
よく見てください。横棒が斜め!子どもの子を重ねた「子子」ではありません。
夏に大量発生する、やっかいな生き物。なんと世界中でいちばん人間を殺してる生き物の幼虫!
さて、なんでしょう?
夏の季語になっていて、小林一茶も詠んでいます

江戸時代の俳人小林一茶に次の句があります。
「孑孑や日にいく度のうきしづみ」
水の中で、一日のうちに何度か浮いたり沈んだりしている孑孑をながめ、詠んだ句です。
この句以外にも、夏の季語として数多くの俳人が孑孑を題材にした句を詠んでいます。
水の中で暮らし、くねくねと体を動かしながら、浮き上がったり沈んで行ったりする。
もうこれで、孑孑がなにかわかったのでは?
地球温暖化の波で、夏以外も活動中

正解は「ボウフラ」です。
ご存知、知らない間に血を吸われている蚊(カ)の幼虫です。流れのない水たまりや、放置されたままのバケツ、古タイヤ、下水溝などに生息し、水中のバクテリアや微生物を食べて暮らしています。
2016年のビル・ゲイツ財団の発表によると、マラリアやジカ熱、西ナイル熱、そしてデング熱など、蚊が媒介する感染症による死者は年間約72万5000人!これはあくまで把握できた数字で、現実にはさらに多いと考えられています。世界中でいちばん人間を殺している生き物の幼虫が孑孑です。
水中でくねくねと動く様子が、まるで棒を振っているように見えるから、「棒振り(ぼうふり)」「ボウフラ」と呼ばれるようになったといわれています。
孑孑は、気温25℃以上になると活発になります。そのため梅雨時から夏場にかけて多く発生してきました。しかし、最近はそれ以外の季節でも元気に活動しています。たしかに、春先や秋が深まった時期でも、蚊に刺されることありますよね。
その原因は地球温暖化。孑孑の世界にも環境問題が及んでいるのです。
この漢字にもチャレンジ!

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画像/PIXTA(漢字画像を除く)