『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』監督藤井道人オフィシャルインタビュー アニメーション作品初監督ならではの視点

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『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズを手掛けた神山健治と、『APPLESEED』シリーズを手掛けた荒牧伸志によるダブル監督による「攻殻機動隊」シリーズ最新作『攻殻機動隊SAC_2045』。本作のシーズン1を新たなシーンの追加と全編フルグレーディングによって製作された劇場用長編アニメーション『攻殻機動隊SAC_2045 持続可能戦争』が11月12日(金)より公開となった。今回は本作でアニメーション作品初監督を務めた藤井道人のオフィシャルインタビューが届いているのでそちらを掲載する。
『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』 (c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会
『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』 (c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会

――今回、『攻殻機動隊 SAC_2045』劇場版の監督を依頼されてどう思いましたか。

藤井道人(以下、藤井):アニメーション作品は初めて手掛けました。お話をもらった時は、アニメ業界の別の監督と間違えて自分のところに連絡が来てしまったのではないかと疑いました(笑)。それくらいトリッキーなオファーでしたね。視聴者としてもアニメを消費していないので、自分とアニメとの親和性は全くないと思っていましたし。いただいたオファーには全て目を通して、引き受けるかどうかを自分で決めているのですが、この作品を手掛けることで得るものが大きいのではないかという匂いがしたので、お受けすることにしました。僕自身、実写映画しか知らないし、ほぼ独学でしたし、業界的な正攻法の監督の在り方ではないと思っています。一方で、日本のアニメは世界から見て凄くクオリティが高いと言われていて、この人たちと仕事をしてみるという点にとても興味を持ちました。結果、すごく面白かったですね。

――シーズン1全12話を劇場作品として再構成するにあたり、どのような方針を立てましたか。

藤井:歴史のある企画ですし、大ベテランのスタッフさんたちが集まって作っている作品に、自分の目線を入れさせてもらう、という仕事だと理解して取り組みました。もともと編集は自分でやっていて、得意ですし好きなんですけど、編集という作業を複眼で行うために今は編集技師を入れています。本作に編集技師として参加してもらった古川(達馬)は「攻殻」の世界観にとても詳しいので、いつもは僕が主眼で技師が複眼なのを、今回は僕が複眼で客観的な視点を担当して、それがとても上手くいきました。僕がアニメに対して素養がない人間だから、知っている人間だから楽しめる、ではなく、一本の映画として楽しめるかどうかディスカッションするために、古川の存在は助かりましたね。最終的には脚本をバラして書き直したというような編集になっていると感じます。
『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』場面写真 (c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会
『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』場面写真 (c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会

――劇場作品として構成していく上で苦労をした点を教えてください。

藤井:どんな仕事をする上でも、制限の中の自由ということを大事にしていて、今回は120分という制限を意識して作業しました。編集技師の古川と、まず何も考えずに120分にしてみる、という作業をしてみました。作品を知っている人の脳で観てはダメで、できれば映画館で1,900円を払って初めてこの作品を観る人の状態で。そうすると「ん?」というところが出てくるんですけど、映像はそのまま走っていってしまうので、そこを全部チェックしていきました。結局、わからない所はわからなくて良いという解釈になるように、前半は挑発するようにテンポを上げました。「あ、こういう話なんだ」というのは中盤のブレイクからにして、そこでじゃあ本題に入ろうと。ポスト・ヒューマンというものがいて、これは人類を脅かす存在で、それを公安9課が捜す話なんだというところを、60分のミッドポイントに持ってきました。たとえば往年の「攻殻」ファンであるお父さんが息子さんを誘ってフワッと観に行ったら、何も知らない息子が「めっちゃ面白かったね」という感じを目指しました。

――藤井監督の作品と、『攻殻機動隊 SAC_2045』の間に共通するものはありましたか?

藤井:どの作品を手掛ける時も、自分たちの作っているものは時代の写し鏡だと考えています。時代の照射しているものが自分の作りたいものである、と。この作品にも、時代精神という側面があったから、この映画を届けられたと思います。『新聞記者』はすごく堅く、直接的にそれをやっている企画ですが、他の映画でも『デイアンドナイト』や『ヤクザと家族The Family』など、オリジナルから生まれたものには共通して時代精神というものを書きこんでいるような気がしています。『攻殻機動隊 SAC_2045』とも、そういう共通項があった。ポスト・ヒューマンという存在や、その人達がなぜ現れたのか。すごく今の時代に必要なテーマ性があるなと思います。
『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』場面写真 (c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会
『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』場面写真 (c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会

――主人公・草薙素子をはじめとするキャラクターについての印象を聞かせてください。

藤井:うまく答えられるか分からないんですけど、素子はやっぱり綺麗で、強くて、冷静で。座長という感じですよね。彼女自体の思想というか哲学って、そんなに彼女は喋らないじゃないですか。そこが好きですね。ずっと前で、第一線で戦っている感じが。それから、プリン。演じている方のお芝居が上手くて驚きました。個人的に公安9課で好きなのはイシカワです。

――『攻殻機動隊 SAC_2045』劇場版で、注目してもらいたいところはどこでしょう。

藤井:シリーズも劇場版も観てくれた人なら、新たに一本の映画として楽しんでほしいと思います。やっぱり劇場であのアクションシーンを観られるというのは、すごく素敵な体験だと思うので、是非アクションシーンを楽しんで観てもらいたいですね。神山・荒牧両監督が盛りこんだテーマというか、ポスト・ヒューマンとの闘いという所に、娯楽性がちゃんとある。エンターテインメントとして楽しんでもらえる。そこですね。

――皆さんにメッセージをお願いします。

藤井:シーズン1の劇場版を担当するということで、シーズン2の映像も途中まで観させて頂いたんですけど、めちゃくちゃ面白くて、映画でもシーズン2を楽しみにして頂ける内容になっています!もしシーズン2でも劇場版を担当させてもらえるのなら、頑張りたいと思っています。

3DCGで描かれた公安9課の活躍をスクリーンで楽しめるこの機会、是非とも劇場に足を運んでもらいたい。

当記事はSPICEの提供記事です。

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