イシグロキョウヘイ(監督)×佐藤大(脚本)- 「サイダーのように言葉が湧き上がる」音楽も記憶とリンクしている

Rooftop

二人が向かい合う物語になっています
──1年延長を経てやっと公開ですね。心待ちにしていました。

イシグロ(キョウヘイ):やっと公開です。

(佐藤)大:良かったです。

──『サイダーのように言葉が湧き上がる(以下、サイダー)』フライングドッグの10周年作品ということで作られた作品なんですね。

イシグロ:2015年9月にフライグドッグの尾留川(宏之)さんから「SFのオリジナルの音楽ものはどうですか」とお話をいただいたところから始まりました。その時は僕一人で大さんはまだ参加していなかったです。

──最初はSF作品だったんですか。

イシグロ:そうなんです。一年半くらい一人でやっていたんですけど僕は話づくりのプロじゃないので上手くいかなくなったんです。なので、話づくりが出来る人に加わってもらおうと大さんにお声掛けさせていただきました。その時にいきなりSFなくしましたけどね(笑)。「SFは苦手だからやめましょう。」とは僕から言ったんでしたっけ。

大:最初に「いただいた設定では映画の尺には入んないですよ。TVシリーズじゃないですよね。」という話をしたんです。「映画です。」と改めて言われたので、それだとこの物語は入らないですよねということで考えが一致したのでSFはなくしたんです。

イシグロ:二人ともSFはやめようと思っていたのか。それで実景ベースの物語としてすすんでいったんでしたね。

大:そうそう。僕はむしろSFで音楽ものということで呼ばれたんだろうなと最初は思っていましたから。

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──大さんはSF・音楽作品をいままでに多くやられていますもんね。

大:大:映画でやるにはこの設定が複雑で壮大すぎると思ったんです。なので、もう少し地に足が着いた身の回りのストーリーにしましょうと方向転換の提案をしました。もう1つのテーマである音楽に関しても、イシグロさんがバンドもの・アイドルもの・ミュージカルものではない音楽ものをやりたいんだな、ということはわかったので、そこから改めて、音楽とは何だろうということから話し合いが再スタートしたんです。

──その時点でボーイミーツガールの物語にするという案は出ていたのですか。

イシグロ:そもそも群像劇という形だったので恋愛は少し入っていましたけど、二人の間ではボーイミーツガールじゃなかったです。

大:『グーニーズ』的な、ひと夏の冒険ものを考えていました。だから、ジャパンやタフボーイ、ビーバーもチェリーやスマイルと同じくらいのメインの予定でした。

──かなり、初期のものから変わったんですね。現代劇でも群像劇から恋愛にシフトしたのは何故なんですか。

イシグロ:群像劇ではキャラへの感情移入をしづらいので、アニメでやるのは難しかったんです。そんな中でどうしようかという話をしていって、元の物語の中で描いていた恋愛にフォーカスを充てなおして今の形になりました。でも、目線を変えたというだけで、実景の物語にしようということになってから話の筋は本当に変わっていないです。編集をし直したという感じです。

──確かにフジヤマさんのレコードを探す物語ですから、宝探しの物語と言えばそうですね。

イシグロ:元の物語を作っていたことで功を奏したのは、各キャラの背後関係を考えていたので、そこが視点を変えた本作の形でも自然と滲み出ましたことですね。少ししか説明してないんですけど、そこに居る理由みたいなものが植え付けられたので結果的に良かったと思います。

──だから、誰もモブになっていないんですね。

大:これまでもここからもちゃんとあって、全員が実際に生きていそうなキャラクターになっている気はしています。なので、その工程は凄く重要でしたね。だから、恋愛面で言うと最後まで意外とあの二人を誰もサポートしないという形になってしまいました(笑)。

──確かに恋愛面では誰も助けていない(笑)。

大:普通の恋愛ものだと周りの人が温かく見守ったり、先んじて相談に乗るシーンとかがあるんですけど、一切ないんですよ。でも、それが凄い良かったなと思っています。チェリーはコミュ障なので、誰にも打ち明けられないです。

