日本の薬局で手に入る白い粉 驚きの効力に「知らなかった…」と驚愕する世代も

しらべぇ


日中帯は残暑が目立つ日も多いが、時折り感じられる涼しさは完全に秋のそれ。季節の変わり目は体調を崩しやすくなるため、喉のケアなどを怠らぬよう気を付けたい。

ツイッター上では以前、製薬会社・龍角散の、とある商品が大いに注目を集めていたのをご存知だろうか。

■「のど飴」を舐めていたら…


話題となったのは、作家・岸田奈美氏が投稿した一件のツイート。



投稿には「声が枯れてしまって龍角散のど飴舐めてたんだけど治らず、めそめそしてたら合唱団所属の編集者氏から『粉や!龍角散は粉!』と言われてスプーン飲んだら、一発速攻で全快したんやがなんなんこれ…」と驚きの文章がつづられ、添えられた写真からは、銀色のケースに詰まった龍角散のパウダーが確認できる。

なおツイート本文は「こんな粉が末端価格657円でドラッグストアで買える国やばすぎ」と、これまた驚愕した様子で締められている。

【話題のツイート】銀の缶にたっぷり詰まったのは…

■世代によってバラつきが…?


投稿からわずか数日で3.5万件ものRTを叩き出した岸田氏のツイートには多数のリプライが寄せられているのだが、よくよく見るとある特徴が存在することに気づかされる。

例えば「龍角散といえばのど飴」というイメージしかなかった人々は、「のど飴以外に、粉のタイプがあったなんて知りませんでした…」「ずっとのど飴だけだと思っていたんですけど、龍角散には粉があったんですね」「初めて見た…」といった具合に、こちらのパウダーに対する驚きの声を上げていたのだ。



一方で「龍角散といったらやっぱり粉よ」「むしろ龍角散って、のど飴よりこっちでしょ?」などの「龍角散といえば粉」派からの声も決して少なくなく、中には購入経験がなくとも「ばあちゃんの家で見たことがある」「おじいちゃんが使ってるのを見て飲んだことあるけど、苦かった」といった体験談を寄せる人も確認できた。

「龍角散といえばのど飴か? 粉か?」という論争をしらべぇ編集部内で行なったところ、「のど飴派」(食品)が優勢であったが、年長の編集部員からは「粉派」(医薬品)という意見が多かったのが印象的であった。



そこで今回は「龍角散の粉」をめぐり、(株)龍角散のマーケティング部に直撃取材を敢行。すると、予想外すぎる様々な事実が明らかになったのだ。

■予想外の大物が登場




今回の取材に際し、マーケティング部の担当者から話を聞くつもりだったのだが…なんと取材現場に姿を見せたのは、同社の代表取締役社長である藤井隆太氏。8代目社長にあたる藤井氏は「龍角散の粉」にまつわる紆余曲折の歴史を、非常に丁寧に語ってくれたのだ。



「龍角散」の歴史は非常に古く、元々は関ヶ原の合戦以降、藤井社長の先祖に当たる当時の「藤井家」(秋田藩の御典医を務める)が、藩の秘伝薬に蘭学で得た知識を融合させ、生み出した粉薬が現代まで脈々と伝わる「龍角散」になるという。

当時は一部の人々しか使用できなかった文字通り「秘伝」の薬だった「龍角散」に転機が訪れるのは、明治維新の頃。藩の秘伝薬を全国に販売することとなったのだが…当時の業績について藤井氏は「全く売れていなかったようですね」と振り返る。

このまま「龍角散」は「いち地方の秘伝薬」として歴史に埋れてしまうのか…と思いきや、大正時代末期ごろから「スペインかぜ」の流行を受け、需要がにわかに高まり始め、好転を見せていく。この頃から「龍角散」の大量生産が始まり千代田区に工場が建造されたワケだが、こちらは建て替えを経て、現在の本社ビルに生まれ変わっている。

ここから「龍角散」の快進撃が始まるのだろう…と記者は予想していたのだが、藤井氏の口からは「残念ながらこの後も、長らくどん底の時代が続きました」という意外すぎるカミングアウトが。

■ここから逆転が始まる…!


