【『映画大好きポンポさん』SP】加隈亜衣が語る平尾監督作品の〈希望〉

現在、絶賛公開中の『映画大好きポンポさん』を手掛けた平尾隆之監督について、縁の人に語ってもらうインタビュー企画。
今回登場するのは、声優の加隈亜衣だ。
平尾監督の『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』でアニメ映画に初出演、TVシリーズ『GOD EATER』でも重要なゲストキャラクターを演じ、『ポンポさん』では人気若手女優・ミスティア役で観客を魅了した。
そんな彼女が平尾監督の印象、『ヨヨとネネ』の思い出、そして平尾監督作品の魅力を語ってくれた。

>>【画像】『映画大好きポンポさん』の場面カット(写真10点)
【加隈亜衣プロフィール】
かくま・あい/9月9日生まれ/福岡県出身/マウスプロモーション所属/『無職転生~異世界行ったら本気だす~』(エリス・ボレアス・グレイラット役)ほか

『ポンポさん』は熱量が高まる映画!

ーー加隈さんは『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』にネネ役で出演なさったのが、平尾監督とのはじめてのお仕事でしたよね。

加隈 はい。養成所に2年間通っていた間の、2年目の終わりに『ヨヨとネネ』は収録をしたので、オーディションを受けたのもまだ養成所にいた時期です。それを思うと、私を選んでいただけたことがすごくありがたくて。あんなに素敵な作品の世界の中に自分がいていいのだろうかと、いまだに思ってしまいます。

ーー今回、『映画大好きポンポさん』でふたたび平尾監督の映画に出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか。

加隈 出演が決まった時は、やはり嬉しかったです。でも同時に、どの作品でもそうなのですが、(オーディションに)受かった瞬間がハッピーのピークで、そこからあとはプレッシャーに変わるんです。今回のミスティアさんは特に難しい役どころなので、「自分でいいのかな」という不安も大きかったですね。でも、平尾監督の作品はどれも大好きなので、やはり出演できて嬉しいですし、頑張らなきゃなとも思いました。それと、以前『ヨヨとネネ』で私をネネさん役に選んでいただいた時、その理由を平尾監督は「(加隈さんに)闇の部分が見えて、何となくネネさんに相応しいと思ったんです」とおっしゃるんですよ。今回のミスティア役も、似たような理由で選んでもらえたそうなのですが……私のことがどう見えているの? と(笑)。いろいろな気持ちがないまぜになっていましたね。でも、平尾さんが感じる私の声の特性がハマるキャラクターが、『ポンポさん』にもいてくれて、本当によかったなと思います。

ーー完成した『ポンポさん』をご覧になっての印象は?

加隈 原作は「映画作り」がテーマのお話で、「『映画』がテーマの映画って、どうなるのだろう?」と思っていましたが、実際の映画には平尾監督のオリジナリティも盛り込まれていて、「ああ、こんな風になるのか」と驚きました。そして、いろいろなところに「 ”自分” がいる」という感覚がありました。声優という仕事をしているからかもしれませんが、私もナタリーちゃんのように自分のやりたいことに向かっていることもあるし。ジーン君のように少し(仕事を)任されるようになって、でもやはり上手くいかなくて……という経験もあるし。ミスティアさんのように自分のやりたいことに邁進しつつ、後輩の面倒も見ることもあるし。さらに上の世代の登場人物には「こういう生き方もいいな」と憧れを抱くし。キャラクターはみんな違う個性を持っているけれど、それぞれに感情移入できて、気付いたら作品に引き込まれていました。すべてがうまくいくわけではないけれど、最終的には前向きで、誰もが次の一歩を踏み出せるーー一歩を踏み出したいという気持ちにさせてもらえる。そんな風に、自分の中の熱量が高まる作品だなと感じました。

(C)2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/映画大好きポンポさん製作委員会

名作!『ヨヨとネネ』の思い出

ーー『ヨヨとネネ』で平尾監督にはじめてお会いになった時の印象を振り返っていただけますか。

加隈 私はそれまで監督という方に会ったことがなかったので、最初は正直、怖い人が来たらどうしよう……と思っていました(笑)。でも、実際にお会いした平尾さんは、「監督です」みたいな威圧的な雰囲気もないし、かといって「ずっとスタジオにこもって黙々と作業をしています」という感じでもなく、そういう意味では「普通の方」という印象でした。しゃべりかたも何となく、動物っぽいというか。

ーー動物っぽい?

加隈 のらりとした感じ……あまり攻撃してこない、無害な感じだなと(笑)。とてもしゃべりやすい人だなという印象で、それはいまだに変わらないです。ただ、たまにスイッチが入ると「ああ、やっぱりこういう作品を作っている人だな」と思わせられるような面が出てきます。「この作品はこういう世界感で……」と自分の言葉でしっかり伝えてくれますし、ご自身が大事にしている部分は妥協することなく、まっすぐに自分の世界感で突き進んでいく人でもあるんだなと感じました。

ーー加隈さんご自身にとっても『ヨヨとネネ』は思い入れの強い作品だと思いますが、あらためて作品の魅力について教えてください。

加隈 やはり、映像に引き込まれます。”映像美” と言葉にすると簡単だけれど、とにかくこだわりがすごくて。物語を知ってもう一度見返してわかる細かい描写も詰まっていて、『ヨヨとネネ』ならではの「魔法」の世界の魅力が絵から鮮烈に伝わってくるんです。かと思えば、そんな世界から急に、現実がバンと突きつけられたりもするんですよね。

