BugLug 一聖(Vo)が語る、コロナ禍でのライブを成功させても拭えないアーティストの本音

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BugLugが10月9日、東京・なかのZEROにてワンマンライブ『SECRET OF A LIFE CERCUS』を開催する。人の人生をサーカスに例え、その表舞台のみならず、裏舞台まで音楽で表現していくという今回のステージについて、ボーカルの一聖に話を聞いた。このインタビューでは、ステージではオラオラでキレまくりながらも、普段は穏やかという一聖の表舞台と裏舞台の顔を浮き彫りにすると同時に、このコロナ禍でツアーを再開させ、主催イベント『バグサミ2021』を大成功させても拭えないアーティストの本音も聞くことができた。


――BugLugは毎年スローガンを掲げて活動してきてましたけど。今年のスローガンは?

今年は正直、そういった気分ではなかったので、掲げているものはないんですよ。去年バンド10周年の最中、コロナ禍になったときから、公式YouTubeを通して毎日配信とか、バンドとしてはありえないようなことをやっていったんですけど。それでも未だ世の中はコロナ禍が続いている訳で。俺のなかではもう何が正解なのかちんぷんかんぷんで。とてもスローガンを掲げる気分ではなかったです。

――なるほど。いまお話に出たように、BugLugとしては昨年始動10周年イヤーを迎えたとき、前ドラマーの脱退を受けて4人で活動を開始。その矢先にコロナ禍となり。そうして昨年5月に新ドラマー・悠介さんが加入するというめまぐるしい展開があった訳ですけど。そこについて詳しく教えてもらえますか?

まず前ドラマー脱退を受けて、バンドとしてドラムを入れるというのは当然の発想なんですけど、どうせ新メンバーを入れるんだったらDJでもよくない? ダンサー入れてもよくない? 女性を入れてもよくない? っていうところまで発想が広がっていたんですよ。どうせだったらここから新しいBugLugを作ろうよという感じで、最初は4人で延々とそういう話をしてたんです。

――バンドとして、外からの大きな刺激を欲していた時期でもあったんでしょうね。

と、俺は思ってました。なんですけど、あくまでも俺らはバンドとして続けてきてた訳だし。そのスタイルは変えたくないというので、ドラマーは必要だよねということになって。10年目、新しい形の5人のBugLugで、初心に戻って動きだそうということになったんですね。それで、本来は10周年のワンマンライブを去年5月にLINE CUBE SHIBUYAでやる予定だったので、そこで悠介の加入を発表しようとしてたんです。だけど、コロナの影響でライブが中止になってしまった。今後大きい舞台でいつワンマンができるかまったく見えない状況下だったので、じゃあいつ加入させるの? タイミングなくね? って。あれにはマジで戸惑いました。それで去年8月9日、本来であれば『バグサミ2020』を行なう予定だったんですけど、まだコロナ禍だったので配信というスタイルに形を変えて開催して。そのなかで、サプライズでライブをやって悠介加入を発表しました。

――悠介さんを選んだ決め手はなんだったんですか?

他のメンバーは確定してたんですけど、僕だけ最初、反対してたんです。プレーヤーとしてはいいと思うんです。普通に上手いんで。でも僕はそこでバンドをやってる訳ではなくて。人間性なんですよ、その人の。だから、悠介はどういう人なんだろう?というのを、一緒に飲みに行ったりして、自分なりに探っていって。それを繰り返していくうちに“いいヤツじゃん”ってなって決めました。

――悠介さんが入ってどうですか?

新しい刺激を感じてます。前のドラムとは真逆のタイプなので。プレイも人間性も。俺より全然大人だなと思います。


俺は私生活=バンド人生だったんです。いまバンドも公に出づらい状況が続いてる。だから、難しいですよ。精神的には。


――悠介さん加入発表後は、配信番組内で生まれた「絆・創・幸」、「人間へと帰りたい」という新曲を含むコンセプトベストアルバム『Rock Band is Not Dead』を11月24日にリリースしましたよね。

ニューアルバムを作ることもできたんですけど、この作品は“Fuck The CORONA Collection”というサブタイトルがあって、いまこの状況に立ち向かうためのBugLugの楽曲を取り揃えたもので。そこに新曲をプラスして『Rock Band is Not Dead』と。“バンドは死なねぇぞオラ!”と吠えたのがあのアルバムで。あれはあれで、俺ららしい形で出せた作品だなと思ってます。

