「桜隊」の再結成記念公演『ヒロシマ』に常盤貴子・窪塚俊介が特別記念出演

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史上初の原子爆弾が広島に投下された1945年8月6日、折しも爆心地の至近距離に滞在していた劇団があった。その名を「桜隊」といい、そこにいた9名全員が原爆の犠牲となり命を失った。そんな彼らの遺志を継ぎ、“再結成”することを決めたのが「移動演劇桜隊」だ。来たる2021年8月6日(金)・8月7日(土)に再結成記念公演が行われる。上演作品は朗読劇『ヒロシマ』(原作:新藤兼人 新日本出版社「新藤兼人原爆を撮る」、脚色:丸仲恵三、演出:青田いずみ)。今回、常盤貴子窪塚俊介が特別記念出演する。

この公演は、当初2020年年8月6日に「桜隊」の慰霊法要と併せ予定されていた「追悼会」において発表される計画だったが、コロナ禍の影響により、今年2021年の「追悼会」に延期されていたもの。新しい「桜隊」が、かつての「桜隊」に演劇を献上してからの正式な活動開始となる。

【動画】桜隊再結成公演・告知

「桜隊」の前身は「苦楽座」といい、築地小劇場(および新築地劇団)出身の薄田研二と丸山定夫、そして藤原釜足、徳川夢声らによって、戦時下の1942年に結成された(三谷幸喜による『大地』の冒頭において築地小劇場へのオマージュとして銅鑼が鳴らされるが、実際に築地小劇場の第1回公演『海賊』で銅鑼を鳴らしたのが、後に「新劇界の團十郎」との異名をとり、やがて桜隊を率いることとなる丸山定夫その人だった)。その後「苦楽座」はメンバーの変動を経て、1945年1月には、大政翼賛会の設立した日本移動演劇連盟の傘下に組み込まれる。

大空襲によって東京中の劇場が灰燼に帰した同年3月、連盟より地方への疎開を命じられ、4月「桜隊」と改称、6月に丸山定夫ら15名が広島に赴いた。8月6日に広島の宿舎に滞在していたのは丸山定夫、園井恵子(元宝塚スター)、高山象三(薄田研二の長男)、仲みどり、森下彰子、羽原京子、島木つや子、そして裏方の笠絅子、小室喜代の計9名だった。午前8時15分、新型爆弾の投下によって5名(森下、羽原、島木、笠、小室)は現地で即死あるいは焼死。命からがらその場を脱出した4名(丸山、園井、高山、仲)もほどなくして亡くなり、劇団は事実上、全滅した。
原爆に散った桜隊9名(丸山定夫、園井恵子、高山象三、仲みどり、森下彰子、羽原京子、島木つや子、笠絅子、小室喜代) (写真提供:移動演劇桜隊平和祈念会)
原爆に散った桜隊9名(丸山定夫、園井恵子、高山象三、仲みどり、森下彰子、羽原京子、島木つや子、笠絅子、小室喜代) (写真提供:移動演劇桜隊平和祈念会)

この「桜隊」の物語は、書籍、映画、演劇などで数多く描かれてきている。現在入手しやすい書籍としては、『戦禍に生きた演劇人たち』(堀川惠子著)や『流れる雲を友に 園井恵子の生涯』(千和裕之著)などがある。また、演劇では『紙屋町さくらホテル』(井上ひさし作)、『残花-1945 さくら隊 園井恵子-』(詩森ろば作)が、つとに知られる。さらに映画では『さくら隊散る 』(新藤兼人監督)や、大林宣彦監督の遺作『海辺の映画館―キネマの玉手箱』など。

その映画『海辺の映画館―キネマの玉手箱』の中で桜隊の園井恵子と丸山定夫をそれぞれ演じたる常盤貴子・窪塚俊介が、今回の朗読劇『ヒロシマ』でも同役を演じる。

なお、終戦後の1946年に、築地本願寺にて移動演劇連盟や演劇界、映画界と一般などによる桜隊合同慰霊祭が営まれた。1952年には、苦楽座時代に苦楽を共にした徳川夢声の呼びかけにより多数の関係者の協力を得て、東京・目黒の五百羅漢寺に「桜隊原爆殉難碑」が建立された。

1975年には第1回「桜隊原爆忌」がおこなわれ、「桜隊原爆忌の会」が結成される。初代会長は佐々木孝丸・藤原釜足。続いて小沢榮太郎、滝沢修、浜村純、中村美代子、神山寛が歴代会長を務め、毎年「追悼会」を開催してきたが、2018年よりスタッフの高齢化などにより「追悼会」は休止となる。2019年に組織の存続について話し合いが持たれ、「移動演劇桜隊平和祈念会」と名称を改め法人化を準備するとともに、「移動演劇桜隊」として演劇をおこなっていくことが決まった。

なお、今年2021年の8月6日桜隊法要および追悼会は新型コロナウィルス感染対策のため、関係者のみの参列となり、一般客の参列は見合わせとなった(当日の飛び入り参加、受付も今回に限り行われない)。また、8月7日の追加公演もチケットが完売した。今後も新「桜隊」の活動を見守っていきたい。
1952年、徳川夢声らの尽力によって目黒の五百羅漢寺に建立された原爆殉難碑 (写真提供=移動演劇桜隊平和祈念会)
1952年、徳川夢声らの尽力によって目黒の五百羅漢寺に建立された原爆殉難碑 (写真提供=移動演劇桜隊平和祈念会)

当記事はSPICEの提供記事です。

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