イシグロ:フジヤマさんがその役割を担えそうですけど、やらないですね。

大:結果的にチェリーとスマイルが頑張る、二人が向かい合う物語になっています。だから、良いのかなと思っています。

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等身大の子たちに作ってもらうのが一番いいという思いが
──音楽ものとして出発したとのことですけど、タイトルも含めて俳句を選んだのは何故なんですか。俳句も詩ですが、音楽というと少し離れるのかなと思いますが。

大:イシグロさんから「音楽が生まれる瞬間みたいなものを描きたい。」と言われたんです。具体的な話となった時に「ヒップホップとソフトロックみたいものが混然一体となった瞬間に新しい音楽が生まれる」みたいな話をしたんです。じゃあ、それはどういう瞬間何だろうとヒップホップを調べていく中で、いとうせいこうさんと金子兜太さんの対談集「他流試合──俳句入門真剣勝負!」と出会ったんです。その本の中で金子さんが「俳句はもしかしたら、ヒップホップかもしれない。」という流れのお話をされているのを目にして、これだと思いイシグロさんに「この本を読んでくれませんか。」と勧めたのが俳句にグッと寄った始まりです。

イシグロ:音楽が元になっていることが重要だったんです。俳句と聞くと文学で音楽っぽいとは感じませんが、「他流試合──俳句入門真剣勝負!」を読んだことでこれも音楽なんだと思えるようになったんです。俳句は面白いんですよ。あと、大さんから映画『8 Mile』でリリック・ライムを思いついた時にメモ帳に書くというのが、句を詠む子たちが俳句を思いついた時に手帳に書くということに置き換えることでキャラクター付けになるんじゃないか、それがスマホだったらというところで物語が進んでいったんです。

大:「ゲットダウン」という詩人の男の子がラッパーに変わっていくというNetflixのドラマの話もイシグロさんとしていて、そういう色々からチェリーが俳句少年になっていきました。

──ラップというものも影響があったんですね。タイトルも高校生の俳句が元になっていて、作中も実際の高校生から作品提供をしてもらっているとのことですが。

イシグロ:等身大の子たちに作ってもらうのが一番いいという思いがあって、相談したところ「面白そうだからやってみたい。」と好意的に協力してもらえました。句会を開いてもらったのですが、そこでは出来上がって終わりではなく、批評するんです。

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──お二人もその句会に行かれたのですか。

イシグロ:はい、立ち会わせてもらいました。それこそラップバトルじゃないですけど、意見の言い合いもあって。そういう所から推敲されて句が新しくなっていく、そのやり取りが物語に反映されていくということもありました。

大:僕らも俳句は素人なので、監修を含めて相談させていただいた橋下優歩さんから「句が生まれ、語られ、修正されて、完成されていくかを実際に見た方がいい」と助言をいただいて見せてもらうことにしました。

イシグロ:特に「夕暮れのフライングめく 夏灯(なつともし)」のエピソードは忘れられないです。作中ではスマイルが「“めく”可愛い」と言うんですけど、それは実際の句会でもあったことなんです。朴訥した少年が句を発表した時に1つ上の元気のいい女の子から「“めく”超かわいい。私好き」と言われるんです。

大:それを言われた男の子が「かわいい? わかんない。」みたいになったんです。それが繰り広げられているとき、イシグロさんと二人で目を合わせて、これ入れなきゃって。

イシグロ:映像で覚えてますもん。机2つを挟んで、1つ上のお姉ちゃんが「超“めく”可愛い」って言っている姿。

──まさにチェリーとスマイルの関係性じゃないですか。

イシグロ:アニメはなかなか偶然性が許容されることが無いんですけど、シナリオに関してはライブ感がありました。

大:監修に入ってもらった時にも「上手い句になっちゃダメ。初々しい部分を獲得しないと監修としてもリアリティが出ない。」と言われていたんです。実際に見たことで「このことか」と思いました。そういった、句が生まれるまでのリアリティもちゃんとやっています。

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自己を確立していくということにカタルシスがある
──キャラクターはどのように作っていったのですか。

大:スマイルに関してはその時期にYOUTUBEをたくさん見ていたのが発想の切っ掛けになっています。観ていた中にキッズユーチューバーもいて、この子たちが思春期になったらこの動画どう思うのかなということを夢想したのが根底にあります。そこにドラマがありそうだなという話をイシグロさんにして、そこから三姉妹が出来てきました。二人が抜けていく中、真ん中のスマイルは今も発信したい子という設定です。

