元祖サウナ芸人・山口智充「裸で入るサウナに一般人も芸能人も関係ない」

日刊SPA!

 昨今、サウナ好きを公言する芸能人は多いが、ぐっさんこと山口智充のそれは筋金入りだ。2008年に山口が持ち込み実現した企画『アメトーーク!』(テレビ朝日)の「サウナ芸人」をきっかけに、オヤジ世代のものだったサウナの素晴らしさが全世代に波及、ブームの礎になったと言っても過言ではない。

別冊SPA!『ベストサウナ』では、元祖サウナー芸人・山口智充氏へのインタビューを敢行。熱波よりもアツい、ぐっさん流のサウナ愛とは?

◆最高の一杯のために“耐える”サウナ

――山口さんのサウナ歴を教えていただけますか。

山口:初めて行ったのが20歳頃だから30年以上ですかね。まず、風呂が好きだったんですよ。大浴場。小さい頃にオヤジが銭湯好きで、兄貴と一緒によく3人で行っていたんです。そこにもサウナはありましたけど、年齢制限があったし、普通に入浴するより割高で、入ったことはなかったです。でも芸人になる前のサラリーマン時代、ちょうどスーパー銭湯ブームが起きまして。行ったらだいたいサウナもセットになってますから、それでハマりました。仕事が終わってからひとっ風呂、ということもあったし、プライベートで地元の友達と一緒に、というのも。関西のスーパー銭湯や健康ランドは、ほとんど行きましたね。

――サウナのどんなところに魅力を感じていたんですか?

山口:最初はみなさんそうだと思うんですけど、入っているときってどちらかというと苦痛じゃないですか。でも、サウナを出て水風呂に入ったり外気で涼んだり、そうすることで得られる快楽、快感があると。単純に汗を出すっていう気持ちよさもありますしね。ただまあ、結局は上がった後の飲み会ですよ。

◆サウナでは芸能人も一般人も関係ない

――よくわかります(笑)。

山口:今でこそ、サウナから出てすぐにアルコールを飲んだらあかん、というのも言われてるんで気を付けるようにはしてますけど、昔は本当にもう、耐えて耐えて、その一杯のためにサウナ入ってるときも水を飲んでなかったですから(笑)。若かったから、というのも大きいんでしょうけど、我慢して汗を出し切って、キンキンに冷えた生ビールを飲む、ということしか考えてませんでした。

だいたい施設の中に居酒屋があったりして、その店のお母ちゃんにも顔を覚えられて「キンキンがええんやろ?」みたいな(笑)。冷やしたジョッキをテーブルに置くと、水滴で「ツーッ」とジョッキが滑るんですよ。それを一気にクーッと飲むのがもう最高でしたね。生ビールまでが僕のルーティンでした。

――芸人としてブレイクされてからも、その最高の一杯を求めてサウナに通い続けたんですか?

山口:30代になってからはちょっと意味合いも変わってきましたね。もちろん、最終的には飲むんですけど(笑)、行くこと自体が目的になりました。サウナという空間が「なんか、いいなあ」って思うようになってきまして。サウナって、立場とか職業とか何も関係ないじゃないですか。

当時は僕もぼちぼち外で声をかけられたりもしてましたけど、サウナだと、気付かれても「あ、ぐっさん」ぐらいでそこからグイグイ来る人もいないし、僕も帽子かぶってマスクして、みたいなこともないわけです。そもそも裸やし(笑)、芸能人も一般人もなくて。

◆一番通った名古屋の“聖地”

――変に持ち上げられたり騒がれたりせずに、暗黙の了解みたいな形で成り立つ空間が心地よかった、と。

山口:そうですね。「みんなサウナ好きなんや。じゃあ一緒やん」みたいな、あけっぴろげな感じ。サラリーマンだろうと芸人だろうとずっと好きで通い続けられたのは、そういうことなんじゃないかと思いますね。

――一番通っていた時期は?

