伝説のBiS脱退公演から8年……ワッキー改め友里加(Aglet)本格再始動記念インタビュー解禁「みんな頑張っている、私も負けるわけにはいかない」

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「ここは手! ここは肘! ここは? わきわきワッキー!」かつてアイドルグループ・BiSのピュア担当として活躍したワッキーことワキサカユリカ。伝説の両国国技館での脱退公演から8年……その名を友里加に改め、コンテンポラリーダンス&ボーカルとアコースティックギターの音楽ユニット・Aglet(アグレット)で本格再始動することになった。

今回のインタビューでは「再び表舞台で歌って踊りたい」という願いを叶える為に費やした8年間のストーリーを紐解きつつ、安室奈美恵の影響でこの世界に憧れたというエピソードゼロ、かつて在籍していたBiSやそのファンへの想い、音楽に影響を受けて元気になっていく自分の発見。そして、林光希との出逢いによって結成されたAgletとそのデビュー作『ぼくは屍、必要人間、君とピラミッド』について語ってもらった。諦めが悪い友里加の復活物語、ぜひご覧頂きたい。

◎友里加(Aglet)本格再始動記念インタビュー

<本格再始動まで8年「ずーっと表舞台に立っていたかった」>

--2013年3月のBiS@両国国技館公演でもって脱退。あれから8年経ったわけですが、表舞台にもう一度立ちたいと思ったきっかけは何だったんでしょう?

友里加:私としては「もう一度」ではなくて、ずーっと表舞台に立っていたかった。けれども、体調の問題でそれが出来なかった。休むしかない状態だったんですよね。あと、親にも散々迷惑をかけていたので「芸能界でまた活動したいんだったら大学を卒業して、ちゃんと自分の力でやれるようになってからにしなさい」と言われていたんです。それで大学生時代の4年間は自分を見つめ直したりしながら……でも歌って踊りたい気持ちはずっと変わらずにあったので、ボイトレに通ったり、ピラティスとかヨガとかで体感トレーニングを重ねたり、歌って踊る為の訓練は毎日欠かさず続けていて。

--BiS脱退後もずっと気持ちは切れていなかったんですね。

友里加:BiSを脱退したとき、皆さん、すごく優しかったんですよね。当時のマネージャーだった渡辺さん(渡辺淳之介/現WACK社長)も「またやりたくなったら声かけてね」と言って下さっていたんですけど、その4年のあいだにスゴい存在になっていて「これはとても声をかけられる状況じゃない!」って(笑)。それで「自分の力でイチからまた頑張ろう」と思って、大学卒業後に他の事務所のオーディションを受けたりしていたんです。でもなかなか受からない状態が3,4年ぐらい続いていて……そんな中で「SNSをやろうかな。そしたら当時ファンだった皆さんも安否確認できるだろうし」と思ったりもしたんですけど、でもデビューが決まってからSNSはやるべきだと考えを改めたり……

--いろいろ葛藤していたんですね。

友里加:そしたら世界中がコロナ禍になってしまって、ライブが出来ないような状況になって「私のやりたいことが実現できない世の中に変わってしまった」と思っていたときに、今の事務所・アソビシステムの方と出逢って。いろいろバックアップしてくれそうだったのと、きゃりーぱみゅぱみゅさんも所属されていて凄く良いイメージがあったので「ここだったら自分のやりたいことが出来るかもしれないな」と思って。それで2020年にSNSをスタートして「私はまた表舞台で歌って踊りたいんだよ」という想いをまずは伝えることから始めていったんです。

--そこに至るまで7年ですか。ずっと表舞台に戻りたくても戻れない日々の中で戦っていたんですね。

友里加:ずっと戻りたかったし、「こっちは練習しまくってんだよ!」みたいな(笑)。誰にも気付かれない補欠の選手みたいな気持ちでしたね。本当に長かったし、苦しかったです。

<自身脱退後のBiSチームの活躍「私もまた表舞台で歌って踊りたい」>

--それだけ長く再始動できない歳月が続くと「もう無理かもしれない」と普通は思うじゃないですか。それでも心折れずに再び表舞台に戻ってこれた要因は何だったと思いますか?

