今注目のピアニストけいちゃんに迫る! 音楽の原点からデビューアルバム&初の全国ツアーまでロングインタビュー

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活動開始からわずか1年9カ月でYouTubeチャンネル登録者数が100万人を突破した新世代ピアニスト・けいちゃんが2021年6月30日(水)、アルバム『殻落箱(がららばこ)』でメジャーデビューする。「一皮むけた僕を詰め込んだ」と自信を見せるアルバム、そして同年7月8日(木)からスタートする初のライブツアー『けいちゃん Zepp Tour 2021~ Freestyle Piano Party 「殻落箱」~』についてオンラインでインタビューを行った。

■デビューは“けいちゃん”としての正式スタート

さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ『~Freestyle Piano Party~ World & You』の様子 (撮影:池上夢貢)
さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ『~Freestyle Piano Party~ World & You』の様子 (撮影:池上夢貢)

――まずはデビューおめでとうございます。オファーを受けたときのお気持ちや、デビューを前にしたいまの思いを聞かせていただけますか。

ありがとうございます。お話しをいただいたのは昨年の11月頃でした。デビューを聞いたときは、「これでちゃんと自分の作品を世の中に放つことができるんだ」と感慨深かったです。

――YouTubeなどを通して、すでに大活躍なさっている印象ですが、デビューというのはまた違う思いがありますか。

そうですね。YouTubeではカバー曲を演奏することが多かったので、これからは作曲家として、オリジナル曲をメインにして活動できる。“けいちゃん”としてちゃんと、正式に、スタートできると感じています。

――なるほど。確かにそうですね。けいちゃんのことを初めて知る方もいらっしゃると思うので、ピアノを始められた経緯やいつ頃から奏者になりたいと思ったか、など聞かせていただけますか。

はい。最初にピアノに触れたのは3歳のときです。おもちゃのピアノで遊んだのが始まりです。奏者になりたいと思ったのは……小学校4年生の頃から。特にきっかけはなくて、野球をしている子どもが「野球選手になりたい」と思うのと同じ感覚で、「ピアニストになりたい」と思うようになりました。野球を見に行くように、クラシックの演奏会に足を運んでいて、「あのステージに立ってみたい」と。「ピアニストになりたい」と口に出してからは、周りの環境が大きく変わっていきました。

――野球やサッカーなどのスポーツはもちろん、子どものときはやりたいことがたくさんあったと思うのですが、けいちゃんはどんな子どもでしたか?

コンクールに向けて音楽が最優先。遊ぶ暇もないほど、ピアノ漬けの日々でした。友だちから「けいちゃんはピアノで忙しいもんね」と言われて、寂しい思いもしました(笑)。

――ずっとクラシック漬けだったのですか? 普段聴く音楽や、遊びとか……

9割クラシックでしたね。あ、でもKAT-TUNはよく聴いていました。特に『Real Face』が好きで。【♪ギリギリでいつも生きていたいから~】の歌詞が好きだったんですよ。CDも買いました。あとは……小中高校とカードゲームも好きでした。

――友だちとの時間を削ってまでのめり込んだピアノ。けいちゃんにとってはどんなところが魅力だったのでしょうか。

練習すればするほど、上達したな、うまくなったなと自分でもその成果を実感できたこと。練習すると先生がほめてくれたこともうれしくて。のめり込んでいきました。僕はほめられることが大好きなので(照)、ほめられるとそれがエンジンになって、また頑張ろうと思えたんです。

■ロンドンの「駅ピアノ」で浴びた喝采が原点に

さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ『~Freestyle Piano Party~ World & You』の様子 (撮影:池上夢貢)
さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ『~Freestyle Piano Party~ World & You』の様子 (撮影:池上夢貢)

――ほめられることは原動力になりますよね。YouTubeへの投稿を始めたのはどんなきっかけがあったのでしょうか。

高校の修学旅行先で見た「駅ピアノ」がきっかけでした。パリ(フランス)からロンドン(イギリス)まで移動しているとき、到着した駅に誰でも自由に演奏できるピアノが置いてあったんです。もともと合唱会などの学校行事で演奏する機会があって、「けいちゃんはピアノが弾ける」って有名だったので、周りにいた友達に促されて、そのピアノを弾いたんです。ホームからコンコースに出たとき、ピアノへと続く道がバッと開いて。バージンロードを歩くみたいに、ピアノに歩いていきました。

