森田望智×恒松祐里×武正晴監督「若きベテラン」勢の競演<Netflix『全裸監督 シーズン2』インタビュー後編>

2019年に配信されたシーズン1は当時、Netflix上で最も観られた作品TOP10において日本でNo.1、台湾や香港などの各国でもTOP10入りを果たした、超人気シリーズ。続編にあたるシーズン2では、シーズン1でアダルトビデオ界の頂点に駆け上がった村西とおる(山田孝之)が、バブルが崩壊した1990年代に、次なる冒険に挑み、失墜していく姿を全8話で描き出します。

本作で森田さんは、村西のミューズとなった黒木香役を続投、恒松さんは村西にとって新たなヒロインである乃木真梨子役で出演しています。

めるもでは、主演の山田さんとシーズン1から総監督を務めている武正晴さん、ヒロインを演じた森田望智さん、恒松祐里さんにインタビューを実施。前後編に分けてお届けします。

後編となる今回は、森田さん&恒松さん&武監督にお話を伺いました。シーズン2撮影時のエピソードなど、実はバチバチだった(!?)森田さん&恒松さんの関係性にも迫りました!

 

 

――まず、森田さんに、シーズン1を終えて『シーズン2』に向けての準備や撮影にあたっての心境など、教えていただけますか?

森田望智:シーズン1をやるときからシーズン2のことは頭にはあったので、もともと準備をしていたんです。本格的に「やります」と決まってからは、シーズン1のときとはまた違う難しさというか、前回を超えていかなきゃいけない気持ちがありました。黒木のキャラクターを掴めていても、そこから黒木はどんどん変化していくので、どう変化していくかを考えるのが、すごく難しかったです。

 

――しかしながら、シーズン2も圧巻の演技といいますか、余裕すら感じるようなところがありました。

森田望智:ありがとうございます。シーズン2は、皆さんが知っている黒木香の完成形がどんどんどんどんはがれて、もとの「恵美」になっていくんです。けれど、それはシーズン1の恵美ではなくて、黒木を生きていった後の恵美なので、その変化があったのかと思います。

 

――武監督は、森田さんのなだらかな変化を演出されていて、いかがでしたか?

武監督:いやー。だから、何て言うんですかね……森田さんは今何年目なの?

森田望智:本格的には大学生のときからオーディションを受けはじめました。レッスンは中学生から、やっていました。

武監督:恒松さんも?

恒松祐里:私、7歳ぐらいですね。

武監督:だから、ふたりとも若いんだけど、もうベテランの域にきているというか。ずいぶん俳優という仕事に関わっているから、あまり新人という感じはしないですよね。森田さんは前回、黒木というとてつもなく難しい、誰もやらない役をやってくれて、その役が彼女に舞い降りたと思うんです。「1本の作品でこれだけ俳優が成熟するんだ」と、シーズン2があって本当によくわかったというか。もちろん、シーズン1という未知の部分を乗り越えた自信もあるだろうし。森田さんなりに分析してくれたように、黒木がどうなっていく物語か、ということを非常によく理解しているので、僕たちは俳優さんたちを演出するというよりも、物語自体を演出していくんです。『全裸監督』という物語をどういう方向性にディレクトしていくか。黒木という役を演じている森田さんのビビッドな感情を、できるだけ逃さないように、もしくはもうちょっとプラスアルファできるような瞬間を、どうやって作っていくかに注意して撮影していました。

 

――恒松さんに関しても同じことが言えると思うのですが、シーズン2より参入された恒松さんについて、武監督はどのようなお気持ちでしたか?

武監督:まず、この役をやってくれるっていうことが万歳ですよ。

恒松祐里:(笑)。

武監督:森田さんのときと一緒で、「この役をこの人がやってくれたらいいな」というのにチャレンジしてくれることが、まず万歳で。あとは、本人がそこに向かって必死にやってくれるというか……、森田さんが最初に黒木をやったのと同じような状況を感じました。

 

――恒松さんご自身は、オファーを受けてから出演まで、どのような心境でしたか?

恒松祐里:オファーをいただいたときは、素直に「何で私なんだろう? どの作品を観て、オファーをしてくださったのかな?」と思いました(笑)。仮の台本を読むと、乃木さんは、すごく愛のある女性なんですよね。人を許す力がある人で、きっと心がすごく広いんだろうな、どんな場面でも順応できる人なのかな、と思ったんです。そういう要素が私にも少しだけあるので、もしかするとそこを見てオファーしてくださったのかなと、台本を読んで思いました。

……でも、この役をやるとなると、やっぱり悩むところはありました。たくさん考える時間をいただけたなかで、シーズン1での森田さんのお芝居を観たり、山田さんも満島(真之介)さんも、皆さんが本当に素晴らしくて。拝見して「この作品に関わりたい」という気持ちのほうが大きくなりました。今コロナ禍でもありますけど、明日お芝居ができなくなってしまうとか、明日何が起こるかわからない世界の中で、「やっぱり後悔したくない」という思いが大きくなったので、オファーを受けました。

武監督:乃木はもちろん難しい役だったから、本人の中ではすごくいろいろ葛藤があったと思います。けど、恒松さんはそれをあまり現場に持ち込まない人なんですよ。

恒松祐里:そうですね、どちらかと言うと持ち込まないタイプです。ずっと考えていたことは、実際の乃木さんは、村西さんや黒木さんほど資料もなかったですし、作品もフィクションなので「あんなに濃いキャラクターたちの中で、私はどういう味にすればいいんだろう?」というのは、ずっと考えて迷っていた部分ではありました。どのアプローチでいけばいいかが、難しかったです。

