Ayase feat.初音ミク「夜撫でるメノウ」のテーマは別れ?切なく心に沁みる歌詞の意味を考察

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セルフカバーでも注目!YOASOBI・Ayaseの人気ボカロ曲


▲Ayase feat.初音ミク - 『夜撫でるメノウ』【OfficialYouTube】

Ayaseといえば音楽ユニット・YOASOBIのコンポーザーとしての活躍が目覚ましいアーティストですが、そのかたわらボカロPとしても活躍の場を広げています。

今回紹介する『夜撫でるメノウ』は2019年2月11日に発表された4作目の楽曲。

公式YouTubeチャンネルで公開されているボカロ版・セルフカバー版の動画が合わせて約1,500万回再生されている人気曲です。

Ayase自身も「本当に大好きな曲」と語っており、2021年9月8日に『夜撫でるメノウ/幽霊東京』がセルフカバーシングルとして配信リリースされたことで再び注目を集めています。

タイトルに登場する「メノウ」とはパワーストーンの一種で、細かな石英の成分がいくつも混ざり合うことにより幻想的な縞模様が形成されるのが特徴。

この楽曲のテーマをAyaseが「別れ」と明かしていることから、大切な人との別れに直面した時の複雑に重なり合う感情を指していると思われます。

静かな夜を描き出すようなメロディと共に紡がれる歌詞の意味を考察していきましょう。

時刻は終電もなくなった夜12時前。

主人公の女性とその恋人は「これからどうしようか」と言いながら、心の中ではこのまま二人だけの時間を楽しみたいと考えているようです。

もうすぐ迎える明日のことは考えず「終点なんてない」恋人との大切な「今」を謳歌するカップルの姿が見えてきます。

続く歌詞で、あんなにも仲睦まじかった二人の光景は過去になってしまったことが読み取れます。

「いつもと同じペースで歩く」のは、まだ明るい時間。

もう終電を逃して二人で過ごすことはありません。

目の前に広がる景色は「いつまでも変わらないまま」なのに、二人の関係も心情も変わってしまいました。

「あの頃は子供だったね」と簡単に片づけてしまうには、お互いに傷つき傷つけ合うことが多すぎたようです。

このままずっと一緒にいても楽しかった思い出という幻に囚われて、きっとまた傷つけ合ってしまう。

だからもうこれで終点にしようと、あの日終電を逃した駅で「さよなら」することを決めます。

交際していた間、主人公は本当は苦手なのに、どうにか愛情を伝えたくて言葉で表現しようと頑張っていたのでしょう。

関係が終わってしまったからといって、そのひたむきな努力やきらめくような気持ち、恋をした自分まで否定したくはないものです。

「美しく思えないといつかは消えてしまうの」というフレーズも、築いた愛と過ごした時間は大切にしていたいという気持ちの表れのように感じられますね。

ずっと一緒にいたのにもう明日からは別々に過ごすという事実に、彼女はまだ実感が湧かない様子です。

それでも「元気でね」と相手を思いやる言葉で、この関係を締めくくろうとしています。

足りない言葉が別れを呼んだ?




2番では、別れ話をした時のことを思い返す様子が描かれていると考えられます。

「いつもと違うテンポで笑う」彼にふと違和感を覚えた彼女は「君は今何を考えているの?」と思いつつも、心のどこかでは別れ話が始まることに薄々気づいていたのでしょう。

彼が作り出した「わざとらしく萎れた空気」が会話の行く末を暗示しているようで、漂う緊張感に思わず「少し息が震える」のも仕方がないことですね。

彼女はこれまでの会話を思い返し、別れの原因は大切な言葉が足りなかったからだろうと考えています。

「ありがとう」と「ごめんね」は、当たり前すぎて身近な相手ほど言い損ねてしまう言葉でしょう。

言わなくても伝わっていると思いがちですが、言わなくても伝わる気持ちなどないのかもしれません。

きちんと伝えてこなかったことを「ごめんね」と謝りたいけれど、それで結末が変わる段階はとうに過ぎてしまいました。

想いを言葉にすることは気恥ずかしいとはいえ楽しくて幸せだったはずなのに、いつの間にか「息苦しく」感じるようになっていました。

「いつから変わってしまったの?」と問いかけるのは、自分か彼か。

もしかしたら時間を重ねるにつれてお互いに変わってしまったから、愛を伝えにくくなってしまったのかもしれませんね。

関係を修復できないまま終わってしまうことに半ば呆然としながら、彼女は別れを受け入れます。

終電を待つホームで迎える恋の終点




別れを決めた二人に残された時間はあとわずか。

次に来る終電に乗り込んだら本当にお別れです。

最後なのだから何か言いたいとは思うのに「ここからはもう一人で」進んで行くのだと思うとうまく言葉が出てきません。

沈黙の中で彼の表情から考えが伝わってきたのか「出逢わなければなんてそんなの思ってないよ」と告げています。

別れることにはなってしまいましたが、彼との出逢いそのものを否定する気持ちはないのです。

おそらく彼の方もそうですが、こんな結末に至ってしまったことへの後悔や謝罪の気持ちで泣きそうになっているのでしょう。

彼女こそ泣きたいはずなのに、そんな彼を「笑って」と優しく慰めています。

「君に貰ったこの愛」や「この手で触れた毎日」の美しさはまるでメノウのよう。

様々な出来事や想いが幾重にも重なり合って輝いていたことを振り返ります。

悲しいからではなく「あまりに美しいから涙が溢れてしまうよ」というフレーズは、この恋が彼女にとって素晴らしいものだったことを物語っているようです。

そして、いよいよ本当に最後の言葉として選んだのは「ありがとね」。

きっと彼と出逢えたことや自分を愛してくれたこと、言葉足らずな自分を何度も受け止めてくれたことなど、これまで伝えられなかった感謝の気持ちをこの一言に凝縮しているように感じます。

謝罪ではなく感謝の言葉を選んだことに、これからお互いに前に向かって進んで行くポジティブな感情が込められているのでしょう。

暗い夜のような切なさの中にも、人の温かさが輝く歌詞が心にぐっときますね。

「夜撫でるメノウ」は静かな夜にぴったり


▲Ayase - 『夜撫でるメノウ(self cover)』【OfficialYouTube】

ボカロ曲には奇抜で印象的なものが多いイメージですが、Ayaseの『夜撫でるメノウ』は誰のそばにもきっとあるリアルな世界観を映し出していました。

別れは決して喜ばしいものではありませんが、それまで積み重ねた想いや日々はその人の心の中でいつまでも輝き続けるのではないでしょうか。

初音ミク歌唱のボカロ版は女性の愛らしい雰囲気があり、セルフカバー版はAyaseの優しい歌声がより情感を伝えてきて、動画のコメント欄はどちらも「最高」というコメントであふれています。

ひっそりとした夜のひと時、一人でゆっくりと噛み締めたい名曲です。

当記事はUtaTenの提供記事です。

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