「まさか、打ってないよね?」と突然のLINE…“健康”に目覚めた友人のアドバイスが危うい

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長引くコロナ禍で、「自分なりの健康法」を身につけようとする人が増えている。「これを食べれば免疫が上がる」、「ウイルスをはねのける健康な体」。そうした言葉に反応するのもやむを得ない情勢ではあるけれど……。
長引くコロナ禍で、「自分なりの健康法」を身につけようとしている人が増えている。「これを食べれば免疫が上がる」とか「ウイルスをはねのける健康な体」とか、その類いの言葉に反応するのはやむを得ない情勢ではあるのだが……。

長年の友人が突如、健康オタクに

「高校時代から仲良くしている友人のアサコが、昨年夏、いきなり妙な錠剤を送ってきたんです」

苦笑しながらそう言うのは、ユキノさん(36歳)だ。アサコさんからは、「この薬はコロナウイルスの予防薬。ユキノだから分けてあげる」という手紙がついていた。

「瓶にはラベルもないし説明書もない。そんな成分もわからないような薬を飲めるはずがないでしょう。アサコに連絡をとってどういうことなのか聞いたら、彼女も成分を知らないという。だけど信頼できる人にもらったものだから大丈夫って。いや、私はいらないから返すよと送り返しました。

あとから、その錠剤はただのビタミン剤で、アサコも半分騙されたようなものだったとわかったんですが」

アサコさんの精神状態が危ういなと彼女は感じたという。ユキノさんは独身。5年にわたるパートナーの男性がいるが、お互いに結婚するつもりはなく、近所に住んで関係を続けている。アサコさんは既婚で、3歳のひとり娘がいる。環境は違うが、高校時代からの友情には変わりがなかった。

「ところがそれから、だんだんアサコの様子がおかしくなってきたんです。会えないからLINE等でやりとりしていたんですが、『実はコロナウイルスなんて、誰も見たことがないんだよね』などと言い出して。

普通の風邪だってコロナウイルスの一種だよと返信したら、『ユキノは騙されてる』って。これは世界の陰謀なんだと言い始めたので、なんだか心配になってアサコのダンナに連絡したんですよ」

すると電話に出たアサコさんの夫は、「僕も困っているんです」とため息をついていたという。

ワクチンを打たないで!

誰もが経験したことのない新型コロナウイルス。ワクチンに対しての不安は誰にでもあるだろう。だが、打たないで罹患したときのことを考えれば、現状では打つしかないと思っている人も多い。

「私も積極的に打ちたいわけじゃないけど、しかたがないから職場で打ちました。数日後、アサコから『まさかワクチン打ってないよね』って。来るだろうと思っていたけど、やっぱり来たかと……。嘘をつくのも嫌だったので、職場で打ったよと返信したら、『ユキノ……』と泣いている顔文字つきのメッセージが。

彼女のことが心配だったけど、ちょっとつきあいきれないなという気もしてしばらく連絡をとらなかったんです」

すると今度は、「免疫をあげるために」という内容の本が5冊くらい送られてきたという。

「さらにメモが入っていて、無農薬の野菜、サプリ、添加物の入っていない調味料などが宅配で買える店の情報がぎっしり書いてありました。よく調べたなあと感心するほど。コロナウイルスは存在しないという方向から、免疫を上げる方向にシフトしたんだなとは思いましたが、いずれにしても私には関心がなかったので無視していたんです。

そうしたら『自分の健康は自分で守らないと』とLINEが来た。それには賛同しますけど、『その方法は人それぞれなんじゃないの』と返事をしました」

ワクチンを打つも打たないも個人の判断でいいと思うと付け加えたが、アサコさんからは連絡が途絶えた。

このところ罹患する人が激減しているが、そのニュースを受けて、アサコさんが久々にLINEを送ってきた。

「やっぱり自然に減ったよね、そうなると思ってた」

と。

「なんだろう、この現実を見ない感じはとちょっとびっくりしました。彼女が何を信じようとかまわないけど、言動が一貫してないし、どうせならウイルスについて素人の私が驚くほど探求してほしかった。彼女のダンナによれば、どうやら近所にママ友のボス的存在の人がいて、その人の言いなりになっているみたい。なんとかしたほうがいいと伝えました」

幸いなことに、夫の転勤が急きょ決まり、アサコさん一家は年内には遠方に引っ越すことになったという。

「不安だと誰かが言うことを簡単に信じてしまうのかもしれません。特にアサコは人を信用しやすい人だし。新しい場所で気分を一新してくれるといいんですが……」

コロナ禍も含め、生きていると何があるかわからない。精神の均衡を保ちながら「普通に」生きていくことは、思っているより大変なことなのではないだろうか。

◆ 亀山 早苗プロフィール
フリーライター。明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(恋愛ガイド))

当記事はAll Aboutの提供記事です。

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