――そうして、バンドとしては今年に入ってからはコロナの状況を踏まえて延期になったりしながらも、なんとか有観客ライブを開催。

世の中の状況に振り回されながらですけど。だから、俺は精神的にはぐちゃぐちゃっすよ。いまでも。俺は私生活=バンド人生だったんですね。いま私生活がよく分からない状況に陥ってて、バンドも公に出づらい状況が続いてる。だから、難しいですよ。精神的には。こんなこといままで世界的にもなかったことだし。俺はいままで1回大事故やらかしてますけど、そのときは“もっと頑張んなきゃ”って自分のなかでコントロールできたんです。けど、いまの状況は自分がどうこうしたってどうにもならない。でも、もしかしたら音楽が少しでも心の救いになるんじゃないかとは思っているんですけど、世の中はそういう認識ではない気がしていて。“ライブ行かなくてもよくね?”、“なくてもよくね?”っていう人はいっぱいいる訳だから。やってる側としては、何がなんだか分かんねぇやとは思いますよ。いままで10年以上、ライブを通して音楽の必要性をずっと感じてきた身としては。

――あー、たしかにそうですよね。

いまはときたましかそれを感じる機会がない訳だし。しかも、制限されたなかでのライブですからね。だからもう、こっちとしてはなんのこっちゃっていう感じですよ。精神状態としては。

――今年ワンマンツアー『再興Rock Band is Not Dead』が成功しました。『暴く』、さらには『バグサミ2021』という2本の主催イベントもUSEN STUDIO COASTをSOLD OUTさせて大成功で終わりました。けれども一聖さんの心は。

いまもざわついたまんまですよ、日常では。ライブをやっているときはいいんですよ。“やれてよかった”とは思うんですけど、その日だけですね。いままでだったらその続きがちゃんとあったので。

――そう、そこは確実に違いますよね。感覚が。

『バグサミ2021』をやったときは、なかのZEROワンマンを発表しましたけど。でも、遠い未来のことを考えると“どこに行くんだろう?”みたいなことになっちゃってますね、正直なところ、俺は。

――ライブの規制はいつなくなるのか、とか考えると止まらなくなっちゃいますよね。けれども、そんな見えない未来をぶっ飛すぐらい今年の『バグサミ2021』のBugLugのステージは痛快でしたよ。“コロナに制裁を”という一聖さんのオープニングの一撃。あれで、これはきたぞと思いました。

やった!(笑顔) 俺もその感じはありましたね。

――それで、ライブが始まってみたら一聖さんはそのテンションのまま最後までいききってて。本当にかっこよかった。

ありがとうございます。これが俺なんだなと思いました。去年やれなかったのももちろんあって。制限されたなかでもSOLD OUTしてくれたありがたみ。あとは、あの環境下で出演してくれたバンドへのありがたみをすごい感じているなか、主催者である俺らが完璧なライブをやらなきゃ意味がねぇなというのはすごい思ってましたから。そうやって、完璧なライブができるときもあればできないときもある。バンドは人間がやっているので。その人間性こそがバンドの面白いところかなと思いますね。人間って、喜怒哀楽を抱えている生き物なので。

――あっ、そこは今度開催するワンマンライブ『SECRET OF A LIFE CIRSUS』の予告ムービーに描かれていることにも通じている部分ですね。

そうです。そういう人間という生き物をサーカスを使って表現できたらと思って、ああいう映像を作りました。


――サーカスというモチーフが出てきた理由は?

サーカスに出ている演者たちというのは、ヤバいことをやっていたり、面白いことをやっていたり、いろんなバリエーションがある。でも、そこに至るまでにすごい苦労や努力、練習を何回も繰り返してあの舞台に立っている訳で。だけども、その先には来てくれたお客さんみんなが笑顔になってくれたら、演者である自分たちもお客さんの喜ぶ顔を見て笑顔になれるという逆転劇が待っている。これはあくまでも個人的な話ですけど、さっきも話したように、僕はいま、ライブをやりたくてもやれないモヤモヤした状況がずっと続く中、辛い経験もいっぱいしてきた。とはいえワンマンライブの舞台に立ったときはみんなを笑顔にするパワーは絶対に持っている。その確信が自分の中にある。だから人生をサーカスに例えてみました。

――予告ムービーはただ華やかで楽しそうなサーカスだけではなく、モノクロの映像を使っている部分もありましたが。

そうですね。そこはサーカスの裏側ですね。公に立つときは裏側の姿は見えない。だから、俺でいうと、今日話しているようなモヤモヤした自分はあのモノクロの部分です。だけども、BugLugというものを背負って表舞台に立ったときの俺は、自分のいいたいことは歌詞で全部いえてるから、自分の中のいまのモヤモヤは全部吹っ飛んでいって。それにお客さんもシンクロしてくれて、嫌なことを全部発散して“楽しい、楽しい”って笑顔になってくれる。その構造をサーカスに例えた感じですね。

――なるほど。オフィシャルSNSのほうではライブ当日は新曲をもって行くという発表もありましたが。

まだ作っている段階なんですけど。今日話したようなモヤモヤしたことを考え続けても何も変わらないから、そういう自分を切り替えるためにも俺はこうなんだぜって決意表明みたいなことを言い表せる楽曲にしようと思ってます。

――楽曲で、自分で自分のケツを叩くというか。

そうです。俺は自分で自分に強く言い聞かせないと動かないタイプなので。だから、それを音楽で表現するというのがいままでの自分の人生の武器、やり方なんですよ。それに共感してくれる方々がいるからこそ、いまもBugLugがやれているんだと思います。

――一聖さん自身、表舞台では“コロナに制裁を”とか“この国は狂ってる、この国に騙されるな”とか挑発的かつ攻撃モードのスイッチが入ったフロントマンになりますけど、普段の一聖さんは人柄は穏やかで。

そうですね。ステージとは真逆です。

――歌詞同様、ウダウダ考える自分を切り替えるスイッチがステージに上がるときも入る訳ですか?