友里加:単純に諦めが悪いんです(笑)。あと、私が脱退したあとのBiSもそうですし、WACKのBiSHさんとかの活躍ぶりが調べようとしなくても自然と目に入ってきていて。1期BiSのラストシングル「FiNAL DANCE」のMVが『ミュージックステーション』などで流れてきたり、私が好きな芸人さんの番組に渡辺さんが出てきたり、ちょいちょい当時のメンバーや渡辺さんの活躍ぶりを目にする度に「私もこういう風になりたいな」とメラメラ燃えていましたし、もちろん悔しい想いもありましたし、そういう想いが「私もまた表舞台で歌って踊りたい」という意志を強くしていったところはあったと思います。「みんな頑張っている、私も負けるわけにはいかない」って。

--そもそもの話を伺いたいのですが、ワッキー…じゃなく友里加さんが……

友里加:ワッキーでいいですよ(笑)。

--この世界に憧れるようになったきっかけって何だったんですか?

友里加:完全に安室奈美恵さんの影響ですね。BiSでのデビュー前からダンスはずっとやっていて、ダンスの先生がダンサーとして安室奈美恵さんのコンサートに出ていたからよく観に行かせてもらっていて、そこで「ハッ! 私はこれがやりたい」と思ったんです。中学2年生のときですね。強烈に「私が進むべき道はこれだ!」と思って。それまでは「音楽の仕事って不安定そうだな」ぐらいの感覚だったんですけど、一変したというか。それで高校を卒業していろんなオーディションを受けているときに、私はアーティスト志望だったんですけど、アイドルの中でもBiSはアートっぽい感じなのかなと思って。BiSの森林を全裸で走っているMVを観たときに「これはエロじゃなくアートだ」と捉えていたんですよ。私はゴッホの絵を部屋に飾るぐらい絵画もすごく好きだったし、それで「こういうグループだったら入ってみたいかも」と思ったんですよね。ちょっと勘違いしていたかもしれないんですけど(笑)。

--それで安室奈美恵を目指していた女の子がBiSのメンバーになったと。

友里加:アーティストってちゃんと音楽が好きで、いろいろ詳しくなきゃいけないじゃないですか。で、安室奈美恵さんがアーティストだから「私もアーティストになりたい」と思っていたんですけど、でも私は歌って踊ることが第一だったので。アイドルでも歌って踊ることは変わらないし、BiSは音楽が格好良かったし、それでちょっと軽い気持ちで受けちゃった(笑)。そしたら10人しかオーディションを受けていなかったらしくて、それで合格してエイベックスからメジャーデビューみたいな流れだったので、さすがにビックリしましたね。

--そんなBiSのメンバーとして過ごした期間は、今振り返るとどんな日々だったなと思いますか?

友里加:本当に「すごく良くしてもらったな」という印象しかなくて。グループ自体は大変な時期もあったんですけど、メンバーひとりひとりはすごく優しいし、良い子ばっかりで。マネージャーさんも最後まですごく気に掛けてくれて……私、すごく迷惑かけていたのに「なんでこんなに優しいんだろう?」と思っていました。例えるなら『シン・エヴァンゲリオン劇場版』におけるシンジくんの「なんでみんな、こんなに優しいんだよ!」みたいな気持ち(笑)。私、何にも出来ないのにみんなが「大丈夫?」「いいよ、いいよ」って気遣ってくれるんですよ。すごく良い環境で活動させてもらいました。SNSを始めてから連絡が取れるようになったので「ひとりひとりに直接会ってお礼を言いたいな」と思っています。

<両国国技館の思い出~Aglet結成秘話「自分と似ているな」>

--両国国技館での脱退公演はどんな思い出になっていますか?

