芳根京子、永遠の命を得た女性の役に挑む「これが今の私のすべて」<映画『Arc アーク』インタビュー>

 

女優の芳根京子さんが、6月25日(金)公開の映画『Arc アーク』に主人公・リナ役で出演しています。

『Arc アーク』は、『蜜蜂と遠雷』などで知られる石川慶監督の最新作。
人類史上初めて、永遠の命を得た女性(リナ/芳根さん)の葛藤や行方を描く、壮大なエンターテインメントです。

めるもでは、芳根さんに単独インタビューを実施。17歳から100歳以上を生き抜くリナを体現した芳根さんの覚悟や、テーマの「不老不死」に至るまで、じっくりと語っていただきました。

 

 

――『Arc アーク』は、17歳から100歳以上を生き抜くリナを演じた芳根さんの、女優としての新たな一面が見られた映画でした。『イノセント・デイズ』以来の石川監督とのお取り組みは、いかがでしたか?

芳根京子:私、石川さんのことが大好きなので、「またご一緒したい」と、すごく思っています。まずカメラを置く前の段取りで、すごく時間をかけてくださるんですね。それぞれの役者が持ってきたものを見せるんですが、それを否定されることは何ひとつなくて、ベースを委ねてくださるんです。それから、「じゃあ、もうちょっとこうしてみましょうか」となるので、「こういう風にやってみてもいいですか?」とか、いろいろな角度からの挑戦ができました。自分が「これだ」と思うものを見つけてから本番にいくのは、すごくホッとするというか……。石川さんは自分のやりたいことを強く持っているはずなのに、すごく丁寧に一緒に作ってくださるから、お芝居をしていてすごく楽しかったです。

 

――芳根さんが作られてきたリナ像が、石川監督のイメージに合っていたから、かもしれないですよね。

芳根京子:どうなんでしょう!? 言い換えれば、台本を読み込んでいかないといけないというプレッシャーはありました。でも、それってすごくやりがいがあることなので、私は楽しかったです。

 

――そして、リナ役を引き受けるにあたって、「勇気を出して飛び込む決意」と資料にありました。最初から「やります!」という感じではなかったんですか?

芳根京子:実は、今回は「できない」と言いました(苦笑)。その意味は、今までの「やりたくないので、できない」とは違って、「力不足だと思います」というほうの「できない」でした。今回は「やりたいけど、今の自分にはできない」って。

 

――「やりたいけど」がついていたんですね。

芳根京子:はい。こんなに素晴らしい作品に、自分が主演という立場で入るとなると……リナという役を生きることは、もっと経験と年齢が必要なのでは、と思ったんです。だから「やれるならやりたいよ! でも、これは私にはできないよ!」という「できない」でした(笑)。

 

――しかしながら、しっかりと演じられた芳根さん。リナの17歳から追っていく構成なので、いろいろなフェーズがあったと思うのですが、特に難しかった年代などはありましたか? 老年期は、やはり苦労がありましたか?

芳根京子:後半の後半、89歳になってからのほうが、答えがない分、難しいんですけど……楽しかったです。私が何をしたって誰からも否定されないんですよ。非現実的なことって、もっていくのは難しいけれど、「こうしていこう」という方向性が決まりさえすれば、あとは想像力を最大限に広げるだけなので、見つけると楽しくって。逆に、30歳のときが難しかったかな……。

 

――30歳だと、リナが<ボディワークス>という仕事の部門を引き継ぐあたりですね。

芳根京子:はい。キャリアウーマンというか、働く女性のカッコよさみたいなものを出せるのかな、と思ったりしていました。現実的な部分ですし、難しかったですね。
クランクインが10代のリナから始まって、そのときは30歳のリナの形が全然決まっていなかったんです。「ここで話してもわからないので、現場で感じたものをディスカッションして作っていきましょう」みたいな感じで、30歳に入りました。けど、10代をやっているときに、ふと、「あ、30歳のことわかったかも」と思ったんです。<ボディワークス>で働きはじめたばかりのリナが、上の立場にいくと思うと、映画では描かれていない空白の十数年の間に、いろいろな展開があったはずで。そうしたら「違う役作りでいいかも」と思えたんです。

 

――10代のリナを引っ張らず、新たに30歳のリナを立ち上げられたんですね。

芳根京子:ちょっと心機一転、じゃないですけど、「なんかわかった気がします! やってみるので、あまりにかけ離れていたら言ってください」と石川さんに伝えた感じでした。石川さんも「おおおおおう!」みたいに、受け止めてくれました(笑)。

『Arc アーク』では、自分がやれることはすべて出し切ったと思っていますし、本当に素敵なチームで、みんなで「全身全霊でやった!」という実感があるんです。なので、すごく観ていただきたいですし、自分がどう言われても、思われても「これが今の私のすべてでした!」という気持ちです。

 

――後半パートは、映像もモノクロに切り替わりますよね。未来の映像がモノクロということにも痺れたんですが、芳根さんはどう解釈して臨まれていたんですか?

芳根京子:私、後半ブロックの衣裳合わせで、モノクロについて知ったんです(笑)。皆さんが、私を(直接)見るわけではなく、iPadを通して見ていたので、「何でだろう?」と聞いたら、「モノクロにして見てみないと、色のコントラストがわからないから」と言われて。そのとき、「えっ、モノクロで撮るんですかー!?」と言いました(笑)。
実際、映像を観ていると、後半はカメラも手持ちになるし、レンズも変わるし、ドキュメンタリ―みたいですよね。前半とはわかりやすくガラッと変わる、空気の違いをより一層引き立ててくれているというか。リナという人生を通していくと1本の映画なんですが、なんか違う作品を観ているかのような充実感もありました。それに、「今どきでモノクロの映画ってワクワクする」と、すごく思いました。

 

――『Arc アーク』では、不老不死はユートピアでもディストピアでもないことが、描かれています。芳根さんは作品と向き合って、どのように感じましたか?

芳根京子:不老不死の施術は、やりたい人がやればいいのかな、と思っています。今の私だと「やらない」と思っているんですね。……でも、それって、年齢と経験かもしれなくて。これから、私は自分が年を取ることがすごく楽しみなんです。30代、40代でどういう女性になれるかな、って。けど、実際その年齢になったら「うわぁ! 24歳のときで止めておけばよかった!!」と思うのも、目に見えているんですけどね(笑)。今は受けたくないと思っているけど、30~40代の自分を思うと「受けておいたほうがいいよ」とも思う、そんな感じです(笑)。

(取材・文:赤山恭子、写真:iwa)

 

 

映画『Arc アーク』は、2021年6月25日(金)より全国ロードショー。

キャスト:芳根京子、寺島しのぶ、岡田将生/倍賞千恵子/風吹ジュン、小林 ほか
監督・脚本・編集:石川慶
公式サイト:wwws.warnerbros.co.jp/arc-movie/
(C)2021映画『Arc』製作委員会

WRITER

  • 赤山恭子
  •        

  • エンタメ雑誌編集部に勤務後、ハリウッド映画の版権を買い付け日本国内で販売するディストリビューターを経て、フリーの映画/エンタメライターに。現在は、監督・俳優のインタビューを中心に、現場取材、映画紹介コーナーほかも担当。相手の心に寄り添い、時に突っ込みながら深めてゆくインタビューが持ち味。

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