『マイティ・グース』レビュー:爽快感と歯ごたえある難易度を両立させたアクションシューティング



笑えるうえに気分爽快! 6月5日にリリースされた『マイティ・グース』はそんな作品だ。アクションゲームの楽しさをシンプルに教えてくれる。しかし、それだけではない。シンプルな楽しさの中に、『メタルスラッグ』や『魂斗羅』といったアクションシューティングの名作たちへのリスペクトが溢れている。いわば、アクションシューティング愛に満ちた作品といえるだろう。



『メタルスラッグ』や『魂斗羅』の流れをくんだ新作アクションシューティング





『マイティ・グース』は、PlayStation5、PlayStation4、Nintendo Switch、Xbox One、PCといったプラットフォーム向けに発売されたアクションシューティングゲーム。主人公は、伝説の賞金稼ぎマイティ・グース。こう書くとカッコいいが、マイティ・グースはガチョウだ。ただ、ガチョウといっても宇宙最強のガチョウであり、武装したビジュアル面もあいまって、結局のところカッコイイ。プレイヤーはそんなマイティ・グースを操り、宇宙の支配者ヴォイド・キングに立ち向かっていく。



ゲーム内容は『メタルスラッグ』や『魂斗羅』といった横スクロールアクションシューティングの流れをくんだものとなっている。プレイするととりわけ『メタルスラッグ』の影響が強いことに気づくだろう。



マイティ・グースのメインアクションは、メインウェポンによるショットとジャンプ。メインウェポンはジャンプと組み合わせることで上下左右の撃ち分けが可能。メインウェポンの種類はアイテムを獲得することで変更でき、弾丸を撃ち尽くすとノーマルショットへ切り替わる。この辺りの仕様が、先述したように『メタルスラッグ』を強くイメージさせる。



さらに、マイティ・グースは乗り物に乗り込むことができる。そのひとつである「ウォーマシン」は、ジャンプ可能なデフォルメ戦車というビジュアル、そして180度に方向切り替え可能なメインショット…という仕様からここでもとりわけ『メタルスラッグ』感が強い。



そもそも本作は『メタルスラッグ』や『魂斗羅』といった作品からの影響を受けていると明言している。なので、こうした作品の流れをくんでいることは全く問題ない。重要なのは、影響を受けただけで終わっている作品あのか、それとも本作ならではの要素があるのかという点だろう。そして本作は、独自要素がバッチリ、タップリ用意されている。



ド派手なビジュアル演出で超爽快感!





まず、本作ならではの要素といえるのがビジュアル表現だろう。『メタルスラッグ』や『魂斗羅』といった名作アクションシューティングたちはいずれも、グラデーションを使ったリアル志向の彩色を行っていた。一方本作はいわゆる「アニメ塗り」と言われる彩色。さらにコミカルでポップなキャラクターデザインもあいまって、カートゥーンアニメを思わせるビジュアルテイストに仕上がっている。



ポップなビジュアルが持つイメージを損なうことなく、動作は非常に軽快。さらに、大量の敵キャラ、数多くの銃弾、そしてド派手なエフェクトが入り乱れるため、超ド派手。爽快感と興奮で、アドレナリンが噴出せずにはいられないビジュアルだ。



とはいえ、『メタルスラッグ』や『魂斗羅』を知る人なら、「爽快」と聞いても「本当にそうなの?」と疑うかもしれない。『メタルスラッグ』や『魂斗羅』も爽快感に溢れる作品なのだが、同時に高難易度を誇る作品でもあった。なので、それらの流れをくむ本作もまた、難易度が高いのではないかと考えてしまうのではないだろうか。そしてこの難易度という点について本作はおもしろいアプローチをしている。



本作の難易度は決して簡単ではない。歯ごたえのある難易度だ。特にステージ3からググっと難易度がアップする。ちなみに、このステージ3から難易度がアップするという仕様も、『メタルスラッグ』『魂斗羅』といった作品へのリスペクトを感じさせる。