友里加:それこそ「優しさが凝縮されたライブ!」って感じで、ファンの方も私が好きな色の白いサイリウムを会場中のお客さんに配ってくれて、それをみんなで振って下さったりして……「こんなに私はダメなのになんで? 辞めるのに本当に申し訳ないなぁ」と思いましたけど、同時に「すごく貴重な体験をさせてもらったな、有り難いなぁ」って。なので、もちろん「ここで辞めるのは悔しいな」という気持ちはありながらも、それより「みんな大好き」という気持ちを第一に伝えたかったんです。そんなライブでしたね。

--あのライブがあったからこそ「またステージに戻りたい」と思ったところもあったんですかね?

友里加:そんなに意識していなかったですけど、この諦めの悪さはそれが原因なのかもしれない(笑)。一度味わってしまった素晴らしい光景があるからこそ「自分の力で同じぐらいの舞台に立ちたい」気持ちはずっと志としてありますね。

--そして、あれから8年の歳月をかけて本格再始動。Aglet(アグレット)なる音楽ユニットの作品『ぼくは屍、必要人間、君とピラミッド』でもってデビューすることになりました。コンテンポラリーダンス&ボーカルとアコースティックギターという編成ですが、どのような経緯で結成されたんでしょう?

友里加:高校時代にモダンダンスというコンテンポラリーダンスと似たジャンルのダンスをやっていたんですけど、それは虐待とか社会的テーマに対して踊る感じで、その世界観がすごく好きだったんです。で、再始動に向けていろいろオーディションを受けながら模索している中で、コンテンポラリーダンスがアメリカなどで流行っていることを知って「だったら、コンテンポラリーダンスで歌って踊ればオーディションに受かってデビューできるんじゃないか。これが私のやりたいことかもしれない!」と。それでコンテンポラリーダンスを習って、実は年に1回ぐらいのペースでそのスタイルのライブをやらせてもらっていたんです。その現場でアコースティックギターの林光希ちゃんと出逢って「なんか気が合いそうだなぁ」って。それでツイッターを始めてから「ちょっと会ってみる?」みたいな感じになったときに「組んでみようかな」とふと思ったんですよね。

--林光希さんのどんなところに惹かれたんでしょう?

友里加:ライブで林光希ちゃんのアコースティックギターで歌わせてもらったりもしていて、なんとなく「自分と似ているな」ってインスピレーションで感じたんですよね。ただ、結成したばかりの頃は心を全然開いてくれなくて(笑)。私が詞とメロディーを作って、そこに伴奏を入れてもらおうと思ってお願いしたんですけど、何を注文しても「はい、分かりました。はい、分かりました。これでどうでしょう」みたいな感じで、業務連絡的なコミュニケーションしか取ってくれなかったんですよ。でも最近やっと心を開いてくれて、ちょっと本音を話してくれるようになって。いまだに会話は敬語ではあるんですけど(笑)。それでより良いモノが出来るようになってきたから「そろそろリリースしたいな」と思いまして、事務所の方に相談したら「大丈夫だよ」と言ってもらえたので、ようやくデビュー作をリリースできる運びとなりました。

<デビュー作への想い「一歩踏み出したいと想っている人たちへ」>

--Agletではどんな音楽をやっていきたいと思っているんですか?

友里加:私から出てくるものって「繊細」とか「優しい」って言われるんですけど、そういう歌詞しか書けないと思っているんです。「頑張ろうぜ、俺についてこい」みたいな感じではなくて、それこそエヴァみたいな、少年の心をいつまでも持ち続けているようなイメージ。すべての人には刺さらないかもしれないけど、例えば「自信ないなぁ」とか「何でも気にしすぎちゃうなぁ」みたいな人たちに響く音楽を発信していきたくて。「そんなに無理しなくてもいいよ」「純粋な気持ちを忘れずに生きていけばいいんじゃないかな」みたいな優しい音楽を届けたい。光希ちゃんもすごく繊細でそういう部分があるので、自然とそういう方向性になっていくんじゃないかなって思います。

--友里加さん自身もそういう音楽やメッセージを求めていたから、そういう方向性の作品を作っているところもあるんですかね?

