ジャンプ担当編集が語る『ヒロアカ』のすごさとは? 川島・山内のマンガ沼web


麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。前回放送された「マンガ家ガチアンケート特別編」の模様をお届けします。

第1話のデクが飛び出す絵を見て「ヤバい!」と思った


川島 今日も山内くんに代わって和牛・水田君にお越しいただいております。今回のテーマはこちら、「マンガ家・ガチアンケート特別編」!

水田 特別編って何ですか?

川島 もともとは話題のマンガやレジェンド作品の先生にアンケートに答えてもらうコーナーなんですが、今回は特別編として、週刊少年ジャンプの超人気マンガ『僕のヒーローアカデミア』の担当編集者さんに、いろいろお話を伺おう、ということでございます。これ、1巻が出たときにコバさん(ケンドーコバヤシ)が秋田料理の店できりたんぽ頬張りながら、「おい、ヤバいの見つけたぞ! 『僕のヒーローアカデミア』は将来ジャンプを背負っていくマンガになるから、絶対読んどけ!」と言われて、僕はそこから読んでます。

水田 もちろん僕も読んでるマンガなんですが、先に簡単にあらすじを紹介します。舞台は、総人口の約8割が何らかの超常能力「個性」を持つ世界。事故や災害、「個性」を悪用する犯罪者・敵(ヴィラン)から人々と社会を守る職業「ヒーロー」になることを目指して雄英高校に通う高校生・緑谷出久(デク)とクラスメイトたちの成長・戦い・友情のストーリーが繰り広げられていく、という話です。

川島 これぞジャンプ!という王道のマンガでございます。さて、今日は『僕のヒーローアカデミア』の歴代担当編集者さんに来ていただきました。自己紹介をお願いします。

出典: 読売テレビ

門司 『ヒロアカ』の2代目担当で、今はメディア担当をしております門司と申します。

出典: 読売テレビ

田口 『ヒロアカ』の現担当(4代目)をしております田口と申します。

水田 なんかあれですね、他事務所のマネージャーが来たみたいな感じですね(笑)。

川島 門司さんは連載開始当初から担当だったとか?

門司 連載が決まったときは初代の担当がいたんですけど、そこから連載を準備している間に、初代担当が異動になってしまって。だから連載を決めたのは前の担当なんですけど、連載スタートからは僕が担当しました。最初に堀越先生にお会いしたのが第1話の原稿が上がったタイミングで、前任者と一緒に行って引き継ぎの挨拶をしたときなんですけど、そのときに……まあネームは先に読んでいたんですけど、原稿になった『ヒロアカ』第1話を読んで、デクが飛び出していく表情を見たときに「これはヤバい作品なんじゃないか」と思いましたね。絵に関しては圧倒的だと思います。週刊連載の絵ではないですね。

水田 ということは……コバさんより目をつけるの早かった?

川島 そらそうや(笑)! こちらはマネージャー側ですから。田口さんから見た、このマンガのすごいところは?

田口 圧倒的に表情が上手くて、小さなキャラもけっこう自分で描いてたりするので、キャラ作りへの細かな気配りや精度は、今ジャンプで描いてる作家さんの中でもダントツに高いと思います。実は、コミックスのキャラ紹介ページを毎回新規に描き下ろしているんです。アメコミっぽく描いてみたり、ちょっとギャグっぽく描いてみたり、動物にしてみたり、毎回いろんな試みをされてますね。

出典: 池ノ谷侑花(ゆかい)

門司 ただ、これは一度始めちゃったらやめられないので、本当に締切がヤバいときは「なんでこんなこと始めてしまったんだろう」となることも……(笑)。というのもありながら、でもこれは読者のために絶対やるという。

川島 ちなみに田口さんは、先生から最終回の構想は聞いてたりするんですか?

田口 多少のズレはあるかもしれないですけど、ほとんどの構想はもう決まっていまして。そこに向かって走るだけ、という詰めをちょうど今、やってますね。拾ってないところはないか、こぼしたところはないか、という話し合いを。そういう打ち合わせを毎週やってます。

最速は28時間で17ページ


川島 では僕から堀越先生への質問を、田口さんが聞いてきてくれました。

出典: 読売テレビ

川島 あれだけキャラがいますし、敵も魅力的なキャラがいるんですけど、どうなんでしょうか。先生の回答はこちら。

出典: 読売テレビ

門司 やっぱり最初は「分からん」と言ってましたね。

川島 スロースタートで行きたかったんですかね?

