よみうりランドに全然近くない「読売ランド前駅」 現地歩いて感激した理由

しらべぇ




日本には「○○前」という鉄道駅が多く存在する。

都庁前駅、三越前駅、外苑前駅、鎌倉高校前駅など、近くにあるランドマークが駅名に採用されることが通例だが、神奈川・川崎市に所在する小田急小田原線「読売ランド前駅」は他の駅とは一味も二味も違う。

■駅の歴史と特徴




「読売ランド前駅」は1927年の開業。元は「西生田駅」という名称で、駅の近くに遊園地「よみうりランド」が開園したことをきっかけに1964年、現在の駅名に変更した。



同遊園地はプール施設も併設されており、敷地面積は37万平米と広大。

その広さは東京と神奈川にがっつりまたがるレベルで、遊園地の北側には「京王よみうりランド駅」、反対側の南側にはくだんの「読売ランド前駅」があり、これら2駅は同地へ人を運ぶ重要なアクセスポイントとなっている。

■「徒歩は無理」と言われる距離




ではこの「読売ランド前駅」、実際よみうりランドの「前」にあるかといえば断じてそうではない。

調べてみると駅改札から遊園地入口までは2km以上あり、都心駅であれば2駅分ほどの距離を歩かなくてはいけない計算だ。徒歩で向かうのは非現実的なため、駅前からは遊園地へ向かうバスも定期的に発着している。



毎年ネット上に「よみうりランドまでクソ遠い読売ランド前駅」「駅名詐欺」「バスに乗らねば辿り着けない」「徒歩は無理」と、不都合な真実を明かすユーザーが出てくるのはこのためだ。

釈然としない記者は、梅雨も明け猛暑日となった7月下旬、約20kgあるカメラ機材を背負ったまま、よみうりランドを目指すことにした。

■難解なルート




改札を出ると眼前に商店街が広がる。駅員さんいわく、よみうりランドに通づる道はこちら側ではないという。歩道橋を使って駅向こうに渡ると、こちらは住宅地エリア。スマホナビによれば、この住宅地の中を進んでいくらしい。



正直、遊園地に続く道とは一切思えない。なので途中、「本当にこの道でいいのだろうか」と何回自問自答したかは覚えていないが、分かれ道がある度、不安に陥っていたのは事実だった。



記者を助けたのは、途中で発見した「多摩自然遊歩道案内図」というやや古ぼけた地図看板。地図によれば、遊歩道を通るとよみうりランドまで最短で行けるらしい。それにしても緑に覆われてしまった看板が多い…。



カンカン照りで気温35度を越えたこの日、「緑に囲まれたルートなら涼しいのでは」と、このルートをチョイスすることは必然でもあった。



しばらく歩くと。目の前に見知らぬおじいさんがいることに気がついた。おじいさんは、「若人よこっちじゃよ…」と言わんばかりに先導してくれているように見えた。

■タイムスリップしたかのような光景




遊歩道に入る直前には、謎の細い階段。しかもここでもご丁寧に右と左に分かれており、「なんだこの階段はぁ!」と、どっちが正規ルートか戸惑う記者。



「せっかくだから、俺はこの道を選ぶぜ」と右側のルートを選択して進むと、目の前は完全に森の小道に。ここは地図にあった「多摩緑地保全地区」。ちゃんとしたルートだったのだ。それにしてもここ時代劇で出てきそうな光景だ。



道は基本上り坂で、カーブあり、橋みたいのありとアドベンチャー感がすごい。周囲は高い木々や竹が生い茂っている。緑の屋根に覆われている感覚で、ひんやり涼しく感じた。

おじいさんを追い越す際「こんにちは」と話しかけると「ここは気持ちいい場所でしょう」と返してくれた。



15分ほど進むと森が終わり、道路が見えてきた。車がビュンビュン走っている。久しぶりに令和の日本に戻ってきた感覚だ。

重いリュックを下ろし、ここでひと休憩。途中で追い抜かしたおじいさんに話しかけようと振り返ったが、すでに姿はなかった。



おじいさん今までありがとうと、3分ほどの休憩を終え、上り坂の道路を10分ほど進むとようやく「よみうりランド」の入口が。ここまでの所要時間は合計28分。最後の道路で再び汗が吹き出していた。



たしかに駅からは激遠かったが、森を歩くというなんとも清々しくネイチャーな気持ちになれたことは大きく記者は感激した。途中ですれ違った人は一切いないという隠しルート感も最高だった。

そんな何とも不思議で貴重な体験を振り返りつつ、記者は遊園地前から駅に戻るバスに乗ったのであった。

当記事はしらべぇの提供記事です。

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