貯金ゼロ夫婦の厳しい老後。月1.5万円で受けられる医療介護の限界とは?

日刊SPA!

 厚労省の調査によると、世帯主が50代の場合、貯蓄額は平均1049万円ほど。ただ、一方で貯蓄ゼロ世帯は14.8%もあり、実に6世帯に1世帯が「貯金ゼロ」というのが現実だ。そんな彼らを待つ老後とは、いかなるものなのか。平均収入だった年金生活者の限界値に迫る。今回は医療介護編だ。

年金だけで暮らす夫婦の家計簿をファイナンシャルプランナーの大西真人氏が作成。平均年収436万円を想定、厚生年金ありの場合、月の手取り収入は15.5万円。そのうち医療介護費で月5000円、余剰金として月1万円。合わせて出せる限界は月1.5万円となった。

◆病気・介護が必要になる前に、使える医療制度を知っておくべし

老後の生活において切実なのが医療と介護。家計簿の月5000円という金額は、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏に聞いた最低限確保した方がいい医療費の目安だ。

「高齢者になると誰しも病気の一つや二つはかかるもの。個人差はありますが、定期検診なども含めると夫婦で月々5000円程度は用意しておくことが大事です」

公的医療保険が充実しているおかげで、貯金がゼロ円でも必要最低限の医療を受けることができる。しかし、手術や入院が必要になるような病気を患った場合、1万円の余剰金をプラスした程度ではたいした足しにはならなそうだ。

「仮に貯金がゼロだったとしても、全く治療が受けられないという事態にはならないでしょう。ただし、貯金ゼロの場合、自由診療の治療をお金の問題で断念せざるをえない可能性も。

たとえば、がん治療に用いられる抗がん剤の中には健康保険が効かないものもありますし、先進医療も対象外。他にもお金がないと、手術後でも早めに多床室に移されるなど、制限されることはあります」

◆是が非でも健康体をキープ

医療費としての金を捻出できない以上、是が非でも健康体をキープしていなければならない。

「高齢者に多い病気として挙げられるのは生活習慣病で、特に糖尿病は気になります。年金生活で節約を気にするあまり、うどんやそうめん、焼きそばなど糖質の多い食事をしたり、缶詰のおつまみをおかずにお酒を飲むなど、何気ない習慣が原因で病気になる可能性が非常に高いんです。意識して野菜や果物を食べ、栄養を補うなど、病気になる前の段階で止める努力をしましょう」

◆介護は完全にお金次第。サービスにも格差が

意外にも、金がなくても受けられることがわかった医療だが、畠中氏は「介護は完全にお金次第で受けられるサービスが変わってくる」と医療との違いを熱弁する。

「介護が必要とされる要介護1の段階でも、公的介護保険を適用し、在宅にてサービスを受けた場合、1割負担で月々1万6765円がかかります。夫婦の医療費と余剰金を合わせた1万5000円では、この段階ですでに予算オーバー。かなり早めの段階でお金を理由に在宅介護サービスを諦めることになりかねません」

◆貯金ゼロ円夫婦に残された手段

特別養護老人ホームへの入居も、年金額が多いと費用も高めに。貯金ゼロ円夫婦に残された手段は軽費老人ホームの一種である介護型ケアハウスへの入居だ。

「介護型ケアハウスに住み替えられれば、夫婦で20万円前後で暮らせる可能性もあります。生活介護サービスや住居費、食費も全て含んでこの金額なので、年金生活でもギリギリまかなえる可能性が。年齢を重ね介護度が上がっても退去する必要がないので、終の棲家として住み続けることも可能です。

ただ、注意点としては介護型ケアハウスは数が非常に少なく、安くて評判の良い施設は満室なのが現実。急に探して運よく見つかるわけではないので、健康なうちから探さないとダメですね」

介護は情報戦。貯金ゼロ円夫婦が限られた資金の中で、少しでも手厚いサービスを受けようと思えば、事前準備が必要だ。

【畠中雅子氏】

ファイナンシャルプランナー。高齢者に向けて住み替え資金のアドバイスをする「高齢期のお金を考える会」の主宰。『病気にかかるお金がわかる本』(主婦の友社)など、著書は70冊を超える

【大西真人氏】

ファイナンシャルプランナー。南青山にてFP会社を経営。数々のメディア出演の他、YouTubeチャンネル「まさとFP」やVoicyを通してお金に関する情報を日々発信している

<取材・文/タカダショウゴ>

―[[貯金ゼロ円]の老後]―

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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