まさにそうです。

――バンドをやりだした当初からそういう切り替えをしていたんですか?

いや。BugLugをやりだして1~2年目ぐらいからそうなりました。最初は、いい曲いい歌詞をいい歌で歌えるように、だったんですけど。途中から、おや? なんか違うぞ、と。これはみんなが違うのか俺が違うのかってなったとき、俺だなってなって、いまのスタイルになったんですよね。普段の自分は、自分でいうのもあれですけど、本当に穏やかで。そこはずっと変わらないんです。けど、いまのスタイルになってからは、バンドのライブってなると装備品もすっごい持っててめっちゃ武器を抱えて、鎧も着て“最強だぜ俺は”っていうテンションになるんです。

――だから、あんなに威勢がいい感じに?

戦いに挑むモードになるというのか。プロレスラーじゃないけど“リングの上に立ったら俺がNo.1だぜオラ”になっちゃいますよね(笑顔)。なぜか。


基本、真面目なので。ですけど、ステージでは豹変しますが、なにか問題でも? という感じで(笑)。


――そのスイッチって自分で入れるものなんですか?

いや、そこはよく分かんないですよ。ただ、自分でいったことに“よっしゃ、俺いまいいこといった”って自画自賛してブーストが入るっていうのはありますよ。

――“コロナに制裁を”って叫んであと、お客さんが沸き立つ空気を感じて“俺、いまかっこいいこといっちゃったわ”って?

ええ。まさに。周りの反応がよければ一気に100%超えたところまでブーストしていくんで。でも、自分で“よし、いいこといった”と思っても、会場の雰囲気で“あれ? 違ったかも”というケースもあるので。そのときは、その雰囲気に飲み込まれて低下するんですよ。そんな感じですね、俺は。

――あはははっ。一聖さんはそこで自分に嘘をついてまでブーストした自分を演じたりが。

できないですからね。俺、そんな器用じゃないんで。

――一聖さん以外のメンバーはもっと器用に。

できると思うんです。だから、全部俺のせいです。BugLugのライブがよくないときは。

――いやいや、そこまでいってないですけど(笑)。でも、その自分の喜怒哀楽に嘘をついてないところは一聖さん、BugLugのよさで。いいところも悪いところもあってこその人生というところは、今回のライブに通じるところで。

そうですね。思えば、BugLug自体も楽曲は多彩で、ジャンルレスで自由にやってきているので、楽曲においても喜怒哀楽がある。そんななかで、喜怒哀楽、辛いことがあっても悲しいことがあっても乗り越えようっていうところが歌の最終的なワードになってきていると思うんですね。それをBugLugの音楽、ライブを通して、みんなに届けられたらいいなと思ってますね。

――次のワンマンも、最終的に届けたいのは“いまを乗り越えよう”という前向きな気持ち。

そうです。そこはバンドとしてずっと変わらないところで。でも、今回はそれをサーカスをモチーフにしたコンセプチュアルな展開で表現していこうと考えているんですよ。

――えっと、それは例えば一聖さんが空中ブランコに乗って歌うとか?

めっちゃやりたいですね(笑)。象が出てくるとかやりたいですけど、莫大なお金がかかるんでなかなか難しくて。なので、今回はステージセットやセットリストで細かい部分まで作り込んで、サーカスを表現しようと思います。

――『SECRET OF A LIFE CIRCUS』とタイトルに“SECRET”を入れた意味は?

本来サーカスはみんなが笑顔になる幸せな場所なんですけど、その裏側に隠されている部分も含めて見せるよ、ということです。そこは舞台に立つ俺たちだけじゃなくて、来てくれたみんなも同じ感情なんじゃないかなと思うんですよ。舞台に立たないにしても、会社や学校が舞台と考えれば、やっぱりそこには喜怒哀楽、いろんな感情がありながら日々人生を歩んでいってると思うので。きっと共感してもらえるんじゃないかなと思います。

――では最後に、ライブに向けて読者のみなさんに一言お願いします。

この状況のなか、ライブに来てくれるというのは既存のファンであってもありがたいと思ってます。が、逆に“ありがとう”っていってもらえるぐらいいいライブにしたいと思います。

――普段の発言はいい人なんですけど。

基本、真面目なので。ですけど、ステージでは豹変しますが、なにか問題でも? という感じで(笑)。

取材・文=東條祥恵 撮影=大橋祐希


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