここに…? と首を傾げてしまう。というか、そもそも人ですらないのでは…。

件のツイートは投稿からわずか数日で1.5万件以上ものRTを記録しており、他のユーザーからは「くまモンって歴史上の偉人だったのか…」「コラかと思ったら、ガチで出版されてた」「これマジですか?」「次世代のリーダーだったとは」など、驚きの声が続出している。

一方で、同書を読んだ経験のある人々からは「内容は東日本・熊本両地震がありましたので、かなりシリアスです。出生に関して子供だましの茶番を一切排している点も良いです」といった絶賛のリプライも寄せられており、「伝記」としてのクオリティはかなり高いようだ。



そこで記者は今回、件の「学習まんが」シリーズを発刊する「小学館」ならびに、熊本県の「くまモングループ」に、詳しい話を尋ねてみることに。すると、くまモンが「学習まんが」として登場するまでに至った、様々なエピソードが明らかになったのだ。

■「学習まんが」にそんなコンセプトが…




小学館の「学習まんが」シリーズの記念すべき第一弾が発刊されたのは、今から40年以上前の1979年のこと。



現在でも同社の人気コンテンツの一つで、『ドラえもん』や『名探偵コナン』といった人気作品のキャラクターが作中に登場し、子供たちに学ぶことの楽しさを教えてくれている。



しかし「キャラクターがことわざ辞典に登場する」のと、「キャラクターが主役の伝記が発刊される」のとでは、意味合いが全く違うのは確かである。

そこで、まずは「学習まんが」シリーズを担当する部署の代表者に、「学習まんが」のコンセプトについて尋ねることに。



察しのいい読者ならば既にお気づきかもしれないが、今回話題となったツイートの写真を見ると、背表紙にバラ付きが見られるのだ。例えば『徳川家康』の本には「学習まんが人物館」と書かれている一方で、『くまモン』の方には「学習まんが」としか書かれていない。

これにはいくつか理由があり、例えば「学習まんが人物館」シリーズは基本的に「既に亡くなっている人物」が収録され、「学習まんが」シリーズでは「スペシャル」枠として、元プロ野球選手の松井秀喜氏や、大人気ゲームソフト『ポケットモンスター』シリーズの生みの親として知られる田尻智氏など、存命の人物が収録されるという。



これらのシリーズに選出される人物の「基準」について尋ねると、小学館からは「発刊当初は、歴史上の偉人・武将・発明家・音楽家といった人物を取り上げることが多かったですね」「しかし子供たちにとっての『偉人』のイメージは時代と共に変わるため、近年ではスティーブ・ジョブズさんや田尻智さんといった具合に、様々な人物に焦点を当てた作品を発刊しております」という回答が返ってきた。

他にも「大河ドラマの主人公となった人物」のように、親子共に読んでいて楽しめるような人物がフォーカスされる傾向もあるようだ。

■「なぜくまモン?」は社内でも…


しかし話を聞けば聞くほど、「なぜその中にくまモンが?」という疑念が強まっていくのも事実。

学習まんが『くまモン』が発刊されたのは2018年7月27日のことで、企画の上がった2017年当時は小学館内でも「偉人の範疇に入らないだろう」「そもそも人ではないだろう」といった意見がみられたそう。



だが、件の学習まんがシリーズには「子供たちに夢と希望を与える存在」を選出するというポリシーがあり、そうした観点から見ると、熊本県を襲った大地震の後に精力的な活動を行なってきたくまモンは、「完成されたキャラクター」というだけでなく、「人を思いやる心や、実践する勇気を子供たちに届けられる存在」であることに気付かされる。



そこで、小学館が熊本県「くまモングループ」に企画を打診し、今回話題となった学習まんが『くまモン』が発刊される運びとなったのだ。

■シリアスな部分を濁さない内容に…


学習まんが『くまモン』では、2010年のくまモン誕生から、2016年に発生した「熊本地震」後の活動にフォーカスされた内容が展開される。
((C)2010 kumamoto pref.kumamon)
「ゆるキャラグランプリ2011」での堂々たる優勝を経て、現在では世界中の人々から愛される存在となったくまモンだが、そこまでの道のりは決して順調なものでなく、公の場にデビューすることとなった2010年の「くまもとサプライズin熊本」というイベントでは、くまモンが近づくと逃げ出してしまう子供もいたのだとか。

また2011年3月12日には九州新幹線全線開通を記念してのイベントが予定されていたが、前日に発生した「東日本大震災」の影響でイベントは全て中止となり、くまモンもその後の活動を自粛している。
((C)2010 kumamoto pref.kumamon)
同書内では東日本大震災や熊本地震など、我われ日本人が決して忘れてはならない、後世に残していくべきシリアスな話題についてもしっかりと描写されており、その中でくまモンがいかにして人々を勇気付けようと努力してきたかが克明に描かれていたのだ。
((C)2010 kumamoto pref.kumamon)
震災によって傷ついた人々、苦しんでいる人々がいる中でキャラクターが慰問活動を行なうことは、「不謹慎」と受け取られるのではないか…というジレンマと向き合い、そうした葛藤を乗り越え、人々に勇気を与えたいと決断するくまモンの姿は、単なる「キャラクター」という存在を超えた「子供たちに夢と希望を与える存在」そのものであった。

■熊本県も笑顔


前述の通り、今回話題となった学習まんが『くまモン』は、小学館の企画により実現したもの。
((C)2010 kumamoto pref.kumamon)
企画を受けた当時の様子について、熊本県くまモングループは「キャラクターを主人公にした内容は初めてということで、驚きとともに、大変光栄なことだと思いました」と笑顔で振り返っている。
((C)2010 kumamoto pref.kumamon)
また、「くまモン関連の書籍はこれまでも出版されておりますが、小学館様の学習まんがシリーズは、まんがということで、大人はもちろん、子ども達にも読んで頂いて、くまモンが、より多くの皆様に末永く愛される存在になれば嬉しいです」というコメントも見られたのだった。
((C)2010 kumamoto pref.kumamon)
新型コロナウイルスにまつわる暗いニュースが続く昨今だからこそ、苦難と逆境を跳ね除け、人々に勇気と笑顔を届けてきたくまモンから多くのことを学びたい。

当記事はしらべぇの提供記事です。

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