『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』PDが語る「最新映像への挑戦」

『機動戦士ガンダム』40周年記念作品として制作され、6月11日(金)に全国公開となるガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。富野由悠季による小説はどのような意図で映像化されたのか? これまでのガンダム作品とは異なる映像制作を行うスタッフはどのように集められたのか? プロデューサーを務めた小形尚弘さんに『閃光のハサウェイ』誕生の経緯を聞いた。

――『閃光のハサウェイ』は小説の印象では映像化が難しいように感じていたのですが、今回の企画はどのように成立していったのでしょうか?

小形 僕自身、中学生の時に観た『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』、その後に読んだ小説の『閃光のハサウェイ』でショックを受けていましたので、以前から「どこかで映像化ができたらいいな」ということは考えていました。実現に向けて大きく動いたきっかけは『機動戦士ガンダムUC』ですね。ファンの皆さんのおかげで大ヒットしたことから「宇宙世紀に対してもう一度スポットライトを当てよう」という流れになったわけです。『UC』の後の時代を描く『機動戦士ガンダムNT』を作ったあと、そこよりさらに未来の『機動戦士ガンダムF91』までの歴史の間を埋める宇宙世紀0105年の物語として設定されていた『閃光のハサウェイ』を制作することは、自然なことだと思えました。
▲新たなガンダムワールドとして選ばれたハサウェイ・ノアの物語。

――映像への没入感が意識された『閃光のハサウェイ』の演出の方向性に関しては、どのように決められていったのでしょうか?

小形 主観に近いカメラワークなどは、監督の村瀬(修功)さんの方針であり、そうした意図から映像設計されたものだと思います。もうちょっとアニメ的な作り方もあったと思いますが、僕らとしては『閃光のハサウェイ』の監督を村瀬さんにお願いした時点で、スタッフィング・映像も含めて、実写的な没入感の高い映像を作る方向に舵を切ったという感じです。

――作品を観て、ガンダム作品として新たなテイストを感じる仕上りになっている、と感じました。

小形 村瀬さんが監督をするとこうなる、ということなんだと思います。制作現場ではかなり新しいことに挑戦しているんですが、最もチャレンジングな試みと言えば作画に関してですね。『UC』『NT』まではキャラクターにしてもモビルスーツにしても手描きがメインで、そこにプラスする形で3DCGを使うという進め方が主流でした。しかし『閃光のハサウェイ』は逆で、全てにわたって3Dメインで構成されていて、必要な箇所でプラス手描きになっています。これまでのような画面作りや映像の目指す方向性をガラリと変えるには、ちょうどいいタイミングだったと思います。
▲3Dメインで生み出された迫力のMSバトル。

――それは「ガンダム40周年記念作品」という部分を意識されたから、ですか?

小形 40周年という冠に対しては特に意識していなかったのですが、「2021年」という時代を意識した作品バランスにしています。現在、『ガンダムビルドリアル』という実写配信ドラマがあり、ハリウッドで実写映画が企画されている。さらに、横浜で実物大ガンダムが動いているわけですから、そうした世の中で見せる最新のガンダム映像という部分は意識しています。
『UC』では手描きのメカクションは、スタッフのアイデアを含めてある程度やり尽くした感じがあるんです。そこから縮小再生産をしていくのかと言われれば、そうではないと思っているので、やはり映像的なアプローチは変えていかなければならない。ガンダム作品を観る人たちが、国内だけでなく、グローバルに広がっていくという考え方をちゃんと持った上で、映像企画をしたというイメージです。

(C)創通・サンライズ

――映像が海外ドラマのようなソリッドさを感じさせる仕上がりになっているのも、やはり国内だけでなく、外向きにどう見せていくかが重要だったということですね。

小形 そうですね。海外への打ち出しは初めから考えていました。スタッフィングも村瀬さんを始め、キャラクターを描くにあたってpablo uchidaさん、恩田尚之さんもその方向にむいていると思って集めたという感じはあります。村瀬さんによる実写的な方向性に加えて、uchidaさんにはイメージボードをたくさん描いてもらって、それを再現する方向で画面を作っていきました。そういう意味では、映像の見え方に関しては村瀬さんだけでなく、uchidaさんのテイストが影響を与えています。
▲リアルなキャラクター造型も『閃光のハサウェイ』の魅力のひとつ。

――音響に関してもかなり意欲的な試みに挑まれている印象があります。

小形 劇場をメインの視聴環境として考えて、制作当初からドルビーアトモスの音響効果を取り入れたアニメーション作品になっています。
これまでの宇宙世紀ガンダムシリーズは、『機動戦士ガンダム』を担当していたフィズサウンドの流れをくむ音響効果が主流で、皆さんが聴き慣れているモビルスーツの起動音、またビームライフルの音など「ガンダムの音」を担っていましたが、本作では劇中で描かれるモビルスーツの性能・設定もガラリと変わるタイミングだったので、新たな音を模索するために音響演出を笠松広司さんにお願いしました。
笠松さんは最新技術を駆使しながら、フィズサウンド系の音をリスペクトした上で違和感どころか、さらなる高揚感すら感じる音を作り上げていただきました。ビーム発射音なども素晴らしく、良い仕上がりになったのではないかと思っています。

――各所のさまざまな新たな試みが、『閃光のハサウェイ』という作品の中でうまく融合させることができたのですね。

小形 そうですね。いいフィルムになることは途中で確信していたんですが、最後のドルビーアトモスによる音が入ったことで、ビジュアル・音響体験において「本当に新しいものが出来た」と実感することができました。

>>>『閃光のハサウェイ』場面カットを見る(写真9点)

(C)創通・サンライズ

当記事はアニメージュプラスの提供記事です。

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