派閥に逆らう若手の理屈/倉山満の政局速報

日刊SPA!

 いったい、今、日本で何が起きているのか? 総裁選で揺れる日本の政局を、日本近現代史の専門家である憲政史家・倉山満氏が解説していきます。第4回は第3回に続き、機能しなくなってしまった現在の自民党の派閥について紐解きます(以下、倉山満氏による寄稿)。

動きが出てきたので、速報。まずは前回の続き。八大派閥の五番目から。

◆お公家集団と揶揄されることも「岸田派」

岸田派47人

ここは、いつのまにか最も派閥らしい派閥になりました。

親分の岸田文雄元外相がいて、総理大臣を目指す。その岸田さんの下に子分の国会議員が集まる。今や、最も古い派閥になりました。ご確認正式名称は池田の名前から「宏池会」と言います。

さて、宏池会は「お公家集団」と揶揄されることも多々。2017年の総裁選では、現職総裁の安倍晋三さんに「私はどうすればいいですか」と岸田さんが聞いてしまったとか。

現職総裁に対して支持しないで「私が総裁選挙に出馬します!」って、「アンタやめろ!」って言うのと同じですからね。どうすればも何も、支持する以外は不支持なのだけど、最近の政治家はそんなこともわからなくなっている。

ただ、岸田派は伝統的な組織があるので、選対本部もすぐできるし、選対本部長もすぐ決まる。仮に総理になったら、幹事長とか官房長官とか、要の人事はすぐ浮かぶ。河野さんや高市さんには無い強みです。

ここまで、細田・麻生・竹下・二階・岸田が五大派閥。他は、本来は派閥とは言わない。

◆「石破グループ」でいいはずの「石破派」

石破派17人

マスコミがやたらと持ち上げるのが石破茂元幹事長の石破派。

親分の石破茂元幹事長がいて、総理大臣を目指す。その石破さんの下に子分の国会議員が集まる。までは派閥なのだけど、数。

自民党の総裁選に立候補するには、20人の推薦人がいなければならない。だから自分を含めて21人を切ると、一人前の派閥ではない。昔はそういうのを「グループ」と呼んだけど、今は派閥とグループの区別はいい加減。

21人いないんだから、「石破グループ」でいいと思いますけどね。仲が悪い安倍さんが8年も長期政権を築き、その間石破派は反主流派として過ごした。で、その8年間に他派閥に支持がまったく広まらず、「石破は何をやっていたんだ?」と呆れられる。

こういう調子なんで、石破派の国会議員は「我々が石破を派閥の領袖にしてやっている」と思っている。

◆実質は森山裕国対委員長が仕切る「石原派」

ついで、石原派10人

石原伸晃さんが領袖らしいけど、実質は森山裕国対委員長が仕切る。というか、森山さんでもっているグループ。国対委員長と言うのは、野党の言い分を聞いてきてそれを与党に持ち帰って話をまとめ、国会運営をする役割。

我慢強くて政策が分かる人でないと務まらない。森山さんという人は、これを史上最長任期でやっている人。

◆参議院は結束、衆議院は蜘蛛の子散らす状態「菅派」

これに加えて、「菅派」もあった。だいたい30~40人?

ただ、菅首相が正式に派閥を集めたことはなく、衆議院議員の「ガネーシャの会」とか参議院の会があるだけ。

参議院の方は結束はあるけど、衆議院は蜘蛛の子散らす状態。菅さんの退陣表明から3日でガネーシャの会が「今回の総裁選は自主投票で!」とか決めてた。それは「菅さんの言う通りには動きません」という意味。

◆総裁選に向け、まとまらない派閥の動き

さて、今までのところ、総裁選の派閥の動き。

細田派

安倍さんが高市支持だけど、不満たらたら。そもそもまとまりがない派閥が、さらにまとまりなし。ただし、参議院は別。

麻生派

河野さんが麻生さんの許可を得て出馬。しかし、甘利さんの男の嫉妬炸裂。(笑)分裂状態。

竹下派

参議院は結束だけど、衆議院はグダグダ。ただし、いつものこと。

二階派

鉄の規律がどこかに吹っ飛んでいった状態。二階さん、プッツン?

岸田派

さすがに結束。

以下略。

◆総選挙が近い=勝てる総裁選でないと自分が落選

派閥の親分が方向を決めれば流れが決まり、他派閥も合流、という方向にはなってないですね。

なぜか? 総選挙が近いからです。

ここで派閥の根本。派閥(の親分)に従えば国会議員でいられるから従います。今回は、勝てる総理総裁にしなければ自分が落選してしまう。

だから子分たちは勝手な動きをしています。そして、どこの派閥もまとまらない。まとまっているのは、選挙がない参議院の先生方。その参議院議員も来年7月に選挙があるので、「衆議院選挙だけの選挙目当てはやめろ」と牽制しています。

◆各派閥が「自主投票」となれば、一気に河野有利に流れる可能性も

若手の注目の動きが、こちら。自民党衆議院議員の当選3回以下の7割が集まった「党風一新の会」。代表世話人が福田達夫。福田康夫元首相の息子で福田赳夫元首相の孫。細田派所属。

「人気の進次郎に、実力の達夫」と永田町では有名だった。

そして、安倍元首相と仲が悪いとされる。事実、党風一新の会の設立趣意書には安倍政権批判ともとれる文言が。福田赳夫さんも若いころ、時の池田首相に反旗を翻し、「党風刷新連盟」を結成したことがあった。これで各派閥が「自主投票」となれば、一気に河野有利に流れるのでは?と思われています。

さて、どうなることやら。

―[倉山満の政局速報]―

【倉山 満】

’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。著書にベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』のほか、9月下旬には『嘘だらけの池田勇人』を発売予定。ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰し、「倉山塾」では塾長として、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交についてなど幅広く学びの場を提供している

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