マッチングアプリに潜む罠。会いに行ってみたら怪しい勧誘だった

日刊SPA!

 コロナ禍で飲み会や会食などがほとんど開催できない状態が続いている。そうなると、必然的に減ってしまうのが「男女の出会い」。

若者たちの「出会いたい」という欲求も日毎に増しているはず。だが、そんな男女を狙い撃ちするような輩も存在する。そして、彼らのテクニックが日々進化していることを知っておかなければ、痛い目をみる可能性もある。

◆マッチングアプリで知り合った女性に会いに行ってみたら

「今となってはバカだったなって。なぜ騙されたのか、それは欲望が暴走したとしか説明できません」

関西地方在住の会社員・野田俊太郎さん(仮名・30代)は一昨年、結婚を前提に長年付き合っていた彼女と別れ、シングルライフを満喫していた。

同棲もして、ほとんど結婚生活と変わらない状態から晴れて「解放された」と思ったのも束の間、コロナ禍で在宅勤務が続くなど、外部の人との接触機会が減少すると、急に人恋しくなったのだ。

「知人がマッチングアプリを使っているのは知っていたので、僕も使ってみようと気軽な気持ちで始めたんです。恋人じゃなくても、ただ話せるだけの異性でもいいなって」(野田さん、以下同)

マッチングアプリを始めてから数日が経ったころ、野田さんの写真に「いいね」の反応をくれた女性の写真に目が留まる。年齢は野田さんより少し下だが、会社を経営しているというモデルのような美しい女性・A子。

やりとりもすぐに始まり、コロナ禍でのお互いの苦労話などで盛り上がった。野田さんが特に惹かれたのは、A子がバリバリのビジネスマンで、今まで出会ったことがないほど行動的な女性ということ。

「経済のこととか株のこととか、私が知らないことを知っている。男性が女性をリードして当たり前、という価値観でしたが、ぐいぐい引っ張ってくれる女性もいいなと思いました」

しかし、何度やりとりをしても会うことはおろか、電話での会話もNG。昼は仕事が忙しい、家族と同居しており、夜の電話は無理……と、都合よくかわされているような気もしたが、ついにその機会がやってきた。

「実は、株や投資のことを勉強しない? と誘われて、話を聞いてみることにしたんです。とにかく会いたくて、下心がなかったといえば嘘になります」

前置きしておくと、野田さんは決して、さまざまな事情に疎い「情報弱者」ではない。有名私大を卒業後、有名企業に勤めるエリート社員で、マッチングアプリを使った詐欺事件、美人局事件などが起きていることも知っていた。

疑わしいという気持ちは常に持っていたが、A子の写真を見て下心が働いたせいか、警戒心は次第に薄れていったのだ。

◆彼女の姿はそこにはなく…

結局、呼び出された飲食店に赴いたものの、A子の姿はそこにはなく、代わりに人の良さそうなサラリーマン風の男が野田さんを待っていた。

「A子さんは急に来れなくなったが、『A子も投資している仮想通貨に興味はないか?』と、いきなり勧誘が始まったんですよ。騙された、と思いつつも、どこかでA子が来てくれるのではないかという気持ちも捨てきれず、最後まで話を聞きました。結論ですが、やはりマッチングアプリを使ってカモを見つける詐欺だった、と判断しました」

サラリーマン風の男は、説明しながらどんどん興奮していき、野田さんに投資するよう決断を迫ったが、野田さんは断固拒否。

すると、男は急に手のひらを返したように「あっそ、時間の無駄でした」と飲んでいたコーヒー代も支払わずに席を立った。A子とは、その日を境に全く連絡も取れなくなってしまったという。

◆実在する女性だと信じ込んでいた

野田さんのケースは、実害がなかったことから笑い話で済まされるが、被害を実際に被ってしまったという関東在住の薬剤師・友田正二さん(仮名・30代)は、絶望的な日々を過ごしている。

「マッチングアプリを使った詐欺は当然知っていましたが、毎日違う表情の写真も送ってくれるし、実在する女性だと信じてしまった」(友田さん、以下同)

婚活として、複数のマッチングアプリを使っているという友田さん。先述のような怪しい「投資話」などが一方的に送り付けられることもよくあり、そういった類の誘いは無視していたが、とある女性・B子の書き込みに目を留めた。

「詐欺系のアカウントって、どこからか拾ってきた美しい女性の写真を使いまわすんです。だから実在しない偽アカウントだと見抜けます。しかし、B子のアカウントは毎日違う写真をあげているし、場所も服装も違う。それで、騙しではないと思いました」

しかし、やはり何度かやりとりをしても「会おう」という話にはならず、B子が持ちかけてきたのは聞いたこともない仮想通貨への投資話だった。

「普通ならここでストップなんでしょうけど、実在する女性だし、もしかしたら嘘ではないかも、そして可能なら会いたい、と思いましてね。先方が指定した口座にお金を入れれば運用をしてあげるという誘いにまんまと乗ってしまいました」

B子から送られてくる写真は、最初は一般的なポートレートのようなものだったが、投資話が進行し始めると、B子は次第に薄着の写真を送ってくるようになった。そんなB子の美貌に目を奪われる形で、言われた通り、お金を振り込んだというのだ。ところが……。

◆「女性になりすます」パターン

「男性が女性になれる写真アプリが話題になっているというニュースを見たんですが、もしやと思いB子の写真を確認したところ、確かに写真によっては輪郭や髪型がぼやけていて不自然。思い切って、本当は男性で、なりすましじゃないよね? と聞いたところ、即ブロックされ、騙されていたことが確定しました」

SNS上で女性になりすまし、甘言を持って男性を勧誘する、というパターンは今までもあったが、男性写真を女性写真に違和感なく変換できるアプリなどを使って、これまで以上に周到に「女性になりすます」パターンなのだと友田さんは説明する。

「騙されたことは恥ずかしいですが、しかし最近の技術はすごい。これでは全く騙しだとわからない。下心がある男性ならば、自分は大丈夫だと思っていても騙されますよ」

結局、どんなに防衛策を立てていようが、最終的には自分の下心に勝てるかどうか、ということか。

<取材・文/森原ドンタコス>

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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