14人の俳優と11人の監督がおくる『バウムちゃんねる映画祭 シーズン3』~高木公佑×田代源起×田中博士×葛堂里奈に聞く

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バウムちゃんねる映画祭 シーズン3」が、シネマ・ロサにて2021年10月16日(土)~22日(金)に開催される。

「バウムちゃんねる映画祭」は、芸能プロダクションのバウムアンドクーヘン(以下、バウム)が所属俳優のプロモーションを目的として撮影した短編映画をまとめて上映する映画祭で、2018年にシーズン1、2019年にシーズン2を開催し、今回が3回目となる。

今年バウムに新たに7人の所属俳優が加わったことで、よりバラエティ豊かな11作品が上映されるシーズン3に際し、以前からバウムに所属している高木公佑田代源起田中博士葛堂里奈の4名に話を聞いた。

■俳優が助監督をやったり障子を張り替えたり……「劇団みたい(笑)」(高木)


――バウムちゃんねる映画祭も、今回でシーズン3を迎えることになりました。

田中 前回から2年ぶりですよね。

高木 シーズン1、シーズン2と2年連続でやったんですけど、シーズン2の後は1年は空けて、その間に各作品を映画祭とかに出していこうということになったんです。

田中 シーズン2で上映した『帰り道』(東海林毅監督)は国内外のいろいろな映画祭で上映されて、福岡インディペンデント映画祭でレインボー賞を獲ったりと、高い評価をいただけたのが嬉しかったです。

葛堂 元々バウムちゃんねるはWebでちょっと公開しようか、というところから始まったので、それを思うと映画館で上映して、それがシーズン3まで続いてるっていう広がり方がすごいなと思いますね。この映画祭のおかげでいろんなご縁とか繋がりができました。

田中 それぞれの作品の厚みというか、スタッフワークのレベルも格段に上がった感じがありますし、気合の入った作品が多くなりましたね。

葛堂 それを11本見られるって、なかなか贅沢ですよね。

高木 今年、新人が7人入ったけどコロナ禍でなかなか会う機会がなかったんです。そんな中、バウムちゃんねる映画祭の撮影で会えたり共演できたのは良かったなと思いますね。

葛堂 『群青』(土井笑生監督)に出演している3人(黒田悠月、竹之内隆志、赤田耕哉)とは、撮影現場に見学に行ったときに初対面だったんですけど、人が足りないというので急遽私が助監督をやることになって(笑)。でもそのおかげで初対面だけどいろいろ話せてよかったです。
高木公佑
高木公佑

高木 今回は俳優陣が率先して現場の手伝いをしている場面が多かったですね。田中は宣伝ビジュアルで使われている映画祭の題字を書いたり、永井秀樹さんなんて『正しいあとさき』(手塚悟監督)のロケ地で障子を張り替えてました。

葛堂 現場で急に障子張れるってすごい!

田中 本当に全員野球みたいな作品がいっぱいありますよね。

高木 赤田耕哉くんは劇団の主宰をやっているので、今回の映画祭の予約システムの提案をしてくれたり、当日パンフレットの作成をしてくれたり、かなり貴重な戦力になってくれています。まさに劇団「バウムアンドクーヘン」みたいな感じだよね(笑)。

葛堂 映画って役者と監督だけで成り立ってるわけじゃ絶対ないから、いろんな角度から作品に参加できるいい機会だな、ってバウムちゃんねる映画祭では毎回思いますね。

■バウムちゃんねる映画祭は「マッチングアプリみたいな感じ?」(葛堂)


――葛堂さんは今回3作品にご出演されています。ご自身が所属している劇団「ブルドッキングヘッドロック」の主宰、喜安浩平さんの初監督作品『さまよう朝』では、映画監督としての喜安さんと舞台作品のときの喜安さんとの違いは何か感じましたか?

葛堂 私としては、基本的には普段通りの喜安さんだな、という感じでした。私が劇団に入ったのは10年ぐらい前なんですけど、ずっと喜安さんの演出を受けて来て自分の血肉になっていることを、映画でもやればいいだけなんだろうな、と思ってやっていました。

高木 同じ劇団ということで言うと、青海衣央里さんはバウムでは新人ですが、高井浩子さんが主宰している劇団「東京タンバリン」に所属していて、舞台中心に活動してきた方です。今回は5作品に出演していて、うち1本が高井さんが監督した『じぃじ』です。

葛堂 青海さんは「バウムちゃんねるに出たい」って言って、バウムに入って来られたんですよね。『じぃじ』では東京タンバリンの高井さんと青海さん、『さまよう朝』ではブルドッキングヘッドロックの喜安さんと私、とそれぞれ同じ劇団の人間同士で映画を作るという機会はなかなかないので面白いなと思いました。
葛堂里奈
葛堂里奈

高木 念願だったんじゃないの?喜安さんの監督作品に出るって。

葛堂 私はもう喜安さんの作品ならば何でも出たいですから。高木さんは『グッジョブ!次郎』の山村もみ夫。監督と長い付き合いなんですよね。

高木 もみ夫さんとは、上田慎一郎監督の『お米とおっぱい。』という作品で俳優同士として共演させていただいて、最近は監督をやっていると聞いて作品を見たら、これは面白いぞということで今回バウムちゃんねる映画祭でも監督をやってくれませんかとお誘いしたんです。そうやって、この人とやってみたいっていろんな人に声をかけられるのがバウムちゃんねる映画祭の良さでもあると思います。僕たち俳優はもちろん、監督とスタッフが知り合う映画祭でもあってほしいなと思うので。

葛堂 マッチングアプリみたいな感じ?

