400万円で車を買うなら? SUVもいいけど「ゴルフ」のワゴンもあり!


400万円でクルマを買うとしたら、どんな車種が候補にあがるだろうか? ひょっとして、選択肢は全てSUV? しかし、待ってほしい。ステーションワゴンを再考してみるのはいかがだろうか。フォルクスワーゲン(VW)の新型「ゴルフヴァリアント」には、その価値があると思うのだ。

○ワゴンとハッチ、どっちにする?

新型「ゴルフ」(8世代目なのでゴルフ8と呼ばれる)が日本に入ってきたのは、本国での発表から1年半以上が経過した2021年6月のことだった。一方、このクルマのステーションワゴン版である「ゴルフヴァリアント」は、本国デビューから10カ月後の2021年7月に日本にやってきた。偶然かもしれないが、日本ではゴルフのハッチバックとワゴンが1カ月差で発売ということになったわけなので、どちらにしようかと迷っていたユーザーにとってみれば、ほぼ同時に両者を比べることができて、ちょっとラッキーだったのかもしれない。

ゴルフのステーションワゴンバージョンである「ヴァリアント」は、1992年に「ゴルフⅢ」(3代目ゴルフ)の派生モデルとして登場したのが始まり。積載力をアップするためゴルフのリアをまっすぐ後方に伸ばし、垂直なリアゲートを装備した実直かつ実用的なスタイルは、たちまち人気となった。その後のVWは、ゴルフが代替わりするたびにステーションワゴンを用意し続けた。累計販売台数は300万台以上に達している。
○これは「ゴルフ」のシューティングブレークか?

ゴルフ8のヴァリアントは、これまでと比べて見た目が大きく異なっている。横から眺めると、長いルーフは後方に向かうにしたがってなだらかに下がり、リアゲートの傾斜はクーペのように大きく角度がついている。となると、見た目はワゴンというよりも、ちょっとおしゃれなシューティングブレークのようなイメージだ。

その秘密は、ハッチバック(2,620mm)より50mmも伸びた2,670mmのホイールベースにある。両モデル間でホイールベースを変えるのは、歴代で初めてとのこと。そのため、ヴァリアントの前輪と後輪の間隔はずいぶんと長く見える。

ホイールベースが長くなった恩恵は足元スペースの拡大に直結している。レッグルーム長はハッチバックが903mmであるのに対し、ヴァリアントは941mmまで増加。乗り込むと、足が組めそうなほど広いのだ。

当然ながら、全長も伸びている。ハッチバックの4,295mmに比べると345mmも長く、先代ヴァリアントに対しても65mmの拡大だ。ラゲッジルームも大きくなっていて、容量は先代比6L増の611L、リアシートを折り畳むと同22L増の1,642Lに達する。

フロントからBピラーまではハッチバックと変わりがない。前から見ると、前面投影面積を減らすために先端が低くなったボンネットとワイドなエアインテーク部が目を引く。ヴァリアントでもゴルフ8らしい顔つきは健在だ。

流麗でのびのびとした新型ゴルフヴァリアントのサイドビューを眺めていると、「あの実用一点張りだったクルマも、ついにルックスにまで気を使うようになったのか」とちょっと感慨深い気持ちになる。

○走りは折り紙付きのステーションワゴン

新型ゴルフヴァリアントが搭載するパワートレインは1.0リッター3気筒か1.5リッター4気筒のガソリンエンジン。これに48Vのマイルドハイブリッドシステム(MHV)と7速デュアルクラッチギアボックス(DSG)を組み合わせる。ハッチバックと全く同じだ。

試乗したのは110kW(150PS)/250Nmを発生する1.5リッター版の最上位グレード「eTSI Rライン」。走った場所は都内の一般道と高速道路だ。

乗り込んでみると、フロントシートより前のインテリアはハッチバックと全く変わらないので違和感は感じない。センター部がチェック柄になっているファブリックにマイクロフリースを組み合わせたハイバックシートは、相変わらずホールド感に優れている。10インチの画面が2つ並ぶデジタルコックピットは、さまざまな表示方法が選べて認識能力も高い。

一方で、静電式タッチセンサーを介する各機能の操作は、やっぱり使いづらかった。センサー部分をタッチしたり、長押ししたり、指をスライドさせたりするのだが、慣れが必要だ。さらにいえば、ナビゲーションでの目的地設定に要する時間や、自動パーキング機能で駐車場所を見つけるまでの時間が、思ったより長くかかってしまうところも気になった。「デジタル化」を標榜するゴルフ8シリーズとしては、もう少し改善してほしい部分だ。

気になるポイントはいくつか挙げたものの、走り出すとネガの部分は影を潜める。48VのMHVと変速ショックがなくなった7速DSGに加え、4リンクのリアサスペンション、可変ダンパー、状況に応じてギアが変わる「プログレッシブステアリング」など、Rラインが搭載する最新装備が相乗効果を発揮し、VW車らしく硬めで上質な走りを提供してくるゴルフヴァリアントに、すっかり魅了されてしまうのだ。

バイワイヤの小さなシフトレバーは、モーションの量が少なくて使いやすい。コストダウンのためかプラスチッキーな感じが目立つセンターコンソールも、当たり前だが走行中は視界から外れるので全く気にならなくなる。

一般道の荒れた路面を通過する際には、「ザーッ」とか「ドンッ」というロードノイズがハッチバックよりもほんの少し大きめに聞こえてくるけれども、これはフラットで長い床面を持つワゴン車の宿命なので、目をつむるべきところだろう。

首都高に乗ると、ロングホイールベースの恩恵なのだろうか、ハッチバックよりもステアリングセンターがさらに落ち着きを増し、外乱をものともせず、まっすぐに走っているという安心感が伝わってくる。ワンボタンで作動する「トラベルアシスト」をONにすれば、前走車との車間を上手に調整しながらレーンの中央をビシッと走り続けてくれるので、疲れも少ない。

眼前のデジタルコックピット画面左側には、エンジンが2シリンダーモードになったりコースティングモード(空走状態)になったりする様子が頻繁に表示される。一所懸命に燃費を稼ごうとするその健気さには心を打たれるし、このまま数百キロでも一気に走って行きたいという気分にもなる。リアシートやラゲッジルームの広さは先に述べた通り。ステーションワゴンとして、新型ゴルフヴァリアントの出来栄えは相当に高いところにあると断言できる。

Rラインの価格は389.5万円。「Discover Proパッケージ」(19.8万円)や「テクノロジーパッケージ」(18.7万円)などのオプションを装着した試乗車は、総額400万円を超えていた。同じような価格帯であればSUVを選びたくなるユーザーが多いかもしれないが、ワゴンにはワゴンの価値がある。やっぱり、いいモノはいいのである。

原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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