【ラップ愛】映画『パティ・ケイク$』で人生に酔いしれて

Oh!My!ムービー

主人公のパティ(ダニエル・マクドナルド)はラップ・スターを目指す23歳。
ゴミにまみれたせまい家で、夢やぶれ刹那に生きる母親にののしられ、車イスの祖母を介護しながら口ずさむリリックはキラキラと夢ごこち。「私の彼氏はマッチョで馬並み、マイライフ・イズ・ファッ◯ン・アウェサム」と歌いながら、今日もパティは督促状に埋もれていました。

「ダンボ」と呼ばれるパティの日常

支払いに追われる日々のなかで、パティはラップへの愛を募らせていきます。親友のジェリ(シッダルタ・ダナンジェイ)とヒマさえあればフリースタイルでかまし合い、キレキレのラップで現実逃避。しかし、パティのラップはいつも空想物語で、背伸びをしたようなものばかりです。それもそのはず、パティはでっぷりと突き出した己の腹の肉にイラだちながら、自分を「恥ずかしい」と思っていました。
心ないチンピラに「Yoダンボ」とおちょくられれば、たちまちパティは現実に引き戻され、家族のケアに必死で身動きのとれない毎日に閉じ込められてしまうのです。

泥沼から這い上がれるか

物語は、ふくらみ続けるパティのラップ愛とともに、無視できないほど蓄積されたパティのストレスをあらわにします。歌手になる夢を断たれ、毎晩ベロベロになりながらパティのバイト先でカラオケに興じる母親。そんな母親に悪態をつきながらも介抱してあげる優しすぎるパティ。あげく、「あんたを産むために歌をやめたんだ」と暴言を吐かれ続けても、もう言い返すこともしない。パティの人生は、大きな「あきらめ」に覆われていました。

たったひとつだけ、ラップへの愛だけを原動力に生きるパティの目の前に、伝説のラップ・ゴッド、O-Zがあらわれることで、パティの人生に少しずつ変化がおとずれるのです。

まとめ

毒マザーに毒されながら、必死に働くパティのラップ愛、きっとそれは母親がなくした歌手への夢を、無意識に引き継いでいるのかもしれません。他人の夢をかなえることは、自分の人生をあきらめること。ラッパーの半生を描く『8マイル』的スタンスとはちょっと違う創作ストーリーでありながら、パティの生きている毎日は、やけにリアルで感情移入して観すすめられます。どこか切ないような、疲れきったひとりの女の子が、ラップを通して人生を少しずつ潤わせていく過程から勇気をもらえるんです。

パティにとってのラップが、パティ自身の力でパティだけの宝物に、パティだけの夢になっていく過程にも心ふるえます。観終えたあなたはきっとサントラをダウンロードするでしょう…。

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