――海を割ったモーゼのようですね。何を演奏したか覚えていますか。

『ラ・カンパネラ』と『蠍火』です。みんな集まってくれて、すごい盛り上がりました。ペダルが壊れていたり、トラブルもありましたが(笑)本当にうれしかったです。

――ロンドンでの喝采は、相当な手応えがあったんですね。

そうですね。自分が好きなことで、人が喜んでくれることがとてもうれしかったです。小中学生のときはクラシックがメインでしたが、高校時代は、お風呂の「お湯張り完了音」や駅メロなど日常にある音とかを、「弾いてー」と言われて、弾くこともあって。音楽大学に進学してからは、型にとらわれない演奏の楽しさや魅力に気がついて、ピアニストとして有名になるためには、コンクールで優勝する以外にも道があるのではないかと。そこで思い至ったのがネットの世界だったんです。

――なるほど。そこからストリートピアノに目が向いていったんですね。

帰国していろいろ調べて、日本にもストリートピアノがあることを知って。大学を卒業して1年目に、都庁(45階にある南展望室に設置された『都庁おもいでピアノ』)で演奏した映像をYouTubeに投稿したのが、始まりでした。

――最初はどんな気持ちで演奏をなさったのですか。

これまでと変わらず、ありのままで演奏をしよう。自分らしさを出せるようにと思っていました。演奏中もそうでしたが、配信後の反応もとても良くて、たくさんの人に「上手」とほめられたことが、うれしかったです。

――初投稿から、わずか1年9カ月でYouTubeチャンネルの登録者数が100万人を超えました。反響をどう受け止めていますか。

YouTubeで発信したものを好意的に受け止めてもらえたことはうれしいですし、理想通りでした。先ほどお話ししたみたいに、大きなコンクールで賞を獲って、有名になって、CDデビューという今までの流れとは違う、新しいピアニストのなり方があるんじゃないかと思っていたので。ただ100万人という数字は考えていなかったので、それは想定外でした。ビックリの連続です。

■デビューアルバムは初めて作詞にも挑戦 殻を破って“新生けいちゃん”に

『殻落箱』初回限定盤ジャケット
『殻落箱』初回限定盤ジャケット

――そしてたくさんの人が待ちわびていた、けいちゃんのオリジナル曲の音源化が決まりました。デビューアルバム『殻落箱(がららばこ)』はどんな思いで制作を進められたのでしょうか。

一応、僕はピアニストなので、ピアノが主役の曲とその枠にとらわれない曲の両方を合わせた作品を作りたいと考えました。12曲中6曲は、曲だけではなく言葉も一緒に伝えたいと、初めて作詞にも挑戦しています。

――けいちゃんの歌。ビックリしました。歌声を初めて披露されたのは、2020年12月にさいたまスーパーアリーナで男性ソロピアニストとして初めてワンマンを行ったときですね。「革命を起こす!」と立たれたステージで聴かせてくれた『浄土』。アルバムにももちろん収録されています。初音ミクとのコラボも驚かされました。

『浄土』は初めて作詞をした曲です。(初披露したときは)「けいちゃんが歌ってる!」「上手」と良い反応が多くて、「もっとほめてほめて!!」ってうれしかったですね(笑)。日常の中で歌うことは好きですが、まさか自分が歌うとは思っていませんでした。でも殻を破って、新しい自分を表現したいと考えていたので、歌を取り入れたことは良かったと思っています。

――なぜ歌詞をつけよう、歌おうと思われたのでしょう。

言葉が入るとイメージを固定できると思ったからです。例えば『リンゴ』っていうタイトルの曲だけど、歌詞をみたら【リンゴ】という言葉はひと言も出てこなくて、とても残酷な歌のときもありますよね。言葉遊びが楽しそうと思ったことも理由のひとつです。僕は4歳のときに初めて作曲をしたのですが、このときに作った曲も歌があってすごく楽しい曲だったんですよ。

――初音ミクとコラボした『浄土』に次いで、発表したのが『透明シンデレラ』でした。美しいファルセットから、ジェットコースターのように直滑降するサビを聴いていると、ボーカリストとしてもかなりの域にあると感じます。

『浄土』のときからボイストレーニングも始めました。ピアノとはまた違う難しさがありますね……。

「浄土」けいちゃん MV

――楽曲制作において歌詞が入ることによる難しさはありましたか?

