<ライブレポート>雪解けの雫が希望の大河へ。玉置浩二、オーケストラ公演の集大成となるツアーが開幕

Billboard JAPAN



2021年6月6日、【玉置浩二 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2021『THE EURASIAN RENAISSANCE “КАПЕЛЬ(カペーリ)”』】の初日公演がBunkamuraオーチャードホールで開催された。

2015~2019年まで毎年行われていた玉置×billboard classicsのオーケストラ公演。2020年はコロナ禍で全国16公演が中止となったが、2021年1月、“雪解け”を意味する“ОТТЕПЕЛЬ(オーチェペリ)” をサブタイトルに冠して再始動。そして、それに続く“КАПЕЛЬ(カペーリ:雪解けの雫)”と題した今回のツアーは、“雪解けの雫を源に、希望の大河を大地に紡ぐ”という思いが込められており、これまでの玉置浩二オーケストラ公演の集大成となる。

まず、演奏を務める東京フィル・ビルボードクラシックスオーケストラと指揮の栁澤寿男が登場し、「歓喜の歌」でコンサートの幕が開ける。玉置が栁澤の活動(戦禍のバルカン半島で音楽活動を通じ地域和平に尽力)に触発されて作曲した初の交響曲で、テーマは“平和への祈り”だ。

そして観客の大きな拍手に迎えられ、いよいよ玉置がステージに姿を見せる。ここで披露されたのは、「ロマン」をはじめ、愛の美しさや尊さを歌い上げる楽曲の数々だ。細やかな息づかいと、それ伴って微妙に変化する声の色彩が、優美なオーケストラの調べに乗せて鮮やかに伝わってくる。オーディエンスも、その音色に一気に引き込まれていく。

メドレー「MR.LONELY~プレゼント~サーチライト」では、幅広いレンジから生み出される繊細さとダイナミズムを堪能。壮大さの中にも、静かに語りかけるような歌声が深く浸透し、心身を解きほぐす。

卓越したボーカルスキルとセンスは、まさに“孤高”と表現するに相応しい。だが同時に、その歌声は親しみやすさも包有する、ということに気づかされる。だからこそ、広く人々の共感を呼ぶのだろう。会場に漂うどこか穏やかな空気がそれを物語っているようだ。第一部は、そんな玉置の真髄をじっくりと味わうことができた。

第二部は、オーケストラの演奏によるモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」の序曲で華やかに始まり、導入部が新たに加わった「GOLD」へと続いていく。テンポ感のある展開で、第一部が「静」なら第二部は「動」だ。時には力強くエモーショナルに訴え、時には深遠な世界観へと誘う。

安全地帯メドレー「ワインレッドの心~じれったい~悲しみにさよなら」では、いっそう熱を帯びたパフォーマンスで魅了。「悲しみにさよなら」の終盤には〈愛を世界中のために〉と歌詞を変えて歌い、客席からはひときわ大きな拍手が沸き上がる。

また「夏の終りのハーモニー」では、星の瞬きのような光の演出を交え、幻想的な空間を作り上げる。最後はオフマイクで歌唱、存在感を持つその歌声のバイブレーションは隅々まで響き渡り、会場は温かな感動に満たされた。

アンコールでは、玉置と栁澤が“エアハグ”のジャスチャーでお互いを称え合い、和やかな雰囲気に。さらに、ベートーヴェン作曲の「田園」プロローグから自身の楽曲「田園」へとつながる軽快なリズムに、観客も手拍子で応える。

中でも、歌詞を変えて歌われた〈愛はここにある 東京にある〉の一節が印象深く響き、会場のテンションもヒートアップ。演奏を終えるとスタンディングオベーションが巻き起こり、鳴りやまない拍手が玉置と演者たちに送られた。

まるで雪解けの雫が大河へ注ぐように、冷たい心が溶かされ、希望の光を感じ、豊かな境地へと導かれる――。苦難の先にある“実り”を見出せたような、そんな感覚を覚えたこの日のコンサート。無限の歌力(うたぢから)を秘めた玉置浩二のステージにこれからも期待したい。

すでに完売も続出している本ツアーの次回開催地は6月14日熊本城ホール、当日券販売も予定されている。

Text by 水白 京
Photo by Eri Iwata

◎公演情報
【billboard classics玉置浩二 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2021
『THE EURASIAN RENAISSANCE “КАПЕЛЬ”』(ザ・ユーラシアン・ルネッサンス “カペーリ”)】
2021年6月6日(日)東京・Bunkamuraオーチャードホール ※終演
2021年6月14日(月)熊本・熊本城ホール メインホール
2021年6月18日(金)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
2021年6月23日(水)大阪・フェニーチェ堺 大ホール
2021年6月24日(木)兵庫・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
2021年7月1日(木)北海道・札幌文化芸術劇場hitaru
2021年7月9日(金)福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール
2021年7月20日(火)東京・東京ガーデンシアター

出演:玉置浩二

指揮・管弦楽:
【東京 6月6日】栁澤寿男指揮 東京フィル・ビルボードクラシックスオーケストラ ※終演
【熊本】栁澤寿男指揮 九州交響楽団
【名古屋】栁澤寿男指揮 京都フィル・ビルボードクラシックスオーケストラ
【堺】湯浅卓雄指揮 大阪交響楽団
【西宮】湯浅卓雄指揮 大阪交響楽団
【札幌】田中祐子指揮 札幌交響楽団
【福岡】田中祐子指揮 九州交響楽団
【東京 7月20日】大友直人指揮 東京フィルハーモニー交響楽団

チケット:
全席指定 13,000円(特製ブックレット付き・税込)※未就学児入場不可

チケット取扱いプレイガイド:
【熊本】ローソンチケット/チケットぴあ/イープラス
【名古屋】ローソンチケット/チケットぴあ/イープラス  ※新規販売停止中
【堺・西宮】ローソンチケット/チケットぴあ/イープラス/CNプレイガイド ※残席僅少
【札幌】道新プレイガイド/ローソンチケット/チケットぴあ ※完売
【福岡】ローソンチケット/チケットぴあ/イープラス ※6月19日(土)一般発売開始
【東京 7月20日】ローソンチケット/チケットぴあ/イープラス/キョードー東京 ※発売日調整中

公演公式サイト:http://billboard-cc.com/classics/tamaki2021-kapel/

当記事はBillboard JAPANの提供記事です。

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