ネットで「母乳」が売買される衝撃。「メルカリ感覚で売っている」女性を直撃した

女子SPA!

 ネット上で母乳が売買されている―――。そんな衝撃的な事実が2015年から世界的に広がりを見せ、日本でも行われています。

Twitterで「#母乳売ります」で検索をかけると、次々に母乳を販売しているアカウントが表示されます。

しかし、厚生労働省からは「インターネット等で販売される母乳を乳幼児に飲ませると、病原体や医薬品等の化学物質等が母乳中に存在していた場合、乳幼児の健康を害するおそれがある」と注意喚起が出ています。(インターネット等で販売される母乳に関する注意/厚生労働省)

◆背景に貧困が?「#母乳売ります」に群がる男性たち

なぜ、彼女たちは母乳を販売しているのでしょうか。その背景を探るべくTwitterで母乳を販売しているアカウントに取材依頼のダイレクトメッセージ(DM)を送ってみましたが、多くの人から断られてしまいました。そのアカウントの多くが母乳の他にも性的な動画や写真、使用済み下着などをオプションで付けているのも特徴的でした。

母乳が出にくい体質の女性に向けて売っているのではなく、明らかに母乳フェチの男性がターゲットとなっており、一昔前のブルセラを彷彿とさせます。また、ほとんどの母乳販売アカウントにはメニュー表があり、母乳50mlあたり1200~1500円が相場のようです。

それらのアカウントのツイートを見ていると、シングルマザーらしき人も多く見受けられ、「お金がないので援助してほしい」と、PayPayのQRコードを貼っている人もいました。母乳販売アカウントの背景には女性の貧困が潜んでいることが考えられます。

◆母乳販売は意外なきっかけから

なかなか取材協力者が見つからない中、一人だけ取材に応じてくれたのは今年1月に出産したばかりのメグミさん(25歳・仮名)。多くのアカウントが母乳以外にもオプションをつけている中、メグミさんは母乳のみを50mlあたり1500円で売っていました。

メグミさんは既婚者で会社員ですが、現在は育児休業中。母乳を販売していることを夫は知らないといいます。彼女が母乳の販売を始めたきっかけは意外な出来事からでした。

「子どもが生まれてすぐ、Twitterで育児専用アカウントを作って日々の育児についてツイートをしていました。するとある日、男性らしきアカウントから『母乳を売ってくれませんか?』というDMが届いたんです。最初は気持ち悪いなと思ったのですが、以前『裏垢』を作ってちょっとエロい投稿をしていた時期もあったので、SNS上で知らない人とやり取りをするハードルが低く、どうせならたくさん出る母乳を売ってお小遣い稼ぎしようと思い始めました」

メグミさんの母乳の取引の流れはこうです。まず搾乳してすぐに母乳バッグに入れて24時間以内に冷凍。そして取引のDMが来たら条件などを交渉し、取引が成立したら先にアマゾンギフト券かPayPayで料金を支払ってもらい、着払いのクール便で送るそうです。

メグミさんが母乳の販売を始めたのは今年の4月から。今のところ20件ほど購入希望者からDMがあり、実際に販売に至ったのは5件とのこと。対面ではなく完全にネット上でやり取りをしているため、危険な目に遭ったこともないそうです。

◆取り引きが成立しない理由

しかし、20件も依頼があって5件しか取り引きが成立していないのはなぜなのでしょうか。

「私は身バレ(身元がバレること)を防ぐために顔出しをしていません。ですので、『顔写真を送ってほしい』と言ってくる人はお断りしているので取り引きが成立しません」

本来なら子どもに与えるはずの母乳を知らない男性に販売することに抵抗や罪悪感はないのでしょうか。

「罪悪感は特にないですね。冷凍保存した母乳は、長くて6か月が子どもにあげられる期限だと言われています。私の場合は念のため、1か月冷凍して、余ってしまったら捨てるようにしていました。だから、捨てるくらいなら売ったほうがいいなと思って。育児アカウントのほうで初めて『母乳を売ってください』とDMが来たときは気持ち悪いなと思っていたのですが、今はそのようなフェチのある男性は大変だなとしか思わないです」

◆売り上げの使い道は、UberEatsやコンビニスイーツ

多くの母乳販売アカウントは貧困のために行っている印象が強いのですが、メグミさんの世帯収入は現在育休手当も入れて月40万円ほど。そのため、メルカリ感覚でお小遣い稼ぎのためにやっていると言います。母乳販売で得たお金でUberEatsを頼んだり、コンビニのスイーツを買ったりと、本当にちょっとした贅沢を楽しんでいるとのことでした。

メグミさんは今後も母乳が出る限りは母乳の販売を続けていきたいと言います。しかし、冒頭でも述べた通り、厚労省は個人間の母乳売買に関して警鐘を鳴らしています。

厚労省が2015年に行った注意喚起では「母乳を通じて感染する可能性がある病原体の例」としてHIV(ヒト免疫不全ウイルス)や、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)が挙げられています。また、昭和大学江東豊洲病院と一般財団法人・日本食品分析センターが、販売されている母乳を検査・分析したところ、粗悪なものでは細菌量が最大1000倍も検出されたそうです。

このように衛生面でも問題のある母乳売買。今回、メグミさんはお小遣い稼ぎ程度の感覚でしたが、取材できなかった他の母乳販売アカウントの女性たちの中には貧困にあえいでいると思われる人もいます。しかし、このような行為を厚労省が問題視していることを忘れてはいけません。

<取材・文/姫野桂>

【姫野桂】

フリーライター。1987年生まれ。著書に『発達障害グレーゾーン』、『私たちは生きづらさを抱えている』、『「生きづらさ」解消ライフハック』がある。Twitter:@himeno_kei

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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