手のひらで球を打つ5人制野球 男女混合、手軽さで野球離れ防止へ

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 野球の内野ほどのフィールドを5人で守り、攻撃は手のひらでボールを打つ5人制野球「ベースボール5(ファイブ)」が東京2020パラリンピックの期間中(8月24日~9月5日)、東京のお台場でデモンストレーションを行った。日本ではほとんど知られていない種目だが、野球では発展途上国になる欧州やオセアニア、アフリカなどで盛んで、2026年のユース五輪(セネガル)でも実施される。9人制は広いグラウンドと多くの人間が必要で手軽さにはほど遠いが、そのハンディを解消したのが5人制。競技の普及だけでなく、競技人口やファンの減少も止める効果が期待されている。

発展途上の欧州などで盛ん


 グラウンドは18メートル四方で、塁間も野球の半分程度の13メートル。1チーム8人で、守備は野球と同じように一塁、二塁、ショート、三塁に加え、真ん中に「ミッドフィールダー」が入る5人。男女各2人以上が義務づけられた混合になる。攻撃は、本塁の後ろでボールを自分でトスして手のひらで打つ。本塁から3メートル以内でバウンドした場合や、直接フェンスを越えたり直撃したりしたときはアウトになる。そのほかは、ほぼ野球と同じルール。ボールは硬式テニスボールよりやや軟らかい。 5人制の普及に取り組む世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の長井祐介さんによると、元々キューバなどで楽しまれていたが、2017年にルールを決め競技化したという。手軽さが受けて欧州などで盛んに行われるようになり、20年の欧州選手権はフランスが制し、リトアニアが準優勝した。オーストラリアでは教育プログラムの一環に組み込まれ、今後、多くの子どもたちが経験することになるそうだ。日本でも、昔は街中で三角ベースボールなどで気軽に遊んでいる姿が見られた。それらが発展した形ともいえる。

野球への間口広がる


 お台場のデモンストレーションには期間中、約4千人が参加した。小俣優翔くん(5歳)は「手で打つのが少し痛くて難しかったけど、野球に似て楽しかった」と感想を話し、野球歴14年の岡田桃香さん(21歳)は「野球経験があってもなくても差が出ず、老若男女を問わず全員で楽しめる」と魅力を語ってくれた。指導者の大人たちも、手軽さと男女一緒でプレーできることで「学童野球への間口が広がり、野球離れのいくつかの要因を解決できるかもしれない」(平澤彰久さん=57歳)と期待を寄せる。 デモンストレーションには、関東地区大学準硬式野球連盟に所属する日大や帝京大などの学生がインストラクター兼任でボランティアとして運営に携わった。日大3年の伊藤俊太さんは「人前に立って、短い時間で幼い子どもたちにルールや魅力を伝えることの難しさを感じたが、子どもたちは楽しそうだったので、やりがいを感じた。これからも5人制を通して野球を知ってもらいたい」と手応えを感じたようだ。

学生が魅力広める担い手に


 長井さんは、普及を考えると学生が関与してくれることが将来性につながるという。野球の楽しさを知っている上に草野球よりも手軽に楽しむことができるため、魅力を広める「担い手」になってくれるからだ。そして現在の選手層の薄さが逆に「国際大会に日本代表で出場できるチャンスを広げる」ともいう。日本代表は、選抜ではなくカーリングのように単独チームが選ばれる方式が採用される予定。バスケットボールの5人制と3人制がともに盛んなように、野球も9人制と5人制の共存が理想だ。

当記事はOVOの提供記事です。

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