ヒートアイランド対策に重宝しそう。アスファルトの“日焼け止め”

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Photo: Alex Wong (Getty Images)

アメリカとカナダを襲った熱波インフラに打撃を与え、猛暑の危険性を示しました。暑くなりすぎる都市を一刻も早く和らげるためにはヒートアイランド現象を抑制する必要があります。気候危機が悪化しつつある今、木を植える以外のアプローチが注目されています。

オハイオ州の路面用塗料メーカーPavement Technology Inc.が開発したのは、路面温度を低減できるという特殊コーティング「A.R.A.-1 Ti」。ルイジアナ州立大学の研究者らと共同開発した製品で、構成物質は企業秘密となっているもののベースには日焼け止めや白色塗料、調合薬に使われる化合物二酸化チタンが使われています。光と熱を吸収して散乱する二酸化チタンは光触媒で、紫外線が当たると電子が励起します。

道路用の若返り薬


メーカーは同製品を“道路用の若返り薬”と宣伝しており、アスファルトを補強することで「経年劣化したアスファルトの回復」もできるとか。北米西部では猛暑によって道路が割れたり盛り上がったりしていたので、重宝しそうな特性と言えそうです。

さらには、窒素酸化物と揮発性有機化合物など車の排出ガスも分解するとのこと。光触媒作用という化学反応を通して、酸化チタンが高エネルギーの電子をつくりだして大気中の毒素を分解するのです。宣伝用の動画は、A.R.A.-1 Tiを塗布した道路1.6キロメートル分には20エーカーの森林と同程度の空気浄化の効果があると説明しています。

Pavement Technology社は独自にリサーチを行い、こういった特性をすべて確認済みだとか。現在はまだパイロット版ですが、すでにオーランドやシャーロット、ローリー、グリーンビルにチャールストンなどの地方自治体がA.R.A.-1 Tiを試験的に導入しています。製品の効果についてのデータを集めるため、同社は導入した地域のアスファルトの一部をサンプルとして切り取ると共に大気質と気象データも収集して、テキサスA&M大学の研究者たちに送っています。

昨年、フロリダ州オーランド国際空港がこの舗装処理を用いたところ、窒素酸化物汚染が半減しました。サウス・カロライナ州チャールストン郡の職員も同じような成果を得たいと考えているようです。

チャールストンでは、公共事業部が高速道路に隣接してアスファルトの多いユニオン・ハイツとローズモントの2カ所にA.R.A.-1 Tiを施しました。どちらの地域も、ビルが密集した場所に起こるヒートアイランド現象の発生地です。ビルや舗道は日光を吸収して熱を放出するので、このような地域は木々と緑地の多い地域と比べて約4.4℃も暑くなってしまいます。最もひどいヒートアイランドは、低所得地域と有色人種の住宅がある地域に主に集中しています。温度を下げるためのこういった解決策を持てれば公衆衛生の大きなメリットとなり、人々は冷房費を削減できます。

アスファルトの“日焼け止め”がもたらす効果はどれも魅力的に聞こえますが、このようなテクノロジーは包括的な気候正義のポリシーの代わりにはなりません。上昇していく気温から都市を守るには、化石燃料業界の廃止と二酸化炭素排出量の早急な減少という大変な仕事をする必要がまだ残っています。この技術がヒートアイランドをクールダウンできたとしても、私たちが頼れる唯一の解決策ではないのです。

どのみち樹木や緑地を近所に増やせば、気温が下がるだけでなくメンタルヘルス的にもメリットがあって、屋外スペースは人々が集まるのに心地よい空間になります。街中に自然が増えれば、雨が降っても地表を流れて洪水の原因となるのではなく、吸収されていきます。

道路のための特殊コーティングは都市が暑くなりすぎるのを防ぐアプローチとして、有用な取り組みの1つとなるかもしれません。

Source: Pavement Technology, Inc.(1, 2,), YouTube, Texas A&M Transportation Institute, Engineering News-Record, facebook,

当記事はギズモード・ジャパンの提供記事です。

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