「酒提供の自粛」相次ぐ解除で商店街が“酒リンピック”状態。地元民から嘆きの声

日刊SPA!

◆宣言解除前に自主的に酒提供を解除する飲食店が急増

緊急事態宣言の期限とされる6月20日まであと残りわずか。だが、緊急事態宣言解除を待たず、「酒提供の自粛」を解除する飲食店が全国的に増えているようだ。飲食店の自主的な宣言解除ともとれるその行動がトラブルを引き起こしている地域もある。情報提供を元に、記者は都内のある商店街へ向かった。

やってきた商店街は100mほどの長さに渡り、飲食店などが軒を連ねるごくごく普通の商店街だ。地元住民によれば、5月までは要請に応じ、酒類提供をしない店がほとんどだったが、6月に入って痺れを切らし、自主的に解禁した店が増えたという。

「ここの商店街にはチェーン店も含めて20軒近い飲食店があるんですが、その内の一軒の飲食店が解禁したことで、他の店が続々と解禁していったんです。それまでは店先に『アルコールは提供していません』って書かれた看板を出していたのに、今では『お酒飲めます』という看板を堂々と出しています」(地元住民男性)

◆競うように酒を出す“酒リンピック”状態

記者が訪れたのは日曜日の16時過ぎ。夜の営業ができないためなのか、早めから開けた店が多く、覗くとどこも皆、グラスを片手に陽気な顔をした酔客で溢れている。確かに看板には「お酒提供します」とストレートに書く店や、「通常営業中」と書いてそれとなく匂わせる店もある。前出の地元住民男性と一緒に歩きながら話を聞いた。

「6月に入ってから、まるで申し合わせたかのように酒提供を解禁した店が増えましたね。『当店では飲酒できます』と書かれた看板を掲げる店だけでなく、それまでやっていなかった飲み放題やハッピーアワーを謳う店まで出てきてビックリしました。我先にと競っているようにも感じられます。もう、“酒リンピック”状態ですよ。営業時間が夜8時までに要請されていることにより、昼から開けることになった居酒屋は、結果的に昼飲みができるようになっています。

飲み屋さんと仲がいい地元の人に聞いたら、酒提供解禁情報がSNSに出回り、酒を飲むためにわざわざやってくる人が増えたという話も聞きます。土日の夕方には顔を真っ赤にし、フラフラと歩くおじさんや大声で騒ぐ若者もいて、あんまりガラがよくないんです。お店の中は禁煙なので、店の軒下や路上でタバコを吸う人も多く、吸い殻をポイ捨てする若者もいます」

確かに店の軒下にジョッキを持って出てきてタバコを吸いながら話す客の姿はそこら中で目にすることができる。緊急事態宣言下において、こうした状況になってしまっていることに眉をひそめる近隣住民は多いという。客引きをしている居酒屋の店員にそれとなく話を聞いた。

記者:お酒、もう飲めるんですか?

店員:はい! ウチは感染症対策しっかりしてますから。食事してるとき以外はマスク着用でお願いしますね!

記者:でも、まだ本当はダメですよね。怒られたりしないんですか?

店員:そうっすね。他のお店も出してますしね(※歯切れが悪い口調で)。(苦情の)電話があったこともあるみたいですけどね……。お客さん、ひょっとして都の職員の方ですか?

記者:いやいや違いますよ。みんなあんまりにも普通に飲んでるからビックリしちゃって

根掘り葉掘り聞く記者に、店員はあからさまに不審な顔をして店の中に入ってしまった。ただ、店員によれば、この商店街で営業する個人経営規模の飲食店の半数以上が酒を提供しているという。

◆堂々と酒を出すって言わないでほしい

子連れで歩いていた女性に話を聞いたところ、女性は怒り気味にこう話してくれた。

「お酒を出すようになってから、昼飲みもできるようになって、土日の夕方は酔っ払いで溢れてますね。外でタバコを吸われる人が多いから、子連れで歩くのはちょっと……って思います。

知っているお店もあって、店員の方から『お酒飲めるようになったから、遊びに来てください』って声を掛けられたこともあるんですが、お酒を出すお店はどこも満席状態ですごい“密”なんで、ちょっと嫌だなぁって思います」

外で飲みたい気持ちをグッと堪えているのは、店だけではない。一般市民も同じ気持ちなのである。

「飲食店は厳しいから、本当はよくないですけど、潰れないためにはお酒を出すのは仕方ないっていうのもわかるんです。でも、地元のママ友とかと話したんですが『そんなこと堂々とやるな!』という声は多いんです」

本当はダメなのだが、やるならコッソリとやってほしいという。

「やっぱり、昼間っからお酒飲んでバカ騒ぎって、今はちょっとダメだと思うんです。こういうのはコッソリやってほしいです。お酒が大好きなので、我慢している自分がバカバカしくなってきて腹が立ちますよ」

◆夜中、酒提供店に貼られた貼り紙

どうやら酒提供について、余り快く思っていない住民は多いようだ。女性はこんなエピソード話してくれた。

「先日の朝、子供を保育園に送って行くときに商店街を通ったんですが、お酒を出しているお店に一軒一軒『お酒出すのはやめてください』って書いた貼り紙が貼ってありました。きっと我慢できなくなって誰かが夜中に貼ったんでしょうね」

記者もお酒は大好きである。そして、数多くの飲食店の取材をしてきた経験もあり、コロナ禍で親しくさせてもらっている飲食店が非常に厳しい状況に置かれていることもわかる。そして、酒提供解除に踏み切った飲食店の方の気持ちも痛いほど理解しているつもりである。

だが、酒提供によって地元住民との間に摩擦が起きたり、溝ができてしまっては意味がないのではないか。

取材・文/日刊SPA!編集部

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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