人を動かし成功をつかむ「人に好かれる力」の法則を読み解いた


連載「3人の○○」では、ライフハッカーファミリーで「働き方研究家」の横石崇さんが聞き手となり、時代をリードし、混沌とした世界でも柔軟に適合する3人のキーパーソンにフォーカス。

彼らの仕事観・働き方から読み解く、「人を動かす」法則や知恵とは?

果たして3人の「中の人」に取材し終えた横石さんはどんな共通点を見出したのか。

人を動かし「成功」をつかむには、人脈を構築し、業界内外で信頼関係をつくることが必要。その鍵を握るのが、「人に好きになってもらう」力だ。

そこで今回は、企業のSNS公式アカウント界で特に高い人気を集める「タニタ」「森美術館」「イノセント」のSNS担当を取材。SNSマーケティングの視点から、【人に好かれる】法則を読み解こうと試みた。

まずは3人のインタビューから得た気づきをここにまとめたい。

1. タニタの法則

  • 人間味は人の心を開く
  • みんなを巻き込んで一緒に楽しむ
  • イメージの振り幅が最強キャラをつくる
  • 好奇心ファーストで行動する
  • ありのままで、がんばらないからこそ続けられる

約10年前からTwitterを開始したタニタ公式の「中の人」。

企業アカウントであるにも関わらず人間味あふれるツイートと、フォロワーや他企業とのインタラクティブなやり取りが話題となり、約30万人に愛される人気アカウントへと成長させた。

今も顔出しをせずに活動する彼の原動力は、「何かやるならおもしろいほうがいい」というシンプルな好奇心

ここまで続けられたのは「ありのままで、がんばらなかった」からこそ──という言葉は、自分の意思で挑戦し続けてきた人しか言えないセリフだ。

SNSが浸透し、デジタルがなくてはならない今、消費者はますます「人間味」に対して敏感に、そして貪欲になっている。

その欲求を満たし、「次は何をするんだろう?」とこちらが自然と応援したくなるのが、タニタの「中の人」の不思議な魅力だった。

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2. 森美術館の法則

  • 「皆さん」というのは誰も含まれない
  • 属人性を出さずとも、「自分でやる」と感情がのる
  • 「中の人」は「間の人」でもある
  • 先が見えないからこそまずはやってみる

インスタライブやTikTokなど、時代の先端を行く取り組みでも知られる森美術館のSNS。

「中の人」を務める洞田貫晋一朗さんはユーザー層の需要を考慮して、属人性を極力出さない運用を心がけているという。

これはタニタとは対照的なアプローチに思えるが、その根本には共通点があった。フォロワーを「塊」として捉えずに、「1対1」のコミュニケーションを大切にするという視点だ。

洞田貫さんの発信は個性こそ表に出さないが、自らスマホで撮影した写真や、その場で書き留めるという文章には温かみがにじむ

この絶妙なバランス感の源は、美術館とユーザー、そして展覧会の企画側とマーケティング/広報側の「間」をつなぐ「中の人」でありたいという姿勢にある。

いい意味で「どっちつかず」の視点を複数持てることこそが、人に好かれるためには必要なのかもしれないと気づかされた。

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3. イノセントの法則

  • クスッと笑える要素で心をつかむ
  • 「半径5m以内」の声から共感を生む
  • 複雑な時代だからこそシンプルに「変換」する
  • 遊び心が「驚きと喜びの源泉」である

欧州スムージー市場ではトップクラスだが、日本ではまだそれほど知名度が高くないイノセント。

この状況を、遊び心たっぷりのSNS運用で打開したのが「デジタル フルーツ ニンジャ」ことデジタルマーケティング担当の佐藤恭宏さんだ。

消費者に驚きと喜びを提供するコミュニケーションをバリューとするイギリス本社の方針を受け継ぎつつ、「ユーモア&クリエイティビティ」を駆使した発信で、距離感の近いコミュニティを築いてきた。

佐藤さんは、クスッと笑える要素や「半径5m以内」のあるあるネタをフックに、ユーザーの心をグッとつかんでいく。そこには自社商品に対する絶対の自信はもちろん、社会課題への真摯な取り組みにも飾らない言葉で表現されている。

複雑な時代だからこそ、自分たちが本当に大切にしている信念をシンプルに「変換」して伝える。その姿勢に人々は心を動かされるのかもしれない。

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3人の「中の人」に学ぶ【人に好かれる】法則は…


3人の「中の人」への取材を通じて浮かび上がってきた、【人に好かれる】法則が3つある。

1. 「自分を開く」から、好かれる


機械的になりがちな企業の公式アカウントを、「このアカウントは何か違う」と思わせる。その最初のフックは、やはり「中の人」の人間味でありチャーミングさなのではないか。

3人に取材して分かったのは、各人「自己開示」が上手いということ。自己開示をすることで人との距離が縮まるのはもちろん、自分の弱さを知り、それを相手に伝えることができるのは技術であり、能力でもある。

恐らくそれは、「1対1」のコミュニケーションを積み重ねることで身につけたものに違いない。「1対1」のコミュニケーションが土台にあるからこそ、「1対n」のコミュニケーションができるのだろう。
自分を開く
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2. いつも「期待」しているから、好かれる


3人の「中の人」に共通して感じたのは、好奇心が強く、フットワークが軽いということだ。彼らはいつも何かに期待し、ワクワクしている

フォロワーの興味を惹きつけ続けるためには、常に変化しなければならない。しかし、そこに過度な気負いがのぞくと、日常の娯楽を求めるフォロワーたちは離れてしまう。

そこで重要なことが、チャレンジを楽しむこと。新しい取り組みに向き合う様が写真やテキストの行間から伝わり、自然と人々を虜にしてしまうのだろう。

期待が期待を生み出すとは、まさにこのことなのかもしれない。
いつも期待する
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3. 「自分の言葉」にするから、好かれる


企業には今後、サステナビリティ 、エシカルなどのトピックをはじめとしたソーシャルグッド領域の活動が求められるだろう。

その際に問われるのは、難しいことを複雑に語るのではなく、シンプルに自分の言葉で伝える解釈力。3人の「中の人」は、この点でもまさに達人だった。

タニタの「中の人」は「何かやるならおもしろいほうがいい」と語り、タニタ流の働き方改革に賛同して雇用形態を自ら刷新し、タニタの企業精神を言葉だけでなく体現してみせた。

美術館ユーザーに向けた森美術館の発信は、固くなりがちな展覧会の情報をわかりやすく読みかえることで、フォロワー数や来館者数を伸ばし続けている。

そしてイノセントは「複雑なことほどシンプルに」をモットーに、社会課題への取り組みを好感度高くファンに伝えることに成功している。

3人の「中の人」は、自分の言葉に言い換え、時には行動にも移すことで、荒れる時代の波を軽やかに乗りこなしていた。
自分の言葉にする
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これらの法則に加えて、3人の「中の人」のチャレンジや「やりたい」を後押しする風土や文化が、それぞれの企業にあったことも忘れてはならない。

大前提として、企業のSNSアカウントが【人に好かれる】ためには、「中の人」が自由に創意工夫できる環境や文化が必要だ。

今後、人に好かれる企業やブランドの指標が大きく変わってくるだろう。その中でもSNSアカウントは大きな資産になるはずだ。

なぜ企業アカウントでありながら、多くの人から注目されて愛されるのか。このシリーズを通して見えてきた法則は、新しい時代のブランドをつくっていくうえで欠かせない視点になる

(横石崇)

当記事はライフハッカー[日本版]の提供記事です。

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