武監督:最初の撮影の頃は、どうしてもちょっと緊張するよね。みんなの流れができているところに入るから。でも、黒木さんだったり、だんだん周りがいなくなってきてから、目立ちゃいい役なんですよね。そこからだんだんフォーカスが合ってくる、というかね。後半はどんどん慣れてきて、ゆとりも出てきて。というか、ゆとりがもともとあるなかで、さらにもっとゆとりが出てくるから、本当に若きベテランたちですよ。そういう俳優が『全裸監督』のメインキャストには多いですよね。

森田望智:(伊藤)沙莉さんも、そうですよね。

武監督:沙莉さんも、山田さんだって、やっぱり若いときからやってるし、みんな若きベテラン。皆さんが、ちゃんと物語やキャラクターたちの行方を理解しているので、その中でこっちはきっちりとした状況を作ってあげるだけ、というか。

 

――先のインタビューにて、山田さんが、おふたりのメイクルームでの裏話を教えてくださったんですが。

森田望智:それ、山田さんがずーっと言ってるんです(笑)。

恒松祐里:私、覚えてなかったんですけど、覚えてる?

森田望智:うん。後藤(孝太郎)監督がモニター前にいらっしゃって、私もモニター前で、見ていたんですよ。そうしたら、恒松さんが来て、私の肩を揉んでくれて。後藤監督が「なんで肩揉むの?」と聞いたら、恒松さんが、「日頃から黒木さんをイラつかせようと思って」とさらって言って帰っていって(笑)。それで、後藤監督と私は目が点になってしまったのを、山田さんが見てたみたいです。

恒松祐里:全然覚えてない……。そんなことしたんだ!

武監督:意外と無意識で、いろいろなことを言ってると思うよ。

恒松祐里:私、考える前に口に出ちゃうタイプで(笑)。

森田望智:だから、山田さんと「面白いね」、「役へのアプローチがすごいね!」という話をずっとしていたんです。

恒松祐里:やだ~(笑)。でも撮影中は本当に「乃木ちゃんって乃木ちゃんだよね」って、みんなに言われていました。私もそんな気はなかったんですけど、今回試写で観て「なんて嫌な女なんだろう!」と思ったので、もしかしたら撮影期間中、私はそうなってたのかもしれないですね。

このあいだ思い出したんですけど、山田さんとのラブシーンの日に、黒木っぽい黒のワンピースを、私服で着ていったんです。撮影期間中は、本当に黒木を意識しすぎていたんですよ。実際、乃木もそうなんですけど、やっぱり大きな壁というか、超えることのできない壁があって。それを意識しすぎたあまり、私自身もそういう行動をしていたっていう(笑)。「今日、黒木さんぽいね」と言われて、「あ、そうです。今日はラブシーンがあるから、黒木さんっぽい服で来ました」みたいな。「怖い女だな」と自分でも思うんですけど、そのときはそうなっていたんですよね~。

森田望智:私もそれをメイクさんから聞いて、「なんて面白い子なんだろう!」と思った(笑)。「こうやって役づくりしてるんだな、すごいな!」と感じてました。

 

――恒松さん演じる乃木と村西のラブシーンは、森田さん目線、黒木さん目線では、どう映っていたんですか?

森田望智:黒木としては、もちろん哀しい気持ちがあるとは思うんですけど……でも、そこまで乃木を意識していないんですよね。シーズン1のとき、私は本当に不安だったんです。同じような状態だから、「不安だろうな」と思いながら見ていました。けれど、恒松さんは、そういうところを見せないので、「なんかすごい……すごいなぁ、この子は絶対できるだろう」としか思っていなかったです。気持ちがすごく強いのがわかるから、不安とかではなく、単純にすごいなと、ずっと思っていました。

 

――ありがとうございました。最後に、『全裸監督』は本シーズンで完結だと伺っています。「心残り、ないですよね?」という質問をしたいのですが、皆さま、今のお気持ちは?

森田望智:脚本があって、美術さん、ヘアメイクさんなど、それを全力で作ってくださるスタッフの皆さんの力を借りて、ただ私は全力で応えよう、ということだけでした。本当に悔いはないですし、私にできることはできたかなと思っています。反省はたくさんありますけど、そのときの自分で考えたなりにやったかなぁ、と思っています。

恒松祐里:本当に、同じ気持ちです。そのときの私にできることをやったんだろうな、とは思います。結局はそのときに出せないものしか、出ないですからね。……撮影が楽しかったから、それで全てOKです! はい(笑)。

武監督:心残りは……シーズン2で終わってしまうことですね、やっぱり(笑)。

森田望智:山田さん、「もうやりません!」と言ってました(笑)。

武監督:もうキツイでしょ、3回目はなぁ。でも、原作にもあるシーズン2のその先のストーリーを、いつか別の形でもいいから描いてみたいなと、思っています。(取材・文:赤山恭子、写真:齊藤幸子)

 

 

Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督 シーズン2』は、2021年6月24日(木)よりNetflixにて全世界独占配信。

キャスト:山田孝之、満島真之介、玉山鉄二、森田望智、恒松祐里 ほか
総監督:武正晴
公式サイト:https://www.netflix.com/全裸監督

WRITER

  • 赤山恭子
  •        

  • エンタメ雑誌編集部に勤務後、ハリウッド映画の版権を買い付け日本国内で販売するディストリビューターを経て、フリーの映画/エンタメライターに。現在は、監督・俳優のインタビューを中心に、現場取材、映画紹介コーナーほかも担当。相手の心に寄り添い、時に突っ込みながら深めてゆくインタビューが持ち味。

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