——主人公のヨヨさんが、魔法の世界から人間の世界に迷い込んで……というのが映画のストーリーですよね。

加隈 魔法の世界と人間の世界を行き来するシーンがあるんですが、そのシーンの色味が急に怖さや不気味さを感じさせて、それで一気に引き込まれるのが印象的です。そして、ちょっとチートすぎるくらいの魔力を持っているヨヨさんが、人間の世界で魔法を使えなくなってしまうけれど、最終的にみんなの応援、暖かさに触れて、魔法を使えるようになる。力をくれたのはみんなで、それが魔法に変わるーーそんなドラマの流れも好きです。夢や希望、可愛らしさ、そこにちょっと毒々しさも混ざっていて、ちょっと大人っぽさもありつつ、でも純粋さも感じさせてくれて。何というか……とにかく、すごくオススメしたい作品です。「今まで観た映画で何が好きですか?」と聞かれたら、私はまず『ヨヨとネネ』をあげます。落ちこんだ時や、真っ直ぐな気持ちになりたいなと思うと、観る作品ですね。まっすぐに「届け!」という言葉を伝えてもらえるのが心地いいというか。少年の純粋な想いを届けられたような、そんな感覚がとても好きです。

*魔女っ子姉妹のヨヨとネネ=2013年公開の平尾監督劇場作品。原作はひらりん(物語環境開発)の『のろい屋しまい』。〈魔の国〉でのろい屋を営むヨヨとネネの姉妹が主人公で、強力な魔力を持つ姉のヨヨが現代世界に迷い込んで起こる事件を描く。

平尾作品の中心は ”希望”

ーー作品を通して「平尾監督らしさ」を感じることはありますか。

加隈 以前、平尾さんと「(『ヨヨとネネ』の)キャラクターで、自分は誰にいちばん近いんですか?」とお話しをしていたら、「それぞれのキャラクターにちょっとずつ(似ているところが)ある気がします」っておっしゃっていました。「ヨヨさんぽいかもしれないけれど、ネネさん的なところもあったりるすのかなって思いつつ……タカヒロが一番近いんじゃないかな」って。でもどちらかというと特定のキャラクターというより、お話の流れ、ドラマ全体から伝わってくるものが ”平尾さんらしい” と感じます。

——他の平尾監督作品からも、同じような ”平尾監督らしさ” を感じたりは?

加隈 そういえば、『ヨヨとネネ』に出演するにあたって、平尾監督の作品を観てみたいと思って『ギョ』という作品を観て……「もしかしたら、観なければよかったかも?」って(笑)。テイストがまったく違っていて、「こんな作品を作っていた人が、『ヨヨとネネ』みたいな可愛い映画を作るの?」と驚きました。

——『ギョ』はかなり刺激の強いホラーですからね(笑)。

加隈 でも考えてみれば、『ヨヨとネネ』も可愛いだけじゃないですよね。人間が持っている、ちょっと綺麗なだけじゃない部分や、挫折や心が折れるような経験も描かかれています。でも、最終的には救い、希望の方向へ向かっていく。その純粋さは、何となく平尾監督らしいなと思います。それから、TVシリーズ『GOD EATER』に私も1話だけ出させていただいたのですが、私が出たのは主人公の過去編でした。主人公と、私が演じたお姉さんの生活——最終的にお姉さんは死んでしまうという結末ーーが描かれるのですが、そこでもやはり、絶望的な世界の中のちょっとした希望を感じさせてくれる。そういうところが、平尾監督らしさかもしれないですね。ネガティブなものも含めたいろいろな感情が複雑に混ざり合いつつ、中心にあるのは ”希望”。そこは変わらない気がします。

*ギョ=伊藤潤二のホラー漫画が原作の2011年公開の作品。足の生えた不気味な奇形魚によって引き起こされるパニックを描く。

*『GOD EATER』シリーズ=人類が衰退した地球を舞台に、特殊な武器〈神機〉を使ってモンスター〈アラガミ〉と戦うアクションゲーム。椎名は本シリーズの音楽を担当し、平尾監督はPVやOP&EDアニメーション等を制作している。後述のアニメ『GOD EATER』は本作の世界感をベースにしたオリジナルストーリーを描く、平尾監督のTVシリーズ。

ーーそれは確かに、平尾監督の一貫したテーマかもしれないですね。ネガティブな面から目はそらさず、そででも希望は絶対に失わない。

加隈 『ポンポさん』でも、そこは強く感じますよね。原作をしっかり大事にしながら、平尾監督らしい切り口で、素敵だなと思います。あとは、映像の見せ方が心地良いのも、平尾監督作品の魅力ですが、『ポンポさん』で言うと終盤の ”編集シーン” の演出が印象的でした。実際に映画の編集をされて、現実を知っている人が、あんなドラマチックに ”編集” を描けるのが不思議に思いました。リアルを知っている人が、逆にどうしてこんな表現を思いつけるんだろうって。それに個人的には、『ポンポさん』と『ヨヨとネネ』との違いもおもしかったです。『ヨヨとネネ』は前半はわりとゆったりと進んで、後半にワッと盛り上がる構成だったと感じますが、『ポンポさん』は本編を90分の枠に収めるということもあって、冒頭からテンポよく進んでいく。その変化も含めて、平尾監督が培ってきたものを全部ぶつけている感覚、平尾監督にとっての ”映画” というものに全力で向き合った結果が、『ポンポさん』には詰まっている気がしました。そこにも個人的に ”物語性” を感じて、胸がキュンとするところもあります。『ポンポさん』を気に入った方にはぜひ、今までの平尾監督作品も観ていただいて、楽しんでいただくのもオススメです!

(C)2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/映画大好きポンポさん製作委員会

当記事はアニメージュプラスの提供記事です。

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