野田秀樹が“すごい”と感じた、舞台『THE BEE』での長澤まさみの演技とは

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凶悪な脱獄犯が平凡なサラリーマンの妻と子を人質にした立てこもり事件。そこから起こる波紋を描いた舞台『THE BEE』。その驚愕の展開のみならず、紙や鉛筆など身近な小道具を別のものに見立てることで観客の目の前に予想外の世界を見せていく野田秀樹さんの演出は、世界各地で大きな衝撃を巻き起こした。その傑作舞台が新キャストを迎え、9年ぶりに国内で上演される。
■ 現代の闇、人間の二面性を描き出し、演劇の面白さと深さを味わえる大傑作!

野田秀樹:稽古が始まって数日ですが、長澤さん素晴らしいですよ。もう少しできないと思っていたのに(笑)、ちゃんと自分で流れを掴んで、僕が言ったことをとても的確に、的確なテンションで出されるから。

長澤まさみ:無駄のないダメ出しをピンポイントでいただけるおかげです。稽古時間が限られるなか、その場その場で解決して進んでいけている感じが楽しくて。それも周りの先輩たちがすごいんですけどね。とくに阿部(サダヲ)さんがまとめてくれて…。

野田:井戸はテンションがコントロールできる役者じゃないとできない役だけど、サダヲはちゃんと自分のテンションを持っているからね。

長澤:もともと好きな俳優さんですけど、もう場の操縦者みたいな感じで引っ張っていってくれるので安心感があって。ただ、こっちはついていくのに必死ですけれど。

野田:いや、長澤さんもすごいですよ。この芝居は、それぞれの役者が何を思ってどう変わっていくかという動機がとても大切だと思っているんだけど、そこが的確だから。

長澤:この作品って非日常を描いているようですけど、私は日常の中によくあることのような気がしているんです。自分の中にも二面性って存在していて、いつどういう状況で井戸さんのようになってしまうかわからない…そういう怖さを感じながら理性を保っていると思うから。それに、実際にあったことが気づけば目を向けられなくなって、まるでなかったことのようになっているのって、普段のニュースを見ていても思うことで。そういう普遍的なものが描かれているのかなって感じています。

野田:まさにそれが、最初にこの作品を作ろうと思ったキーワードのひとつなんだよね。どんなに注目を集めた事件も1か月もあれば忘れられていく。事件が消費される。今って、消費することが良しとされているけれど、それがどんどん進んで浪費になっているよねって。ロンドンでこの作品を作っていた当初、消費の象徴として小道具に卵を使おうかってアイデアもあって。結果的に紙や鉛筆を使って歌舞伎なんかで取り入れられている“見立て”をしてるんだけど、この見立ての演出は世界に通用するとわかったのは収穫でした。

長澤:視覚的にとても楽しい作品ですけれど、それを効果的にしているのが音ですよね。紙が破れる音や、俳優の動きから生まれる音とか息遣いが、お客さんの体感と連動して、深く記憶にこびりつくというか。

野田:人間って何かひとつボタンを掛け違えると、誰でも堕ちていってしまう。価値観さえ揺らぐ。そういうことが底辺に流れている作品なので、広くいろんな人に届くといいなと思っています。

NODA・MAP番外公演『THE BEE』 ある日、平凡なサラリーマン・井戸(阿部)の留守中に、凶悪な脱獄犯・小古呂(川平)が井戸の妻子を人質にして家に立てこもるという事件が起こる。井戸は妻子を救出するために百百山警部(河内)率いる警察に頼るが、小古呂の妻(長澤)も巻き込み事態は思わぬ展開に…。11月1日(月)~12月12日(日) 池袋・東京芸術劇場 シアターイースト 演出/野田秀樹 原作/筒井康隆~「毟りあい」(新潮社)より~ 英語脚本/野田秀樹&コリン・ティーバン 日本語脚本/野田秀樹 出演/阿部サダヲ、長澤まさみ、河内大和、川平慈英 S席9000円ほか NODA・MAP TEL:03・6802・6681(平日11:00~17:00)大阪公演あり。

ながさわ・まさみ 1987年6月3日生まれ、静岡県出身。映画『マスカレード・ナイト』が現在公開中。映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』が来年1/14公開予定。

ワンピース¥46,200(バウム・ウンド・ヘルガーテン/エスアンドティ TEL:03・4530・3240) スカート¥53,900(イザベル マラン エトワール/イザベル マラン TEL:03・5772・0412) ブーツ¥56,100(ロランス/ザ・グランドインク TEL:03・6712・6062) 左手親指のリング¥96,800イヤカフ、上¥14,300 下¥22,000(以上トムウッド/ステディ スタディ TEL:03・5469・7110) 左手中指・薬指のリング¥13,200(ソワリー TEL:06・6377・6711)

のだ・ひでき 1955年12月20日生まれ、長崎県出身。NODA・MAP主宰。日本を代表する劇作家で演出家であり、現在、東京芸術劇場芸術監督を務めている。

※『anan』2021年11月3日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・木村真紀(長澤さん) ヘア&メイク・佐川理佳(長澤さん) 取材、文・望月リサ

(by anan編集部)

当記事はananwebの提供記事です。

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