アニメ作品の充実ぶりからもおさえておきたいこのジャンル!『スチームパンク』って一体なんだ?

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※画像は『プリンセス・プリンシパルCrown Handler第2章』公式HPのスクリーンショット

“あの”スチームパンク作品の新作がこの秋ついに上映します。

TVアニメ『プリンセス・プリンシパル』の連作劇場版である『プリンセス・プリンシパルCrown Handler第2章』が2021年9月23日より劇場上映を開始します。

可愛いキャラクターたちが活躍する反面、硬派な内容が特徴的なスパイアクション作品です。世界観もスチームパンク系の世界が舞台となっており、その作品の雰囲気も人気の理由の一つとなっています。

しかし、ここで気になるのがそんな“スチームパンク”という要素。

意外とよく聞くワードですが、そもそもスチームパンクとはどういったジャンルのことを指す言葉なのでしょうか。ここで改めてスチームパンクのことを掘り下げていってみましょう。

“スチームパンク”とは何か?

そもそもスチームパンクとは、実はSF(サイエンスフィクション)の中のジャンルの一つです。小説・漫画・アニメ・映画……と様々なスチームパンク作品が作られています。

スチーム(蒸気)と付くようにスチームパンクと呼ばれる世界では、蒸気機関が実際の世界よりも発展しているのが特徴で、“もしも産業革命の要とある蒸気機関が衰退せずにそのまま浸透していたら……”という世界観となっています。そのため、スチームパンク作品では、産業革命のきっかけとなるイギリス文化がベースとなっている作品が多く、前述の『プリンセス・プリンシパル』も同じく、イギリスが舞台となっています。

ただ、蒸気機関が主要な動力源となっているだけでなく、そのまま文明が発達しているのも特徴です。雰囲気こそ19世紀末~20世紀初頭の雰囲気を残していながら、蒸気機関を利用したサイボーグが登場したり、さらには巨大なロボットが登場する作品もあったりと、現代でも実現していないような科学の発達の仕方をしています。

“スチームパンク”はこうして生まれた

そんなスチームパンク作品はいつから生まれたのでしょうか?該当する作品を遡るとはるか昔に遡ることになるのですが、概念として生まれるのは、1980年代後半です。

この頃、これまたSFのジャンルである「サイバーパンク」と呼ばれる人体改造技術などが拡大して、人間社会が大規模なネットワークに取り込まれた世界観の作品群が流行します。

これらの作品とは違い、1980年代に普及したような、もしも蒸気機関が発展していったら未来はこうなるであろうといった想像から生まれたような作品群を区別するように、サイバーパンクという言葉から派生させて「スチームパンク」と呼ぶようになったとされています。

定義されたのはこの頃ですが、スチームパンクに分類されることになる作品は、この頃にはすでにたくさん存在しており、1959年のマーヴィン・ピークさんの小説『タイタス・アローン』や1868年にエドワード・S・エリスさんの手がけた小説『ザ・スチームマン・オブ・ザ・プレーリー』といったファンタジー小説たちもスチームパンクの系譜として語られるようになります。実際に蒸気機関が著しい発達を見せた頃に人々が抱いた空想が、一つのスタイルとして現代にまで定着したわけですね。

あの作品も?スチームパンク系アニメ

スチームパンクはアニメーション作品としても近年の作品でも登場しています。あの有名作品も実は、スチームパンクに分類されるものであったりと驚きがあります。

『鋼の錬金術師』

00年代の大ヒットタイトルとして名を残している、荒川弘さんの少年漫画『鋼の錬金術師』も、錬金術などが登場しダーク・ファンタジーやアクション作品としての印象が強いですが、実はスチームパンク作品に分類されるような作品です。

幼い頃に失った母親を取り戻すために人体錬成という禁忌を侵し、その代償として手足を一本ずつ奪われた兄エドワードと、魂を残して身体全てを奪われた弟のアルフォンス。この兄弟が、肉体を取り戻すべく錬金術師となって、錬金術の秘密を解きあかそうとする冒険譚です。

作品の舞台はまさに産業革命時期のヨーロッパを思わせる世界観となっていながらも、手足を奪われたエルリックが、機会鎧(オートメイル)と呼ばれる高度な義肢を使っていたりと所々で、錬金術以外でも独自の文明の発達が見られます。
本作は2010年にすでに完結を迎えていますが、2021年に20周年イヤーを迎えており、現在でもアニバーサリーイヤーを記念した様々な企画が実施されています

