星野源の音楽は“オタク心”をくすぐる。ディープな知識と愛が現代にハマった

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アニメソング(アニソン)を語る連載、第五回目はあの国民的アニメの主題歌も歌った星野源さんについて。星野さんがたくさんの人が支持されているのは、彼自身がディープなオタク気質を持ち合わせているから?
カルチャーライターの曽我美なつめと申します。
アニメやマンガを愛するガチオタクである一方で、これまで約10年ミュージシャンとしても活動し続けるかたわら、現在は音楽ライターとしても活動している私。そんな私が音楽オタク&アニメオタクの両側面からご紹介していきたいと思います。

今回ご紹介するのはアーティスト・星野源さん。『映画ドラえもん のび太の宝島』のテーマ曲や『スーパーマリオブラザーズ 35周年』CMソングにも抜擢された星野さんの楽曲に注目します。実は“オタク気質満載”な楽曲の秘密とは?CD+DVD『不思議/創造 』画像

CD+DVD『不思議/創造 』画像

via CD+DVD『不思議/創造 』より作品への愛が溢れるオマージュ。今やまさに国民的人気を誇るソロシンガー・星野源さん。
映画やドラマなどの主題歌のイメージが強い彼ですが、1979年から50年以上に渡って、長年お茶の間で親しまれているアニメ『ドラえもん』の劇場版、『映画ドラえもん のび太の宝島』テーマ曲を担当。
大人から子どもまで幅広い世代に愛される本アニメの主題歌こそ、星野源さんが歌う『ドラえもん』となっています。

アニメタイトルをそのまま楽曲タイトルにした、なんともチャレンジャーな曲である本作。
ですがこの曲にはそんなタイトルに恥じない星野さんの『ドラえもん』愛や、原作者である藤子・F・不二雄先生へのリスペクトがあちこちに散りばめられています。歌詞のあちこちに登場する、『ドラえもん』の登場人物や物語を彷彿とさせるフレーズや、藤子・F・不二雄先生の名言をオマージュしたフレーズ。

曲に関しても、美しいストリングスの音色で奏でられる間奏のメロディをよく聞くと……お馴染みの『ぼくドラえもん』のメロディが使われている事に気付くでしょう。
(同じメロディでもテンポや音色が違うだけで、ここまで印象が変わるのは驚きですよね。)

星野源 – ドラえもん (Official Video)

via www.youtube.com
楽曲のPVに関しても、星野源×『ドラえもん』の世界観がより楽しめるような映像に。

見慣れた様々な『ドラえもん』にまつわる背景や、これまた見覚えのある鮮やかな青色のワンピースを着て踊るダンサーさん。
映像の中の星野さんもどことなくのび太くんを思わせるようなファッションで、徹底した『ドラえもん』の世界観が表現されている事を感じさせます。またそんな星野源さんによる、最新リリース曲となる『不思議/創造』。
『ドラえもん』以来3年4ヵ月ぶりのシングルとなった本作の『創造』は、任天堂『スーパーマリオブラザーズ』35周年を記念したテーマソング。
こちらも今や日本の国民的支持のみならず、世界的に愛され続けているゲームシリーズでもありますね。星野さん自身の「ものづくり」に対する思いと、マリオシリーズやそれを生み出した任天堂への愛とリスペクトをふんだんに詰め込んだ、というこの曲。

曲の随所にちりばめられたサウンドには、昔懐かしいマリオのゲーム効果音やニンテンドーゲームキューブの起動音を彷彿とさせるメロディなど。
ゲームにそこまで詳しくなくとも、多くの人が「あっ、聞いたことある!」と感じる音が満載です。

⇒次ページ:“一億国民総オタク化"する現代。膨大な知識と愛がハマった?一方で歌詞に関しても、任天堂という会社を知る人からすれば思わず唸ってしまうようなキラーフレーズがてんこ盛り。

とは言え任天堂という会社がここまで歩んできた歴史や信念を踏まえてこの歌詞を作るのは、一言で言えば非常に「オタク的」な星野さんの一面が顕著に見られる点でもあるでしょう。

星野源 – 創造 (Official Video)

via www.youtube.com“一億国民総オタク化"する現代。膨大な知識と愛がハマった?今や国民的アーティストのシンガー・星野源さんですが、一部のファンにとっては周知の通り、実は星野さん自身はいわゆる「オタク気質」がかなり強い人でもあります。

先述のアニメだけでなく『THE IDOLM@STER』シリーズや『MOTHER』などのゲームもお好きだったりと、かなりディープな二次元オタクであることでも知られている様子。

また彼のそんなオタク気質が発揮されているのは、二次元コンテンツだけではありません。
自身が生業としている「音楽」に関しても、星野さんは非常にオタク気質であることでも有名です。

先述した『ドラえもん』の音楽性に関して「ニューオーリンズを意識した」と語っている事や、ご自身が提唱する「イエローミュージック」は敬愛するマイケル・ジャクソンを始めとした「ブラックミュージック」を由来としている事など、一介の音楽好きと呼ぶだけでは片づけられないほどの深い愛と膨大な知識を、音楽に対しても抱いている事が感じられるのではないでしょうか。一昔前であればそんな彼の「オタク気質」全開の曲は、同じくごく少数派であった「オタク気質」な一部の人々に評価されただけで終わりだったことでしょう。

それが今、なぜここまで大勢の人々に支持される曲となっているのか。
それはずばりこの多様性が進んだ社会において、今や「一億国民総オタク化」が進んでいるから、というのも大きな原因の一助のように思います。CD 星野源『ドラえもん』画像

CD 星野源『ドラえもん』画像

via CD 星野源『ドラえもん』より
昔はアニメやゲーム、あるいは鉄道やカメラなど「普通の大人には理解しがたい趣味」を持つ人を総称していた「オタク」という呼び名。
ですが今や何かのオタクであることはある種当たり前であったり、場合によってはそれがステータスともなりうる時代がやってきています。

だからこそ、そんな「オタク気質」を感じる星野源さんの楽曲が。こうして大勢の人々に愛され、支持されているのかもしれませんね。星野源プロフィール音楽家・俳優・文筆家

2010年に1stアルバム「ばかのうた」にてソロデビュー。
2016年にリリースしたシングル「恋」は、自身も出演したドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌として社会現象と呼べる大ヒット。
2018年、国民的アニメ映画「映画ドラえもん のび太の宝島」の主題歌・挿入歌や、連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK)の主題歌「アイデア」を担当。12月にリリースした5thアルバム「POP VIRUS」では、オリコン・ビルボードなど主要ランキングで軒並み1位を獲得、現在も大ヒットを記録中。
2019年2月、5大ドームツアーを開催し33万人を動員。 10月には、国内外のアーティストを迎え制作したEP「Same Thing」をリリースし、大きな話題を呼ぶ。11月からは自身初のワールドツアーを開催。全会場ソールドアウトし、大成功を収めた。
俳優として2019年8月、映画「引っ越し大名!」主演、アニメ映画「夜は短し歩けよ乙女」、「未来のミライ」では声優を務めた。
作家としても著書「蘇える変態」、「いのちの車窓から」などを刊行。
幅広い活動が評価され、2017年3月に「第9回伊丹十三賞」を受賞した。
(アミューズWEBサイトより引用)■ 東京事変の“名探偵コナン”への愛。『永遠の不在証明』での遊び心と様式美がたまらない
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当記事はnumanの提供記事です。

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