『ウマ娘』ブームの裏で急増する見学者のマナー違反。牧場側の本音は

日刊SPA!

◆『ウマ娘』が空前の大ブーム

スマホ向けゲームアプリ『ウマ娘 プリティーダービー』がブームを巻き起こしたことによって、現実の競走馬にも注目が集まっている。『ウマ娘』をきっかけに競馬を始める若者が大勢現れたほか、引退馬支援への関心も高まっている。

JRAのレースで7勝の成績を残した元競走馬ナイスネイチャの33歳を記念したバースデードネーション(誕生日プレゼントの代わりに寄付を募ること)には、なんと3500万円を超える寄付が集まった。昨年のバースデードネーションが約176万円の寄付が寄せられる結果だったことを振り返ると、『ウマ娘』ブームのすさまじさをあらためて感じさせられる。

◆牧場でマナー違反やトラブルが多発

そういったポジティブな盛り上がりの一方で、マナーを知らない人々によるトラブルも多発しているようだ。北海道・日高町の引退馬牧場「ヴェルサイユリゾートファーム」は、牧場内への無断立ち入りが増えていることを明かしている。

<最近牧場内にアポイントなしで無断で入ってくる方が増えています。ゴールデンウィーク前から増えてきた印象で、当牧場は完全事前予約をお願いしております。ここ連日も数件あり、予約なしや見学時間外と分かってたけど、近くに来たんで。と平然と言われるので驚きます。道路挟んだ放牧地でも見知らぬ車がスーッと入っていくと、とても恐く、走ってなになに?と行くこともしばしば>(2021年5月8日に更新された「ヴェルサイユリゾートファーム」のブログより)

同施設は、トラブルについて報告した上で、「ふるさと案内所や競走馬の牧場見学については、検索すると色々と出てきます」と呼びかけている。競走馬を扱う牧場を見学するにあたっては、見学者の受け入れを主目的とした観光牧場と比べて、数々のルールが存在する。

◆牧場見学の9箇条

牧場見学データベース「競走馬のふるさと案内所」の公式サイトでは、「牧場見学の9箇条」を掲げている。

1.見学の可否は競走馬のふるさと案内所にお問い合わせください。

2.見学時間は競走馬のふるさと案内所までお問い合わせください。

3.牧場では牧場関係者の指示に従ってください。

4.厩舎や放牧地に無断で立ち入らないでください。

5.大きな音や声を出さないでください。

6.危険ですから絶対に馬にさわらないでください。

7.牧場内は禁煙です。

8.カメラのフラッシュはご遠慮ください。

9.絶対に食べ物を与えないでください。

「競走馬のふるさと日高案内所」の河村伸一さんは、「あくまで牧場のご厚意で見学を受け入れていただいているので、この馬に会いたいという目的を持って訪問いただきたい。特に生産牧場(サラブレッドの繁殖を目的とした牧場)ではすべてが馬優先ですからね」と語る。

見学希望の際は「競走馬のふるさと案内所」にまず問い合わせるのが正式なマナーだが、最近は、牧場に直接連絡してしまう人々が増えているらしい。

◆“観光牧場”ではない

2~7月頃の繁殖シーズンは、ただでさえ多忙な時期であるため、そもそも見学中止にしている牧場も多い。そのような問い合わせがあまりに多いようだと、今後一切の見学中止という状況にもなりかねない。

「どうやらインターネットで電話番号を調べて、直接そこに電話をかけてしまっているようです。ですが、牧場は1日のスケジュールがしっかり決まっていて、私たちでさえ電話NGとしている時間帯があります。悪気はなくとも、牧場に直接電話をしてしまうというのは一番のマナー違反なんです。

繰り返す通り、やはり観光牧場ではありませんので、『お邪魔させていただく』という姿勢を忘れずにしていただけると助かります」(河村さん)

気楽に訪問できる観光牧場のイメージしか持っていないと、実際に牧場を見学したとき、どうしても至らない場面が出てきてしまう。「ただ見学したいだけなのに調べることや覚えることが多い」と感じるかもしれないが、厳しい競走馬の世界をのぞくためには、見学者もある程度の苦労を背負う必要があるようだ。

<取材・文/原田イチボ(HEW)>

【原田イチボ(HEW)】

1990年生まれ。編集プロダクション「HEW」所属のライター。アイドル、プロレス、BL、銭湯サウナが好き。Twitter:@ichibo_h

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