進化型ヒモ男子がすごい!働く女性を徹底サポート、ちょっといいかも…|辛酸なめ子

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【いまどきの男を知る会 ファイルNo.31 いまどきのヒモ男子】

ヒモのイメージというと、売れないホストかバンドマンで女性の部屋に転がり込み、パチンコ代をせびったり、お金を使い込んでしまいには女性をソープで働かせる……そんな危険な図が浮かびます。

でも、今はジェンダー意識が高く、働く女性をサポートする進化したヒモ男子も出てきています。そんなヒモ2.0ともいうべき「ふみくん」さん(以下敬称略)にオンラインで取材させていただきました。これまでの13年のヒモ生活や恋愛について綴った『超プロヒモ理論浮いた家賃は1000万、寄生生活13年の逃げきり幸福論』(二見書房)が好評で、ライターとしても仕事しています。

◆えっ!いきなりヒモ卒業をほのめかす

画面ごしに見ると、メガネをかけた知的な雰囲気で年齢不詳ですが、伺うと32歳とのこと。20代に見えますが、やはり会社勤めをせずストレスフリーのヒモ生活だと老けないのかもしれません。ふみくんは、キャリアウーマンの「飼い主彼女」の仕事の都合で今は沖縄在住だそうです。

「ヒモには年齢制限ないですね。ただ本を書いたきっかけが、これ以上続けるのがムリだなって、いう思いで……。僕も30になってくると、同年代の宿主に結婚願望がでてきたりしますし。2人が良くても、家族にはさすがにヒモだと紹介できない。最近心苦しさを感じています」

と、いきなりヒモ卒業をほのめかすふみくん。実はまじめなタイプのヒモ男子です。キャリア系で高学歴の彼女の両親は、「ヒモ時々ライター」では許してくれないのではないかと懸念しているそうです。

◆ヒモ男子のゴールは彼女を起業させること?!

「20代の頃はちょっと笑えるんですよ。でも、だんだん年を取って笑えなくなってくると友だちに距離置かれちゃうんです」と、冷静に語ります。このままヒモキャラを貫いてほしいところでしたが……。

「今回、本を出しましたが、ヒモブランディングでずっと食べていけるわけではないだろうし、口八丁なので彼女を起業させてそこに入るとか、そういう手段を考えています」

たまに著名人や起業家の女性が夫や彼氏を自分の会社で働かせていますが、それはヒモ男子にとっては理想のゴールなのかもしれません。巷の企業で働くよりも自由で融通聞きそうです。

◆胃袋をつかみ心の隙間にスルッと入り込む

「もともと会社勤めするのがすごくイヤで、でも家事が得意だったので、家事で家賃が免除されるのならそれに越したことがない、と思ったんです。ラクだったのでヒモ生活に逃げました」

バリバリ働いている女性で部屋を片付けたり料理する暇がないという人は結構いると思うので、ヒモ男子が心の隙間に入ってきて家事をこなしてくれたら、もうヒモなしではいられなくなってしまいそうです。

「家事が得意っていうか苦労に思ってなくて、これで屋根壁代が免除されるのは小ずるい生き方なんじゃないかって思ってます。料理の腕ですか? 先日編集者に食べてもらったら、料理研究家の人と同じくらいうまいとか言ってました。彼女が朝起きたら3.4品とか出てくるようにしてますね」

さらに作った手料理の分配も彼女を優先。

「回鍋肉(ホイコーロー)を作ったとすると、肉の8~9割は彼女が食ってますね。肉をゆずってます」

消費カロリーが少ないヒモだからこそできるホスピタリティです。

◆ヒモの心得は風景に同化すること

料理以外の家事もしてくれるのでしょうか? 例えば虫が出たら対処してくれたり……。排水口の掃除もしてくれますか? (だんだんヒモ面接みたいになってきました)

「ゴキブリは全然平気です。今の彼女は虫を殺したくない派なので、ティッシュでつかんで外に捨てます。彼女がイヤがることは全部できるんじゃないですかね。排水口の掃除も好きですね」