山口:それは、名古屋でレギュラー番組を持つことになってからです。現場のスタッフさんもサウナ好きで一緒に行くようになって、それで回数も増えました。

――名古屋と言えば、サウナーの「聖地」とも呼ばれる「ウェルビー」が。

山口:まさにそうです。毎回ロケが終わったらみんなで「ウェルビー行こか」って。人生初のロウリュは想像を絶する熱さでしたね。「これ、大丈夫なん?」って心配になりました。撮影でも何度か行かせてもらいましたけど、あまりの熱さでカメラが2回、壊れました。

◆専用ロッカーの番号は「ぐっさん」の93番

――そこまで!そりゃ効くはずです(笑)。

山口:特に「ウェルビー今池店」さんにはロケでもプライベートでも本当にお世話になってて。全店舗のフリーパスもいただいたんです。それに、今池店には僕の専用ロッカーまで用意してくださって。「ぐっさん」で93番です。今もありますよ。

――それはサウナーにとって夢みたいな話ですね。

山口:ただ、テレビでEXILEのメンバーの方と一緒に今池店さんに行ったんです。そしたら「ウェルビー」を気に入られて、ツアーで名古屋に来たらみんなで行くようになったそうで、その後EXILEのメンバーがみんなそのパスをもらったらしくて。

「俺だけちゃうの~?」ってちょっと嫉妬しました(笑)。まあ、専用ロッカーは僕だけなんで、これはもう大変な名誉だと思っています。

◆裸になって、腹を割って話せる場所

――ほかにも思い出深いサウナはありますか?

山口:浅草ROXの「まつり湯」ですね。もう14、5年前になるかな、初めて一緒に仕事する関西のテレビ局のプロデューサーさんが、「打ち合わせしたい」ということで上京されたんです。最初の打ち合わせだからいい感じの飲食店を押えようとしていただいたんですけど、会った瞬間に「いい感じの人だな」って思ったので「風呂行きましょう。そこなら飯も食えますから」と言って「まつり湯」にお連れしたんです。

――サウナはタレントとスタッフの打ち合わせにまで使えるわけですか。

山口:僕は最高の場所だと思いますね。変な話、隠し事もなんもないじゃないですか(笑)。その方にとってもそれがすごくよかったらしいです。ずっとやらせていただいた『にじいろジーン』(関西テレビ)という番組で、プロデューサーは5代目ぐらいまで替わりましたけど、番組が終わってもいまだにその初代の方とは付き合いがあります。最初に裸になって、本音で腹を割って話しができたからだと思いますね。結局、サウナの魅力ってそこなんじゃないですかね。誰かと一緒に行って、夢を語り合ってその後それが実現したりもするし、アホな話しをしながら生まれた企画もあるし、それがそのまま番組になったりもする。

そもそも、大衆浴場というのは昔から社交場、情報交換の場だったりするわけですから。人生のいろいろなことがサウナで生まれてると言っても過言ではありません。

◆自己完結するのではなく、人と触れ合う場所

――なるほど。現在のサウナブームは「ととのえる」というのがキーワードで、個人が疲れを取ったり、精神的にリフレッシュすることに主眼が置かれることが多くて、そこに他人の存在が必ずしも必要ではなかったりします。でも山口さんは逆で、むしろサウナには他者とのコミュニケーションを求めているんですね。

山口:そうかもしれません。自己完結できる趣味ではないですね。健康のために、というのももちろん目的には含んだうえで、「人と人」というのが根本にあるんです。仮に1人で行くとしても「今日はどんな人との出会いがあるんだろう?」みたいなことを考えてしまいます(笑)。 後はそのサウナ内に居酒屋スペースがあったら、より最高ですね(笑)。

山口智充

1969年、大阪府生まれ。バラエティ番組、ドラマ、映画、ラジオ、ナレーションアニメの声などで幅広く活動。2021年現在、歌と笑いの『ぐっさんのハッピーオンステージ全国50カ所ツアー』を展開中。

<取材・文/稲村ジン 撮影/山田耕司(人物)、林 鉱輝(施設)>

―[読むサウナ]―

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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