田中 マッチング映画祭か(笑)。

葛堂 なかなか人と知り合えないこのご時世ですから、これからはそういうのも大事ですよ。源ちゃん(田代)は何作品出演してるの?

田代 『じぃじ』と『グッジョブ!次郎』と『あの娘の雫』(田中聡監督)と『多摩川のあっちとこっちと』(Fu監督)の4作品です。

高木 源ちゃんは、シーズン2は出演が1作品だけだったんだよね。

田代 はい、だから今回は4作品もあってすごく嬉しくて。

高木 僕は『グッジョブ!次郎』の源ちゃんが特に好きだな。この作品のとき、源ちゃんだけ監督から何も言われなかったよね。他のみんなは結構いろいろ言われてたけど。

田代 他の人には監督から「こうしましょう」とか指示が出てるのに、俺だけ何も言われないから終始不安でした。

高木 それは不安になるよね(笑)。でも役にハマってたんだよ。

田中 『あの娘の雫』のときの源ちゃんは、すごい役に入り込んでたよね。

田代 演じてるときの記憶があんまりないくらい入り込んでた。隣で葛堂ちゃんがめちゃくちゃ体張って役に没頭してるのを見てたら、僕も負けられないな、っていう感じになって。
田代源起
田代源起

――『あの娘の雫』は、シーズン2で上映された『あの娘の神様』の姉妹版みたいな感じですか?

高木 「あの娘」三部作の第2作目らしいですよ(笑)。シーズン4でもきっと『あの娘の〇〇』というタイトルの作品が登場するはずです。今回の『あの娘の雫』は、葛堂ちゃんの最高の踊りをぜひ見て欲しいですね。

葛堂 私も含め、みんなが体張ってます(笑)。

■新人7人が加入して「新しい子たちにはいい背中を見せたい」(田中)


――今回、新人さんたちとご一緒してみてどうでしたか?

田中 いやあ、面白かったですよ。僕は結構、鈴木睦美さんと絡むことが多かったです。3作品一緒に出たんですけど、『ザイマンストーリー』(前川達哉監督)では夫婦、『暗黒黙示録バームグーヴェン』(松本純弥監督)では同じチームメイト、とか毎回なんだかんだと関わり方が違うので楽しかったですね。

葛堂 私も、『電力が溶けるとき』(東かほり監督)では会社の同期とか、結構むっちゃん(鈴木睦美)と絡んだんですけど、お互い全然個性が違って新鮮だったし、一緒にやっていてケミストリーを感じましたね。

高木 新人の子たちもみんな演技が上手いので、ちょっと嫉妬心というか、やっぱり負けられないなっていう気持ちが今回は結構強かったですね。

――ここにいる4人はバウムの中だと、上には先輩にあたる“おじさん俳優”たちがいて、下には今年から新しく入った人たちがいて、上と下から挟まれてるいわば「中間子」みたいな感じなのかなと思っていて、だから先輩たちや新人たちに対してどういう思いを抱いていらっしゃるのかな、というのはぜひお聞きしたいと思っていました。

高木 新しい人たちが入ってきて楽しいし、みんな良い子たちばっかりなんですけど、「自分がもっと前に出なきゃ」とか、仕事を取られるかもしれないという危機感とか、負けたくないというような気持ちも芽生えましたね。

葛堂 みんな口には出さないけれど、やっぱり心の中では絶対思ってますよね。

高木 だからこそ僕は、今回は先輩と戦ってやろうと思ってました。永井さんとはこれまでもご一緒したことはあったんですけど「かなわないな」と感じていたので、『正しいあとさき』で永井さんと対峙したときに、今回は互角にやり合いたいと思いましたね。『正しいあとさき』では、バウムとしては新人なんですけど舞台経験豊富な青海さんも出演されているので、バウムの飛車角と対峙しているような感じでした(笑)。
写真左から田中博士、田代源起、高木公佑、葛堂里奈
写真左から田中博士、田代源起、高木公佑、葛堂里奈