イシグロ:そこに子供の時はチャームポイントだった歯が気になって、思春期になるとヤダって隠したくなるというドラマを植え付けました。

大:以前から矯正機にコンプレックスを持ったキャラのストーリーはやってみたかったんです。ただ、アニメでは、上手く表現できないかなと思っていたので頭の中に納めていたんですけど、たまたまその話をしたら「それかわいく出来ますよ。」とイシグロさんから言われたんです。

イシグロ:自分は描いたことないのでやりたいと思ったんです。スマイル本人は自分の歯のことが嫌だけど、描いている我々や観ている人からは絶対に可愛いと思ってもらえると思ったんです。実際にそれは出来たと思っています。

──実際にスマイルも可愛かったです。スマイルもチェリーもお互いにコンプレックスに感じているところを可愛いと思っているんですよね。

イシグロ:そこはこだわりがある部分です。僕は自己を確立していくということにカタルシスがあると考えているんです。だからこそ、コンプレックスをお互いに認め合って、最終的にそこを好きになる・勇気をもらう・自信をもらうということに帰結する。自分のコンプレックスだって人から見れば良いと思ってもらえる、観ている人にも自分のコンプレックスが実は素敵なものなんだと思ってもらえる物語になると思ったんです。そこはシナリオをもそうですけど、絵コンテ・作画を演出していく中で、注意を払いつつこだわって描きました。

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──だんだんと自身のコンプレックスが魅力なんだと気づいていく姿は、観ていて気持ちが良かったです。

イシグロ:そこは僕が高校生の時に思っていた悶々とした部分をかなり反映しています。コンプレックスをどう解消していくか、僕は創作でしか満たされなかったことで。チェリーで言えばそれは句を詠むこと、声には出せないけど句に詠みたくてしょうがない、文字やネット越しだとちゃんと伝わらないかもしれない、なら声に出すしかない、この自己確立するという物語の段階は僕の青春をかなり織り込んでいます。この作品で僕はかなりさらけ出しまた。

大:そこは凄く感じました。

イシグロ:だからこそ青春映画と言っていいんだろうなと思います。最初に大さんに書いてもらったストーリーラインでは笑わない女の子を笑わせるという物語だったんです。そこの印象が強かったので、最後はあの形にしました。

大:そこは群像劇の段階から変わっていないですね。

──デザインの面ではチェリーはヘッドホンをして話しかけられないように、スマイルは口元を隠すためにマスクをしていて、絵としても二人のコンプレックスを表現していて流石だなと思いました。

大:いまとなっては、そんなに違和感がなくなってしまいましたが(笑)、当時はヒロインがマスクをしているのはデザインとしていいのかという話はスタッフからも出ていました。でも、イシグロさんから「可愛く描けるので大丈夫です。」と言っていただけたので二人のデザインが決まりました。

イシグロ:そこは自信がありました。作品の中で彼らがマスクをどう捉えているかの方が重要だと思ったんです。この映画単体で観るとスマイルのマスクの意味はズレないなと思っているし、そこまで心配はしてないですね。

──マスクを着けていることの意味を出すために季節を夏にしたのでしょうか。

イシグロ:爽やかにしたくて季節を夏にしました。とにかくハッピーエンドにしたかったんです。確かに当時だと夏にマスクするのはおかしいから「何でマスクをしているんだろう。」という疑問の意味も使えましたね。言われて気付きました。

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曲であの場と時間を共有している
──この作品は生で会う・共有するということを強く描いている作品だなと感じました。今はSNSやビデオ通話など距離があっても繋がることのできるツールが身近になっています。今作で生で会う・時間を共有することを強く描かれたのは何故ですか。

イシグロ:文字は確かに距離も時間も飛び越えますが読むタイミングを相手に委ねるので、双方が向かい合っているようで向かい合っていないんです。生で会うというのは目の前にいるので感動も直ですし、言葉以外の感動もあると思うんです。本当に意図した通りに思いを伝えるには目の前に居なければいけない、そのことが僕の中では重要だったんです。なので、生で会って時間を共有することの大切さを描きました。対比になる文字の部分はやきもきして、都合よく解釈されてしまう、なので思考が良い意味でも悪い意味でもドライブしてく姿を描きました。