「ゴホン! といえば龍角散」というキャッチフレーズに馴染みがある人も多いかと思うが、じつは80年代から90年代にかけて、同社の業績はかなり低迷していたという。

藤井氏が社長に就任した95年には「売上高と負債がほぼ同額」という凄まじい逆境に立たされており、藤井氏自身も「これからは小林製薬の『のどぬ~る』の時代だ」「喉に塗る粉なんて、もう化石のようなものだ」とまで考えていた始末。

しかし一方で、そんな「化石」状態にあった龍角散の粉を買い続ける人々がいることに興味を覚え、調査を行なったところ「龍角散は副作用が比較的少ないから、安心して飲める」といった意見が多いことに気づいたという。

実際「妊婦でも問題なく飲めるから」といった具合に産婦人科医から勧められた女性もかなり多かったようだ。こうしたユーザーインタビューを経て「龍角散」の良さを認識した宣伝を実施した結果、新しいユーザーが商品を手に取ってくれるように。

しかし「飲みづらい」というクレームが多く発生してしまい、そこから「龍角散を初心者に飲ませるのはやめよう」と考え方を改める。



そうして誕生したのが「龍角散ダイレクト」(医薬品)であり、令和の現代でも多くのユーザーに親しまれている「龍角散の のどすっきり飴」なのだ。なお、のど飴に含まれているのは、あくまで「龍角散をコンセプトに独自開発したハーブパウダー」であり、「龍角散」そのものが練りこまれているワケではない。



とはいえ喉に良いとされるハーブを配合しており、ユーザーからの評価も上々。記者も「龍角散といえばのど飴」というイメージを持つ人間の一人なのだが、喉に違和感を抱いた際、何度あの独特なハーブの味に救われたことか…。

藤井氏は「昼間にのど飴を舐めて、夜はうがいした後に、一日酷使をして弱った喉のケアのために、龍角散ダイレクトや、龍角散を使用してほしいですね」と、理想の喉のケアについて語る。

「歯が痛くなってから歯を磨く」のでなく、「日常的に歯を磨く」ことが虫歯の対策になっているように、喉のケアもこうした具合に「日常的に実施する」ことが重要なのだ。

■コロナ禍のいま、需要が高まる理由


2015年ごろから人気に決定的な火がつき、のど飴市場でぶっち切りのトップを誇るのが同社ののど飴。



「医薬品メーカーがのど飴業界に参入する」という快挙は決して他社が真似できるものではなく、店頭のお菓子コーナーに陳列される「のど飴」に、医薬品のような格式あるパッケージデザインを使用しているのも、同社の自信の表れ。



販売当初は「こんなのお菓子の棚に置いても売れないですよ…」と不安の声が飛び交ったそうだが、「変わった位置付けで結構です!」という思いからデザインを決定。その結果、ポップなデザインの商品が並ぶのど飴コーナーにて、一際異彩を放つことに成功したのも、龍角散の「高い信頼性」があってこそである。



また、「菓子類」である「のど飴」がまるで医薬品のような、歴史を感じさせるパッケージデザインをしているのに対し、「医薬品」である「龍角散ダイレクト」は現代風でシャープなデザインをしているのも、注目したいポイントの一つ。



こちらも龍角散の戦略で、「龍角散の粉が苦くて飲めない…」という若手ユーザーが手に取りやすいよう「龍角散ダイレクト」は若者向けのデザインとし、一方で他の食品メーカーが絶対真似できない「のど飴」は「薬っぽさ」を前面に押し出しているのだ。

なお「龍角散ダイレクト」に関しては、中国や台湾での売り上げも凄まじく、コロナ禍にある現在では、「マスクをつけると通常より大きな声を出す必要があり、声がかれたり喉が乾燥する…」といった悩みを抱えた多くの人々から絶大な信頼を得ているという。

■「喉を元気にしてあげてください」


同社および、「龍角散の粉」が歩んできた長き歴史について語ってくれた藤井氏。



改めて、同社の商品を使用している人々への思いを尋ねると、「皆様には本当に感謝の気持ちしかございません」「セルフメディケーションという言葉もございますが、我われ日本人は健康に関する意識が、非常に高いと感じております」と、神妙な面持ちで語り出す。

その後は「健康的な生活を送る上で、喉は非常に大切な器官となります」「どうか皆さま、龍角散を使って喉を労い、喉を元気にして、喉を健康にしてあげてください」と、喉のスペシャリストならではの思いを続けてくれた。

当記事はしらべぇの提供記事です。

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