田中 やっぱり新しい人たちが入ってきて「僕らが引っ張っていかなきゃ」っていう意識は生まれましたね。ちょっと“ええかっこしい”ですけど「新しい子たちにはいい背中を見せたい」みたいな気持ちもあって、一つ一つの作品との向き合い方がだいぶ変わった気がします。僕は吉田電話のことをライバルだと思っていて、バウムでは新人ですけど彼は彼でこれまで培ってきたものがありますし、世代も一緒ということもあっていろいろ刺激を受けていて、『ザイマンストーリー』で絡むことになったときは「よし、来た!」ってだいぶ気合いは入りましたね。

高木 『ザイマンストーリー』はとにかく俳優陣が面白かったな。特に竹ノ内(隆志)が、僕的には今回の全作品の中で一番ツボなんですよ。ぜひ注目して欲しいですね。

田代 僕は今回、(高村)竜馬と組むことが多かったですね。さすがに年齢も違いますしライバル意識は芽生えませんでしたけど(笑)。

高木 竜馬は『グッジョブ!次郎』での森啓一朗さんとのやり取りが最高だったなぁ。赤田くんは声がものすごく良くて落ち着いてる雰囲気があるから実年齢より上の役もこなせちゃうし、(黒田)悠月ちゃんは最年少の現役大学生だし、バウムのアイドルみたいな感じになってるよね。『眼鏡と太郎』(串田壮史監督)の悠月、かわいかったなぁ。

――『眼鏡と太郎』は眼鏡太郎(がん・きょうたろう)さんが主演ということで、タイトルのインパクトがすごいですよね(笑)。

田中 タイトルからして完全に眼さん推しだし、眼鏡の部分が兄で、眼鏡以外の部分が弟、っていう設定がもうわけわからない(笑)。

葛堂 監督の串田さんは、永井さんが出演している『写真の女』という映画の監督さんでもあるんですが、また全然テイストの違う作品ですよね。

田中 この映画祭では、それぞれの監督さんが本当にやりたいことをやってる、っていう感じはすごい受けますね。
田中博士
田中博士

■「映画はスクリーンで見ると全然違うから、劇場に来て欲しい」(田代)


――お話しを聞いてると、皆さんお互いのいいところを認め合っていて、事務所内でいい関係が築けているんだなということが伝わって来ます。

葛堂 確かにこれだけ内輪で褒め合うとちょっと気持ち悪いですね(笑)。でもみんな個性が違うってことがわかってるから、競い合うという気持ちもありつつ、結構距離感が近いかなとは思いますね。

田代 実際、バウムの役者はみんな上手いですから、自然に褒め合いみたいになっちゃいますよね。

高木 源ちゃん、いいこと言うね(笑)。せっかくいい役者がそろってるんだから、この映画祭を成功させたいっていうのはもちろんだけど、その先に繋げていくことをもうちょっとみんなで話して意識したいよね。だからこそ、この「バウムちゃんねる映画祭」という企画は大事にしていきたいね。

――3回続けてきたというのはすごく大きいと思います。積み重ねることでこそ生まれるものは必ずありますよね。

高木 今回初めて協賛がついたし、U-NEXTとDOKUSO映画館で過去の映画祭の作品が配信されたり、いろいろ広がりを見せています。

田代 すごいですよね。作品もそうですけど、シーズンを重ねるごとに規模がどんどん大きくなっていって。映画祭のおかげで、事務所の名前をよく知ってもらえるようになったっていうのもあると思います。

高木 今回、東京以外でも上映する予定なんですよ。近日中にはお知らせできると思います。

田中 東京以外の方にも見てもらえるのは嬉しいですよ。

高木 地元の友だちにも「この題字、俺が書いたんだよ」って言えるね。

田中 そうですね……いや、題字より映画を見て欲しいんですけど、僕出てるんで(笑)。

高木 そりゃそうだ(笑)。でも、この題字カッコイイよなぁ。田中も多才だよね。

田代 やっぱり映画はスクリーンで見ると全然違うと思うんで、ぜひ劇場に来て欲しいですね。

葛堂 パソコンで何でも見れちゃう世の中だからこそ、劇場行ったときの感動みたいなものもあるし、思い出にも残りますよね。あのときにあそこに行ってあれを見たなっていう、見に行ったときの周りの景色と一緒に覚えてるってなんかいいよね、って改めて思います。

高木 葛堂ちゃんいいこと言うね。僕はバウムちゃんねる映画祭のときは、お客さんの後ろから反応を見るっていうのがやっぱり一番好きだな。なんかそのために役者やってんじゃないのかな、って思うけどね。

田代 今、高木さんがいいこと言いましたよ。さすがだなぁ。

田中 結局、最後までお互いを褒め合いながら終わるっていう(笑)。

――バウムの皆さんらしくていいと思います(笑)。16日からのバウムちゃんねる映画祭、楽しみにしています!

一同 ありがとうございます!
写真左から田中博士、葛堂里奈、田代源起、高木公佑
写真左から田中博士、葛堂里奈、田代源起、高木公佑

取材・文・撮影=久田絢子

当記事はSPICEの提供記事です。

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