──その対比は作中で俳句がタギングされているという形でも表現されていましたね。

イシグロ:思い出の表現で言うとレコードジャケットはフジヤマさんの思い出を大貫(妙子)さんの「YAMAZAKURA」とともに表現してあのデザインになっています。

大:記憶のベースはリアルタイムに体験しないとダメというのがあったんです。そこが最後のシーンに象徴されています。文字・配信・通信でその瞬間を体験していても、こっち側と向こう側では時間的な体験が共通じゃないんです。ココだけは解消できないから最後のシーンがある。そういう瞬間をチェリーとスマイルは一緒に生で体験したから強くなったし、その体験をフジヤマ夫妻もしていて、それがリンクする物語になっています。

イシグロ:場と時間を共有しているという意味では音楽も記憶とリンクしているということを表現しています。

──おっしゃる通り、音楽と記憶のリンクが描かれていることも印象的でした。

イシグロ:いい曲だからリンクしているのがいい記憶とは限らないし、悪い曲でもいい記憶とリンクすることもあります。じゃあ、フジヤマさんの記憶はどうなんだろうということで「YAMAZAKURA」という曲であの場と時間を共有している。

大:それが本質的な音楽ものだと思っています。

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──作品の象徴的な曲「YAMAZAKURA」を大貫さんにお願いすることになったのは何故なんですか。

イシグロ:これは僕からの発信ですね。「YAMAZAKURA」のシーン制作に入った時はデモ曲すらなくて、具体的にシナリオ・演出が思い浮かばなかったんです。そこで、まずはフジヤマさんたちの若いころ70年代のアーティストの曲を元にイメージを膨らませていこうとなった中、僕が好きな大貫さんが良いんじゃないかと思い至ったんです。最後のシーンに合う大貫さんの曲ということで『春の手紙』を聴きながらシナリオを書いていきました。シナリオが完成し制作が進む中「曲を誰にお願いしますか。」となった時に『春の手紙』を聴いていたので、「大貫妙子さんにやってもらえたらいいですね。」と話していたら本当にやってもらえることになったんです。しかも大貫さん本人に歌ってもらえるとなったんです。それを伺ってからは緊張の日々でした。

──本当に凄いことですよね。実際の曲も作品にピッタリで。

イシグロ:『YAMAZAKURA』は本当に作品に合った曲で、僕は特に歌詞に感動しました。歌詞が、さくらさんがフジヤマさんを元気づけるために作った曲になっているんです。曲をお願いする際に作品のプロットを大貫さんにはお渡ししていて、二人のバックボーンについての説明もさせていただいているんですけど、そのプロットをちゃんと読んだ上で書いてくれているということが初見で解りました。この感動は言葉にできないものがあります。レコーディングも見学させてもらったんですけど、そこで「ありがとうございます。」とお礼を伝えながら握手してもらいました。大貫さんも楽しんでレコーディングしていただけたそうなので本当に良かったです。

──大貫さんの声がまた良いんですよね。

イシグロ:透き通っているなかで、印象に残る、本当に素晴らしい声ですよね。贅沢させてもらいました。頑張って作ったご褒美かなと思っています。

──もう1曲の印象に残る曲『だるま音頭』。これは大さんが作詞をされていますが。

イシグロ:これも僕がオーダーしました。音楽と記憶の話にも絡んでくるんですけど、凄い変な曲・ダサい曲でも人によっては良い記憶に繋がる、そういう演出が必要になると思ったんです。そうなると『ダルマ音頭』は変な曲である方がより感情の揺れ幅を表現できると思ったので、ダサい曲を作って欲しいとお願いしました。それを気軽にお願いできるのは牛尾(憲輔)さんと大さんしかいない。

大:しかも詞先ですから(笑)。歌詞をよく見ていただくとプレス工場だったころに作られたエピソードになっています。そこがフジヤマさんのショッピングモールを徘徊してるという所にも繋がっているんです。自分の体が覚えている、体の記憶として、施設の周りをウロウロしていたという話ですね。