『スチームボーイ』

漫画家でもある大友克洋さんが『AKIRA』以来の長編監督作品を手がけたという意味でも話題となった、2004年発表のアニメーション映画が『スチームボーイ』です

科学技術が発達していっているイギリスを舞台に、発明一家であるスチム家に生まれた主人公・レイが、祖父から送られてきた謎の金属の球体スチームボーるを手にしたことから、アメリカのオハラ財団に捕らえられ、その球体の秘密を知っていく冒険譚です。

『AKIRA』ほどのムーブメントを起こすことができなかったのは残念ながら、構想から完成まで10年近く費やされている大作であり、スチームパンク物としては随一のディテールや活劇が繰り広げられており、その映像のクオリティの高さは今もなお高い評価を得ています。

『甲鉄城のカバネリ』

2016年よりTVアニメシリーズがスタートし、漫画や映画、ゲームなどのメディアミックス展開が広がっていった作品が『甲鉄城のカバネリ』です。

極東の島国である日ノ本では、噛み付かれた人間が理性を失った怪物に変わってしまうゾンビのような存在“カバネ”となってしまう症状が蔓延してしまい、人々はそんなカバネたちを退けながら懸命に生きようとしています。そんな中で、身体はカバネとなっていながら、人間の理性を失っていない少数の存在“カバネリ”となった少年・生駒や少女・無名が、走行蒸気機関車で移動しながら生活する人間たちと共に、人々をカバネから守るために戦う姿が描かれる作品です。

時代劇物・ゾンビ物と意外な組み合わせの中にスチームパンク要素も混ざっており、登場する町は一見江戸時代ぐらいを思わせる世界なのですが、その中に製鉄技術や蒸気機関技術が盛り込まれた独自の舞台となっています。この舞台をゾンビのような人々が侵食していくということで、見たことのないような世界観の構築に成功しています。

『アヴリルと奇妙な世界』

日本だけでなく海外でも、スチームパンク作品の新たな作品が制作されています。2015年に製作されたフランスやベルギー、カナダらの合作で製作されたアニメーション映画『アヴリルと奇妙な世界』もスチームパンクの世界観を持つ作品でした。

多くの科学者が次々と失踪してしまい、技術の発展が蒸気機関中心となってしまった奇妙な世界。そこで孤独に生きる少女アヴリルもまた、科学者である両親が、謎の失踪を遂げている状態にありました。そんなアヴリルが、永遠の命をもたらすという血清の力で人語を喋ることができるようになった猫ダーウィンと共に両親や祖父を探すために旅に出る冒険譚です。

アニメーション映画の最高峰とも言える祭典、アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティションでも最高賞であるクリスタル賞を受賞したりと、世界的にも高い評価を獲得し、本作は2019年に日本でも劇場上映を果たしました。

『プリンセス・プリンシパル』

そして忘れてはいけない注目作が2017年よりTV放送をスタートしたオリジナル作品『プリンセス・プリンシパル』です。

東西に分断された架空のロンドンを舞台に、東側である王国の名門クイーンズ・メイフェア校で、女子高生を隠れ蓑としながら、西側の共和国スパイとして活動することになった少女たちチーム白鳩の姿を追ったスパイアクション作品です。
この世界には、重力を制御できる独自の物質ケイバーライトという物質が存在しており、この技術によって、世界が発展しており、スチームパンクならではの世界観となっています。

2017年の7月にTVアニメ第1期が放送され、2021年2月に上映された『プリンセス・プリンシパルCrown Handler』を皮切りに全6章の劇場版シリーズの企画がスタートし、2021年9月23日公開の『プリンセス・プリンシパルCrown Handler第2章』がその第2弾となります。

往年のイギリスの美術と、SF要素が組み合わさった独自の味が魅力のスチームパンク作品。名前や定義こそよくわかっていなかったという人も、これを機にぜひスチームパンク系の作品を掘り下げて、楽しんでみてはどうでしょうか。今後もまだまだ続編や新作の盛り上がりが期待できる熱いジャンルであることが分かるはずです。

WRITER

  • ネジムラ89
  •        

  • 缶バッジ販売専門店「カンバーバッチ」のオーナー兼アニメ映画ライター。アニメ映画情報マガジン「読むと アニメ映画 知識が結構増えるラブレター」をnoteにて配信中。その他いろんなとこでアニメ映画話を執筆中。古今東西関係なくアニメ映画を中心とした有益な情報を多くの人に提供できるようにやっていきます。

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