門司 第1話では相当イヤな奴なので、そいつが改心して変わっていくというのが最初からあったプランだと思うんですけど、最初から人気が出ちゃったので先生もびっくりしたという。

川島 嫌われ役が魅力的というのは、最近のマンガのトレンドなんですかね。続いての質問はこちら。

出典: 読売テレビ

川島 門司さんの回答はこちら。

「寝ると本当に起きません。仕事場の前で電話とピンポンを鳴らしまくって不審者扱いされたことが数回あります」

川島 起きない?

門司 本当に起きないです。当時、ファミレスで打ち合わせしてたんで、先に着いて軽くご飯食べて、約束の時間から30分経っても来ないんで、電話をかけるんです。でも何回かけても出ない。「これは行ったほうが早い」と思って、仕事場に行って、ドアの前で電話してピンポンも鳴らして、というのを30分くらいやっても出てこないので、本当に心配になってきたんです。で、「大丈夫かな?」と思ったときに、管理人さんが「お知り合いですか……?」みたいな感じで話しかけてきて。「いや、あの、中にいるはずなんですけど……」という話をしてたら、先生が起きてきて。

川島 それは単純に寝てた?

門司 寝てたという。

水田 ちゃんとダメ人間なところもあるんですね。

川島 じゃあ田口さんもその被害に?

田口 僕のときもそれがあったので、僕のときからは「仕事場の合鍵をもらう」という制度ができて。だから開けて起こしに行くんですけど、ただ、起こしに行っても起きないですね。

川島 揺らしてもダメなんですか?

田口 揺らすと、「ん?」って言うんですけど、「あと30分」と言うので、30分後にもう一回声をかける……というのを往復するときもあります。疲れが溜まってらっしゃるからそれは仕方ないので、その間は僕もソファでゆっくりしてます。待つしかないです。

川島 先生は描くのは早いんですか?

門司 めちゃくちゃ早いです。

川島 あの作画のクオリティで?

田口 最速だと、28時間で17ページ描いたことがあります。

川島 それって普通じゃ考えられないスピードなんですか?

田口 普通は4日かかります。

川島 えーっ、それを28時間で? それはもう寝させてあげてください(笑)。さあ、田口さんの「堀越先生あるある」はこちら。

「原稿待ちの間、小ネタを挟んでくる。執筆中の堀越さんと話すんですが、ちょいちょい映画のモノマネ?が入る」

川島 これはどういうことですか?

田口 原稿待ちの間、堀越先生の後ろのソファで待つことがあるんですね。で、たまに「キーッ」と叫んだりするんですね。その意味が分からなくて、「よほど苦しんでるのかな?」と思ったら、「今のは●●という映画の佐藤健さん(のモノマネ)です」と言われて、「いや分からないです」みたいなやり取りはけっこうありますね。

水田 待ってる間も楽しませたいから。

田口 映画が本当にお好きで、作業中BGMでずっと流しているんですね。「この後、30秒後にこのシーン来るんで」みたいな感じでモノマネが入って、僕が初めて見る映画も実況されます(笑)。

川島 迷惑やわー(笑)。

水田 笑い飯・哲夫さんの後輩がみんな花火の大会見せられるようなもんですね。

新人作家のために増刊は続ける


川島 ところでお2人は、これまでどんな作品を担当してきたんですか?

門司 『クロガネ』『バクマン。』『黒子のバスケ』『べるぜバブ』『HUNTER×HUNTER』などです。
現在連載中の立ち上げ作品だと『破壊神マグちゃん』ですね。

田口 僕は『火の丸相撲』と、『NARUTO』の続編の『BORUTO』、大きなところだとこの2本ですね。

川島 担当してきた中で、「この先生すごいな」と思った方は?