友里加:(大きくうなずく)そうです、そうです! 私、再始動に向けていろんなオーディションを受けていた時期に、バイトと練習を詰め込み過ぎて救急車で運ばれちゃったんですよ。そんなときに、ビリー・ジョエルさんの「Vienna / ウィーン」っていう、柔らかいピアノの旋律と「そんなに焦らなくてもウィーンは君を待っている」みたいな夢に溢れた歌詞の曲があるんですけど、それを聴いた瞬間に涙が止まらなくなって。THE BLUE HEARTSさんの「チェインギャング」の「生きているっていうことはカッコ悪いかもしれない」という歌詞にもハッとしたり、音楽に影響を受けて元気になっていく自分を見つけて、それで「自分も楽曲を作っていきたいな」と思うようになったんです。自分と同じようなことを想っている人たちに「大丈夫」と言えるような歌を届けたいなって。

--そんな想いから生み出されたデビュー作『ぼくは屍、必要人間、君とピラミッド』、自身ではどんな作品になったなと感じていますか?

友里加:3曲入りなんですけど、死人みたいな状態になるときってあるじゃないですか。「もう動けない」みたいな。その状態をイメージして書いたのが「ぼくは屍」。必要にされたい人間の気持ちを描いたのが「必要人間」。そして『星の王子さま』的というか「遠い存在に元気をもらったよ」みたいなイメージで作り上げた「君とピラミッド」。この3曲に共通しているのは、ダメな自分の「一歩踏み出したい」気持ちが入っているんです。同じように「一歩踏み出したい」と想っている人たちに伝わるといいんですけどね。

--曲名を聴いただけでちょっと泣きそうになりました。そんなデビュー作『ぼくは屍、必要人間、君とピラミッド』の反響も楽しみですが、ここから先はどんなアーティスト人生を歩んでいきたいと思いますか?

友里加:「歌って踊りたい」しかない人間なんで、やっぱりライブをやっていきたいんですよ。ご時勢的に頻繁にやるのは今は難しいと思うんですけど、やっぱり生のライブだからこそ味わえるモノや触れられるパワーってあるから。なので、ライブ主体で活動していけるように、SNSの時代でもあるからそれも活用して大きい会場でライブが出来るように頑張っていきたいです。

--LINE LIVEも毎日頑張っていましたもんね。

友里加:私、SNSを始めてからLINE LIVEを毎日配信していたんですけど、実は「毎日配信、1年間」と最初から決めていたんですよ。それはBiSを1年間続けられなかったからで。その悔しさがずっとあって……だから「何があっても1年は継続する。自分の決めたことをやり遂げろ」と。それを完遂することで過去の自分にケリをつけたかった。そこでSNSや配信への恐怖心も拭うことが出来たし、今はもう前しか向いていないので、何に対しても精力的に頑張りたいなって。なので、ぜひこれからの私とAgletに注目して下さい!

Interviewer:平賀哲雄

◎リリース情報
CD/配信『ぼくは屍、必要人間、君とピラミッド』
2021/07/28 RELEASE
配信:各音楽配信サービスにて
CD:下記レコ発ライブにて販売

◎イベント情報
Aglet初のレコ初ライブ【ぼくは屍レコ発初ライブ】
2021年08月28日(土)下北沢モナレコード
OPEN 11:30 / START 12:00
チケット(CD付き):3,000円+1D
出演:Aglet、にんじん苦手、本田こころ(HAO)
チケット予約は下記のアドレスまで。
お名前、枚数を書いてメールして下さい。
aglet.kutsuhimo2@gmail.com

当記事はBillboard JAPANの提供記事です。

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