バイプレイヤーの泉 第75回 『うきわ』森山直太朗、”私たちの森山”シーズン到来か


幼少期から熱血ドラマオタクというライター、エッセイストの小林久乃が、テレビドラマでキラッと光る"脇役=バイプレイヤー"にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。

第75回はタレントの森山直太朗さんについて。現在『うきわ ―友達以上、不倫未満―(以下、うきわ略)』(テレビ東京系)に出演中の森山さん。歌えば紅白、話せば爆笑、演じれば胸熱……と才能が毛穴からあふれているような彼について、熱く書き綴っていこうと思います。
○着古しTシャツと短パンが決まって見える中年、他にいた?

9月27日(月)に最終回を迎える『うきわ』。終わってしまうのはファンとしては寂しいけれど、一度読めば分かるあらすじを紹介しよう。

中山麻衣子(門脇麦)は夫の転勤について、広島から東京へ。が、夫は着任早々、同僚と不倫をスタート。その事実を知って苦しむ麻衣子を励ましてくれたのは、社宅の隣に住む二葉一(森山)。彼もまた妻の不貞に気づいて、モヤモヤした気持ちを抱えていた。そしていつの間にか一に惹かれる麻衣子。サレた者同士の思いはどこへ進もうとしているのだろうか……?

クズ夫とは離婚をして、一と結ばれたいと願う麻衣子。ただ一はその状況を望んでいない、進めずにジリジリ。実際に旦那の不貞で離婚をした友人に勧めると「生々しすぎて見るのがつらいんだが」と言われた。そうなのだ。『うきわ』には関わるひとたちが、決定打へ踏み込むことがない。みんなちょっとずつ逃げている。それがリアルさを醸し出していたのだろう。

この作品で森山さんが演じていたのは、妻が若い男性と不倫をしていることを知っている夫・二葉一役。それも不妊治療がうまくいかず、妻は社内で出産も出世も手にしている同僚と自分を比べて心が苦しくなっていく。毎日数ミリの単位で、離れていく夫婦の距離。一はこの状況に斬り込むことはなかった。それが優しさなのか、優柔不断なのかは紙一重の世界。

はっきりしない役柄こそ演じることが難しい。作品全体を俯瞰で見てもパンチの少ない作品は視聴者に理解されづらい。そんな環境下でも森山さんは完璧に一で、男の小さな哀愁を感じさせてくれた。
○普通よりも5センチ高のイケメンぶり

彼が一線級のシンガーであることは、もう周知の事実である。名曲『さくら』をこの20年間、カラオケで男性に何度も歌ってほしいとリクエストをした。いまでは卒業式の定番曲となっている。森山さんが有名歌手のサラブレッドであることは、すでに後づけだ。

歌うことをメインにしていた時代から「森山直太朗、いいよね?」と勝手にマイブームだった。育ちの良さから光る天然ぶり、"適量"なイケメン度。木梨憲武さんと仲がいいのは納得だった。個人的なツボとしては、首の太さが絶妙ということも加えておく。

そんな彼が演技の世界に進出してきたのは『HERO』(フジテレビ系 2014年)のゲスト出演。いくつかの作品を経て、朝ドラ『エール!』(NHK総合 2020年)藤堂清晴役で、ものすごい頭角を現してきた。この数年で培ったとは思えいほどの演技力で、わたしたちを泣かせてきた。彼は表現者であるだけで、何かのジャンルに固定する概念はないと、演技で訴えてきたのだ。今後、多くの作品で活躍していくのだろう。

と、ここで忘れないうちに伝えておきたい森山さんの魅力がある。それは2018年の結婚だ。一般的に考えると、地位も名誉も手に入れたアーティストが向かう先は港区女子である。『お相手は一般の方なので詳細は控えさせていただきます』という、結婚発表時の一文を何度読んできたことか。けして一般人ではなく、玄人並の美貌と、たくましさと、図々しさを備えた匂わせ女だろ? と毎度どれだけ突っ込んできたことか。

それが森山さんのお相手は同い年のピアニストだった。若い女に走らず、さも才能が惹かれあったと部外者でも分かるような結婚に、わたしだけではなく周囲のアラフォーも歓喜した。

少しずつではあるけれど、重力に負け、老けていく顔や体型を見せながら、彼は今後も後世に残る文化を残していくのだろうと期待。

小林久乃 こばやしひさの エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター。エンタメやカルチャー分野に強く、ウェブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。 この著者の記事一覧はこちら

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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