ピアノの表現をより具体的にしようと言葉をのせることにしたんですが、やってみると、言葉のイメージを凌駕するような音、演奏が必要だと気づきました。最初に制作した『浄土』や『√Future』などは我ながら「やり過ぎ!!」と思うくらい演奏が難しいです(笑)。

――お話しに出た『√Future』はさいたまSAのライブで1曲目に演奏された作品でした。当時はインスト曲でしたね。打ち込みから始まる疾走感がある作品が、今回アルバムのオープニングを飾っています。

この曲は、制作を始めた当初から、ボーカルを入れたいと思っていました。歌詞を入れた形で収録をすることができて良かったです。

――顔は笑顔だけど、心から血が噴き出しているように感じたり。けいちゃんの歌詞には、文学的な要素も感じます。

思っていることをストレートに伝えるよりも、遠回しに言ったりすることが好きなんです。日常の中でも、難しい日本語表現などはストックとして溜めるようにしてます。

――どこかに痛みがあって、そこにとても温もりを感じます。

「失敗することがあってもそれは未来で待っている素晴らしい経験の為に必要な​事象だった」というのが僕の座右の銘なんです。うまく日本語にするの難しいんですけど。人が見たら失敗と思うことも、実は失敗じゃなくて。例えば石に躓いて転んだとして、転ばなかったら車にひかれていたかもしれないと考えたら、マイナスなことばかりではないですよね。だから失敗してもめげないこと。……ずっとそうやって生きてきたので、実はくじける感覚もあんまりもっていないのかもしれない。人からしたらくじけることも、くじけずに生きてこられたのかもと思います。

――アルバム『殻落箱』はどんな意味があるのですか。仏教用語のような??

漠然と〝なんとか箱〟にしたいなと思っていて。あとは略されないように5文字にしたいと考えながら【♪ラララ~】と歌っていたとき【ラララ】【ラララ】【ガララ】と行き着いて。ガララ箱。いいじゃん!となりました。「殻」は、一皮むけるという意味を持たせることもできるし。歌など、さまざまな要素が入ったデビュー作には、どんぴしゃだ!と思い名付けました。

■全国5都市のライブツアー「新しい扉が開く瞬間を目の当たりにして」

さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ『~Freestyle Piano Party~ World & You』の様子 (撮影:池上夢貢)
さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ『~Freestyle Piano Party~ World & You』の様子 (撮影:池上夢貢)

――なるほど!その〝新生けいちゃん〟に会えるライブツアー『けいちゃん Zepp Tour 2021 ~ Freestyle Piano Party『殻落箱』~』が2021年7月8日の北海道・札幌からスタートします。10日にZepp Haneda、12日がZepp Nagoya、13日にZepp Namba、15日のZepp Fukuokaまで全5公演。コロナ禍でオンラインライブが主軸でしたから、初めて生のけいちゃんを観る人もたくさんいますよね。ファンからの歓声も楽しみですね。

歓声を浴びたいです!!!きっと気持ちいいだろうなと思って。けいちゃんとして有観客でのワンマンは初めてなので、人前でどうなるのか知りたいです。パフォーマンスすることが大好きなので、いまの僕が出せる最大限の力を鍵盤にぶつけたいです。

――けいちゃんには、いつも気持ちよく裏切られているので、想像もできない〝想定外〟があることを楽しみにしています。

みんなピアノの可能性が広がってきていることを感じていると思うので、新しい扉が開く瞬間を目の当たりにして欲しいです。

――札幌から始まって福岡まで。楽しみにしていることはありますか。

東京と大阪以外は、初めて行く土地です。札幌ではカニとラーメン、ジンギスカン。福岡ではめんたいこ。名古屋はみそカツとひつまぶしを食べるのを楽しみにしています!!

――コロナ禍で閉塞感があった日々。けいちゃんのピアノはひと筋の光りのように思えました。「世界はみんなつながっている」という思いを込め制作された『World & Me』には、寄り添われているような温かさがあり、深い安堵を覚えました。全12作を収録したデビュー盤『殻落箱』。ファンの方へ改めて伝えたい思いはありますか。

いつも応援してくださって、僕をここまで連れてきてくださって感謝をしています。みなさまあってこその音楽なので、これからも最高の曲とパフォーマンスを見せたいと思っています。ライブはたくさんの準備をしているので、すごく期待をしてくださって大丈夫です。周りのお友だちを誘って足を運んでいただきたいです。CDも、いまの最大限を詰め込んだビビンバみたいな作品になっています。1枚聴けば、いろんな僕を発見できると思うので、ぜひお手にとっていただければありがたいです。

東京公演ではStreaming+での配信もあります。ライブに向けたグッズもパーカーやマフラータオル、トートバッグなどさまざまあります。自宅でご覧になる方は、タオルを回すなど思い思いに楽しんでください!

取材・文=Ayano Nishimura

当記事はSPICEの提供記事です。

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