高畑勲、大友克洋も絶賛の仏アニメ『ベルヴィル・ランデブー』が再映!

2003年のカンヌ国際映画祭で特別招待作品として上映、ニューヨーク映画批評家協会賞を皮切りに数々の賞に輝き、フランス映画として初のアカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされた、21世紀のフランス・アニメーションを代表する傑作『ベルヴィル・ランデブー』が16年ぶりに日本で再映される。

両親を亡くして落ち込む内気な少年シャンピオン、子犬のブルーノと暮らしているおばあちゃん。ある日シャンピオンが自転車レースに強い関心を持っていることを知ったおばあちゃんは三輪車を買い与え、彼を自転車レーサーにするべく猛特訓を開始する。
時は過ぎ、ツール・ド・フランスに出場するまでに成長したシャンピオン。ところが、レース途中、シャンピオンはマフィアが運転する偽の救護車に連れ去られてしまった。ブルーノの嗅覚を頼りに捜索に乗り出したおばあちゃんだったが、シャンピオンは船に乗せられ、はるか彼方へと連れ去られてしまう。
それでもめげないおばあちゃんは足漕ぎボートで船を追いかけて、ついに大都市ベルヴィルへと到着。偶然出会った伝説の三つ子の姉妹に助けられながら、おばあちゃんのシャンピオン奪回作戦が始まる!
▲自転車の車輪を楽器に見立てて叩いていると、三つ子の姉妹がやってくる。

この作品の魅力は、何といってもデフォルメ感覚にあふれた映像表現のおもしろさにある。その特長はキャラクターデザインに顕著で、主人公のおばあちゃんは、どこか三角形の集合体のようなずんぐりむっくりしたシルエット。孫のシャンピオンは鼻が大きく、成人して痩せた時に一層誇張されている。自転車選手として異常に発達した下半身もアニメーションならではの表現で描かれている。マフィアの部下は黒いスーツをまとった左右対称な四角形で、それ以外にも太った人、棒のように痩せた人など幾何学的な形をしたキャラクターが登場する。
架空の大都市ベルヴィルはカナダ・ケベックシティのホテルをモチーフとしているが、ノスタルジックな繁栄ぶりは1950年代のニューヨークを思わせる。自動車もファッションも建築物もクリエイティブで、そんな時代を舞台に伝説の黒人ダンサー、ジョセフィン・ベイカーやミュージカルの神様フレッド・アステアなどがカリカチュアされたキャラクターでカメオ出演している。
▲大人になったシャンピオンのディフォルメされた容貌。

(C)Les Armateurs/Production Champion Vivi Film/France 3 Cinéma/RGP France/Sylvain Chomet

監督のシルヴァン・ショメはバンド・デシネの出身。バンド・デシネとは、いわゆる ”フランス語圏のマンガ” を指し、日本でも大友克洋や江口寿史、浦沢直樹、松本大洋がその影響を公言している。
ショメはアニメーションに進出後、短編『老婦人とハト』で英国アカデミー賞、アヌシー国際アニメーション映画祭グランプリなど多くの賞を受賞。そして、本作では、一枚一枚手書きした絵をスキャンする手法で、日本のセル画調アニメーションとは違った質感を生み出す一方、自転車、車、船舶などの描写には積極的に3DCGを使うことで、自転車の細かい動きや自動車であふれかえるベルヴィルの街並みを表現している。
▲異国情緒あふれる背景、乗り物描写にも注目だ。

音楽についても注目してほしい。音楽を担当したブノワ・シャレストは、バークリー音楽大学に学んだ後、カナダのドキュメンタリー映画などを担当。そして、『ベルヴィル・ランデブー』でセザール賞の最優秀音楽賞やロサンゼルス批評家協会賞の最優秀音楽賞を受賞した。ダイアローグがほとんどない本作において、伝説の三つ子が歌うスウィンギング・ジャズをはじめとするナンバーを書き、アカデミー賞歌曲賞のほかグラミー賞にもノミネートされた。

5年の製作期間を経た本作は、世界興収1477万ドルを記録するヒットとなり、ミッシェル・オスロ監督『キリクと魔女』の興行的成功とともに、フランスで長編アニメーションがコンスタントに作られるきっかけとなった。2021年2月10日Newsweek(電子版)が発表した批評家が選ぶ100本のアニメーション(100-best-animated-films-all-time-according-critics)15位をはじめ、さまざまなメディアが選ぶアニメーション映画トップ100にも選出された、歴史に刻まれるこの一作をスクリーンで堪能しない手はないだろう。

>>>世界を魅了した名作の場面カットを見る(写真10点)

(C)Les Armateurs/Production Champion Vivi Film/France 3 Cinéma/RGP France/Sylvain Chomet

当記事はアニメージュプラスの提供記事です。

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