「『9.11』は風化しつつある」との警鐘も…アメリカ同時多発テロから20年、NYのZ世代は9.11についてどこまで知っている?

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※写真はイメージです

TOKYO FMで放送中の深夜のワイド番組「ON THE PLANET」。水曜パーソナリティの綿谷エリナが担当するコーナー「ON THE PLANET NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代(10代~22歳)」と「ミレニアル世代(23歳~38歳)」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どうした性質や特徴があるのかなどについて、ジャーナリストでミレニアル・Z世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で若者の本音を引き出していきます。

9月8日(水)のテーマは「Z世代への911歴史教育」。ニューヨーク在住のZ世代の若者たちに、「9.11についてどのような教育を受けたか?」などをインタビューしました。



(左上から時計回りに)「NY Future Lab」のメンバー ヒカル、シェリーめぐみ、メアリー、ケンジュ、ミクア

◆アメリカ同時多発テロ事件から20年
2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件から20年が経ちました。2021年9月11日(土)は、テロによって崩壊した世界貿易センター跡地「グラウンド・ゼロ」にて、2年ぶりに遺族・関係者のみを集めた追悼式を開催。バイデン大統領は9.11関連のすべての式典に参加しましたが、ミレニアル世代評論家・シェリーめぐみさんは「NYでは、それ以外のイベントは何もないんです」と語ります。

シェリー:コロナ禍の影響もありますが、この20年という長い間にかなり風化した感じはします。ところが最近はアフガニスタンを巡る情勢も変わってきて、アメリカ人はここで「終わっていなかったんだ」と、ようやく気がついたくらいだと思うんです。

シェリーさんは「新型コロナウイルスの流行」「BLM(ブラック・ライブス・マター運動)」「学校での銃撃事件」など、9.11以降に世間を揺るがす出来事が多発したことも風化の原因となったのでは? と分析。さらに、9.11発生当時に幼かった若者や、まだ生まれていなかった若者にとって9.11は「歴史上の出来事」で、「当事者意識があまりないのでは?」とも指摘します。

◆「街中に漂っていた煙の臭いを覚えている」

番組では「NY Future Lab」のメンバーであるZ世代のケンジュ、メアリー、ヒカル、ミクアの4人にインタビュー。9.11発生時に生まれていたメンバーに、当時の記憶があるかを聞きました。

メアリー:9.11の後に母が失業し、家にいたことをなんとなく覚えています。両親が見ていたニュースの映像を見て、「なんとなく怖いな」と感じました(当時5歳)。

ケンジュ:「怖い」という感覚と、NYの街中に漂っていた煙の臭いは覚えています(当時2歳)。

ヒカル:その年の冬にアメリカに行きました。当時の記憶は鮮明で、うまい表現が思い浮かばないんですけれど、「普通ではないな」と。ニュースでも事件の映像が流れていたと思います(当時5歳)。

シェリーさんも「建物がずっと燃えていたので、煙の臭いは当時のニューヨーカーにとって忘れられないですね」と話し、今でも当時の“臭い”はありありと思い起こせると語りました。

◆学校で9.11について教わらないケースも

アメリカの学校では「社会」の授業で、9.11について取り扱うことが多いそうです。事件当時まだ生まれていなかったメンバーのミクアは、学校でどのようなことを学んだのでしょうか?

ミクア:学校の先生たちから、それぞれの体験談を聞かされました。アートの先生は、ビルの最上階から事件のすべてを目撃していたそうです。人々がパニックになっていたり、何かを知ろうと必死だったりした様子を語ってくれました。

シェリー:その話を聞いて、ミクアはどう感じた?

ミクア:怖かった。特に授業で観たドキュメンタリー映画では、ビルの窓から落ちた人が道路に止めてあった車にぶつかる音まで聞こえた。それだけでトラウマになってしまいそうだったし、「実際にその場にいたらどれほど怖かっただろう……」と思いました。

一方でケンジュは、9月11日に学校で黙とうを捧げたことは覚えているものの、授業で9.11について教わった記憶がないと話します。ヒカルも「(毎年)9.11の当日だけは事件について習いますが、詳細までは習わないです」と話し、メアリーも「小学校のころに社会科見学で『911メモリアルミュージアム』に行ったことや、高校でイスラム教徒への差別問題について学んだことは覚えていますが、そんなに詳しいことを学んでいない」と振り返ります。

ニューヨーク州をはじめ、9.11について学校教育で教えることを義務づけている州はあるものの、全米50州のうち14州のみ。学校によっても対応のばらつきがあります。これについてシェリーさんは「あまり小さい頃に教えると『トラウマになるのではないか』という懸念や、生徒に遺族がいる場合の配慮もあります」と推測。

シェリー:また 9月11日は、公立学校はまだ夏休み中で、新学期が始まっていないときでもあるんです。でも、一番大きい問題は「9.11は終わっていない歴史」。それを教えるのがすごく難しい。

続けて、「もちろん事件の悲劇的な面も教えるべきなんだけれど、どうしても『悲劇』や『愛国心』など、そちら側に傾いてしまうのではないかという批判もあるんです」と、シェリーさん。

シェリー:今、世界で起こっていることは9.11を発端にしているので、これを知らないことには世界で起こっていることを理解できないし、同じ間違いを繰り返さないためにも歴史を知ることは必要なことなのかなと思います。

綿谷:「まだ終わっていない」ことが難しいところで、教えるのが難しいんでしょうね。ただ、アフガニスタンの情勢は日々変わっていくので、それと9.11がどうつながっているのかを学校で教えたり、考えたりする機会がますます大事になってくる気はします。

この日の放送は、TOKYO FMの新音声サービス「AuDee(オーディー)」にて配信中です。

<番組概要>
番組名:ON THE PLANET
放送エリア:TOKYO FMをはじめとするJFN全国34局ネット
放送日時:毎週月~水曜26:00~28:00(TOKYO FM)
パーソナリティ:武田俊(月曜)、玉川太福(火曜)、綿谷エリナ(水曜)、うらともえ(木曜)
番組Webサイト: https://audee.jp/program/show/27335

当記事はTOKYO FM+の提供記事です。

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