ふみくんいわく、「相手のやってほしいこと見極めて気付いたら風景に同化してる」というのがヒモのポイントだそうです。空気清浄機とかお掃除ロボットに近い便利さです。

◆「会うとなにかあげたくなる」天性のヒモ

服装も主張しすぎずみすぼらしくなりすぎない、絶妙なライン。彼女が服を買ってくれるだけでなく、友だちも服をくれたりもするとか。

「ヒモの本を出してからやたらみんなおごってくれるんですよ。この服は男友達が買ってくれました。Tシャツとかスニーカーとか、会うと何かあげたくなるそうです。周りの人に頼って生きてます」

ふみくんは周りの人をけしかけてオフィス検定資格を取らせたり、プログラミング技術を学ばせたりして結果的に友人知人の収入が上がることで、いろいろ買ってもらう、という特殊なヒモ経済を回しているそうです。

「周りにいるひとたちが出世したりしてくれればそこで雑用もできるし。僕が本当に夢とか野望とか持ってないんで……」と語るふみくん。周りの収入を上げるヒモとは貴重です。

◆彼女の言うことは「赤べこ」になって全肯定

しかも珪藻土の壁のように邪気を吸い取ってくれるという……。彼女の言うことに対しても「赤べこ」のようにうなずいて全肯定。落ち込んでいる時はかわりに上司の悪口を言ったりして彼女の心を軽くしてあげているそうです。彼女が凹んでいるときは、岡本太郎の真似やエルモの声真似をして慰めます。

前に、別の知人で40代のヒモ男子、K藤さん(10代でバンドマン、20代で詩人を目指し、30代はひきこもり)の話を聞いたことがあるのですが、彼は彼女が落ち込んでいる時は全裸に靴下姿で裸踊りをして楽しませたそうです。疲れた時はふくらはぎを揉んだりしていたとか。

K藤さんも、個性を主張しすぎず、調度品さながらに静かに佇んで、彼女の視界に入っても邪魔にならないようにしていたそうで、ソフト系ヒモの素養には共通項があります。

◆ヒモ卒業を考える彼女とのラブラブ生活とは

他にも必要なスキルはあるのでしょうか? 例えば性的なテクとか……。

「あるに越したことはないんじゃないですかね。僕はとくに必殺技とか持ったことないですが……。ただ、今の彼女のことが好きになりすぎて自分で自慰するときも彼女のこと考えてるんです」

男性の性癖についてよく知らないのですが、聞くと普通はAVやエロサイトを見て別の人で発散するそうです。

「もう一途です。顔面が好みのタイプなんですよね。願ったり叶ったりです。芸能人に例えるとにゃんこスターのアンゴラ村長みたいな。ちなみにLINEもTwitterもGmailも彼女が皆パスワード知ってるんで浮気も何もできないです。毎日風呂も一緒に入りますし。僕が入ってから3分後に彼女が入ってきて、彼女が髪を洗うタイミングで僕が彼女の体を洗います。地蔵を洗うみたいな感じで。ベッドも4年くらい一緒で……」

と、ヒモの取材をしていたのが、いつの間にかノロケを聞かされる流れに。こんな風に、日々ヒモの愛情と奉仕で充電することで、彼女は仕事をがんばれるのでしょう。

◆ヒモ市場の発展に期待したい

今や時代の価値観も変わり、男だから働けとか女は家事をしろ、という役割分担から解放されつつあります。家事が好きな人が家事をして、外で働くのが向いている人が働けばいい……そんな柔軟なスタイルが広まれば、もっと生きやすくなるはずです。

マッチングアプリでヒモという項目ができたら、需要あるかもしれません。ヒモの間でも競争が起こり、よりサービス精神旺盛で眉目秀麗なヒモ男子が増えたりして……ヒモ市場の発展を見守っていきたいです。

<文/辛酸なめ子>

【辛酸なめ子】

東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著者は『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)など多数。

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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