──フジヤマさんは記憶をたどり、チェリーとスマイルは思い出を作るという形で繋がっている物語なんですね。

大:音楽にまつわる思い出を個人的なベースからみんなが共有できるものに落とし込んでいったという感じです。だから作詞も漫然と書くのではなく、どう記憶と関わりがあるかということを考えて作っていきました。

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理想のキャスティングを貫けた
──キャストについてもお伺いしたいのですが、主演のお二人はどうやって決められたのですか。

イシグロ:チェリーは最初、全然イメージが浮かばなかったんです。男の子キャラの声優は女性の方が務めることが多いじゃないですか。例えば、エヴァンゲリオンの碇シンジは緒方恵美さん、ドラゴンボールの孫悟空は野沢雅子さんが演じている。お二人ともキャラとピッタリであの声しか思い浮かばないじゃないですか。

──そうですね。

イシグロ:お二人とも女性で、さらに言うとキャラとは年齢も全然離れているんです。つまり、声とアニメのキャラクターというのは分離できるんだから、キャラクターに合った声は性別・年齢に関係なく選べる、どこかに合う人が必ず居るという考えが僕の中にあったんです。そういう事を基準にしてキャスティングを進めたんですけど、チェリーに関しては全然浮かんでこなかったんです。その時、逆にその考えにとらわれすぎているのかもと気付いたんです。なので、シンプルに実年齢に近い子に演じてもらえればしっくりくるんじゃないかという事に気付いて、調べていったなかで(八代目市川)染五郎くんに辿りついたんです。

──確かに、染五郎さんはチェリーと同世代ですね。

イシグロ:染五郎くんは、声がいいんです。聞けば聞くほど、チェリーにしか聞こえなくなっていったんですけど、直接聞かないと判断できないなと思ったので歌舞伎座に観に行きました。そこで直接、聞いた瞬間チェリーだと思いました。それで松竹の方に頑張っていただいて、僕も手紙を書いて思いを伝えたところ、「声のお仕事は初めてだけど、チャレンジしてみたい。」ということでやってもらえることになりました。

──杉咲(花)さんはどのように決められたのですか。

イシグロ:逆にスマイルは最初の方からイメージがあったんです。スマイルが出っ歯だからというのも少しあるんですけど、女優さんの中でも歯がチャームポイントの方にお願いしたと考えていたんです。杉咲さんも歯がチャームポイントの1つだと思っていて、声も本当にいいので是非お願いしたいということでオファーさせていただきました。杉咲さんにも熱意を伝えたいと手紙を書いて「いかにあなたの声を必要としているか」を伝えたところ、彼女から快諾のお返事がいただけました。理想のキャスティングを貫けたと思います。主演の二人を含めて全員、僕が望むキャスティングになりました。

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──お二人は特に年齢が近いからこそ出せる初々しさが出ていて良かったです。

イシグロ:その辺は、自分で強みとして持っていると思っています。僕は絵が描けませんが、耳は良いと思っています。音楽面もそうですし、キャストの声のマッチ具合とか芝居感を聞き分ける力は、この映画を作り終えてさらに自信になりました。オリジナル作品だからこそ、確信に変わったところがあります。

──声・音楽を聴いているだけでも気持ちよくなる作品でした。

イシグロ:嬉しいです。

──やっと1年の延期を経て公開になるわけですね。待ち望んだ作品が劇場で見られるということにワクワクしています。

イシグロ:いつ公開できるだろうというモヤモヤ感はずっと続いていたので、それが晴れてよかったです。公開延期を今はケガの功名と考えるようにしています。作品舞台が夏なので、もともと公開を予定していた昨年5月だと少し早かったんです。公開の7/22は夏休みスタートの時期で、完全に夏休み映画となったのでポジティブに捉えています。

大:この作品に参加できたことは僕にとって誇りです。こういう青春物語を狙ってやるのことは自分のキャリアでは難しいと思っていましたが、結果としてイシグロさんとやる意味を持った作品になったと感じています。作品を作る上で不必要なことはなかった、そういう意味で僕も延期をプラスに考えています。僕らが企画をやっていたころよりもシティポップのリバイバルが一般にも浸透していっているのも、プラスになるのかなと感じています。

イシグロ:時代をとらえてくれるといいなと思いますね。この映画を観てスカッと爽やかな感じで映画館を出てくれると本当に嬉しいので、それを望んでます。

© 2020 フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会

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