門司 ジャンプで連載してるというだけでもすごいと思いますし、ヒット作を出している人はみんなある意味天才だと思うんですけど、その質問で最初に思い浮かんだのは、大場つぐみ先生ですね。

川島 すごい先生ですよ。

門司 一つは『デスノート』がまさにそうですけど、アイデア力。『バクマン。』も、ジャンプの中で「ジャンプで連載を目指すマンガ」を連載するという。そのアイデア力もすごいなと思いますし、そのアイデアの膨らませ方もすごいんですよね。『デスノート』も、「生と死とは?」「人が人を裁くとは?」みたいな方向に行っちゃいそうに思うんですけど、そこを「知能ゲーム」に振ってるのがすごいなと。『バクマン。』も同じですね。マンガ家たちの青春として、いかにライバルと戦って勝つか、というのをやっているので、題材をジャンプの作品としてしっかり仕上げている。

川島 続いての質問いきましょう。

出典: 読売テレビ

川島 田口さんの回答がこちら。

出典: 読売テレビ

田口 増刊という、新人さんの読み切りを掲載するめちゃめちゃ分厚い雑誌があるんですね。あれってあまり黒字にはならないものなんですけど、「紙の雑誌に載る」というのは、新人さん的にめちゃめちゃうれしいわけです。「自分の描いたものが印刷されて世に広まる」ということを大事にしたいので、今はデジタルメインの時代ですけど、ジャンプはこれからも増刊だけは続けていくと思います。だからそこは「新人作家を大事にしてるのかな」と思いますね。

これから来る!『大東京鬼嫁伝』『レッドフード』


川島 最後の質問はこちら。

出典: 読売テレビ

川島 これは気になりますね。門司さんの回答はこちら。

「最近読み切りが載りましたが、仲間只一先生はきっとすごい作品を出すと信じてます」

川島 その作品というのがこれですね。『大東京鬼嫁伝』。

仲間只一『大東京鬼嫁伝』(集英社)
・2021年春、「週刊少年ジャンプ」に掲載された読み切り。
・舞台は東京の下町。主人公「じんた」は、子供の頃、山の中で出会った鬼の末裔の少女「まなか童子」と結婚の約束をする。
・10年後、成人した鬼の少女は結婚の約束を果たすために「じんた」の元へやってきて……。
・鬼の少女が日本刀でモノノケと戦う下町モノノケバトルコメディ。

門司 『大東京鬼嫁伝』という作品が先日ジャンプに載ったんですけど、仲間先生は昔から僕が担当してたんです。最初の頃から絵の力というか、色気というか、すごいものを持っているなと思っていて。「でもちょっとだけ読みにくいんだよな」という話をずっとしてたんですけど、担当が替わったらいきなり読みやすくなってて、「良かったな」というのと、自分の無能さを突きつけられた気持ちになったのと(笑)、両方を感じましたね。個人的には、近いうちに仲間只一は連載するんじゃないかと思ってます。

川島 これは一番早い情報なんじゃない? 「第1話が面白い」じゃなくて、連載が始まる前から目をつけてるわけだから。田口さんのおすすめマンガはこちら。

「川口勇貴先生の新連載『レッドフード』。担当している作家です。堀越先生の職場のスタッフであり、尾田先生が漫画賞で評価した才能です」

川島 田口さんベタ褒めですけども、ちょっと作品の紹介を。

川口勇貴『レッドフード』(集英社)
・2021年6月末より「週刊少年ジャンプ」で連載開始。
・ある日、一部の人間が人狼という怪物になり、人々を襲い始めてしまう。
・小さな村の少年「ベロー」は、そんな人狼を狩る狩人の「グリム」と出会い、自らも狩人の道を歩み始める。
・唯一無二の筆致で描くファンタジーバトルマンガ。

川島 これはまだ始まりたてなんでしょ?

田口 そうですね。だからストーリーはまだ何も見えていない状態なんですけど。

川島 それでも田口さん的にはいい匂いがしてる?

田口 そうですね。絵がとにかくいいというのと、見せ方にいろんな工夫がなされている。まわりから「キャラの目や顔つきが、堀越先生の絵に似ているね」と言われることがけっこうあります。

出典: 池ノ谷侑花(ゆかい)

次回放送は『JUMBO MAX』髙橋ツトム先生のガチアンケートをお送りします。

マンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』は、読売テレビ:7月31日(土)深1:28~1:58、日本テレビ:8月5日(木)深1:59~2:29の放送(※一部地域を除く)です。

おたのしみに!

当記事はラフ&ピースニュースマガジンの提供記事です。

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