『メタルスラッグ』も『魂斗羅』も、いずれもアーケード出身のゲーム。アーケードゲームは、プレイヤーを楽しませつつ、しっかりプレイ料金を回収するため、ステージ1、2はカンタン、ステージ3から一気に難易度アップ……というバランスにすることが多かったのだ。とはいえ、本作はただ難易度が高いわけではない。プレイヤーを支援する様々な要素によって、難易度が調整されるのだ。



まずはプレイヤーアクションのひとつである「ローリング」。ボタンを押した瞬間、横方向へ高速移動するアクションで、出した瞬間は無敵となる。「ローリング」はジャンプ中に繰り出すことも可能。なので、たとえ大量の弾幕が画面を埋め尽くしても、「ローリング」を繰り出せばOK。このアクションのおかげで、一見ピンチに見える状況であっても、意外とノーダメージで切り抜けることができる。



プレイヤーアクションでいえば、「下撃ち」も見逃せない。ジャンプ中下方向+ショットボタンで下向きに撃てるというアクションなのだが、特徴的なのは、撃った際反動で少し空中に上昇できるということ。このため、ショットを連射するとホバリングのような動きが可能になる。

つまり、本作には「ジャンプ」、「ジャンプ→ローリング」、「ジャンプ→下撃ち」と、大きく分けて3種類の空中軌道が用意されているのだ。このため、アクションに慣れれば画面を縦横無尽に動くことができ、それだけ被弾率が下がっていく。



また、プレイヤーアクションにはセカンダリウェポンも用意されている。メインウェポンとの大きな違いは、ステージ開始前に選択してステージに持ち込むという点。メインウェポンはステージ内でランダム出現したものを手に入れるという形で、弾切れしたら使えなくなる。なので、常に得意な武器を使えるとは限らない。

一方、セカンダリウェポンは得意な武器を使い続けることが可能だ。セカンダリウェポンというと、手りゅう弾のように、高威力だが弾数制限があって間合いが狭い武器を思い浮かべるかもしれない。しかし本作のセカンダリウェポンは、「武器」という範囲だけにとらわれるものではない。

手りゅう弾的な「チョンカーボム」も用意されているが、シールドを発生できる「反射グワー」なども存在しており、メインウェポンの補足武器というより、立ち回りの中心になるものと言っていい。自分のプレイスタイルやステージの特性に合わせて装備を切り替えれば、攻略難易度を随分調整できるだろう。



プレイヤーアクション以外にも、難易度に影響する要素がある。そのひとつが「チップ」、これは、プレイヤーキャラクターの能力を底上げしてくれる要素。いわゆる「装備」のようなものだ。消費エネルギー内であれば複数の「チップ」を装備可能。これによって例えば、下撃ち時の反動を大きくしたり、敵の上で「ローリング」がバウンドするようになったり……といった能力強化が行える。



そして、「コンパニオン」。これはいわゆる仲間キャラクターのこと。保有している「コンパニオン」の中から、各ステージ1人を選んで連れていくことができる。連れて行った仲間はNPCとして自動的に動き、それぞれ固有の能力でプレイヤーをサポート。たとえば「バーク司令官」であれば、メイン武器である「マシンガン」を定期的に供給してくれるため、火力を維持することが可能だ。



こうした要素の組み合わせによってプレイヤー側は強化され、難易度を調整できるのが本作の特徴といえるだろう。ただ、これだけではない。最も難易度を軽減してくれる要素が、ステージ内での武器&乗り物購入だ。これは、敵を倒した時に出現するコインによって武器や乗り物を購入できるという要素。



コインがなければ購入できないのだが、逆に言うと、コインさえあれば、いつでも購入できる。ボタン一発でスマホのような携帯端末から購入。即座にその場へ配達される。乗り物に乗ると、マイティ・グースのHPではなく乗り物側のHPが適用されるため、「HPが減ってピンチ!」という状況で乗り物を召喚すれば、ピンチを打開することができる。この仕組みを計画的に利用すれば、難易度をかなり押し下げることが可能だ。



ここまでに紹介した内容は、ただプレイヤー側に有利なだけでなく、いずれも見た目的にカッコよかったり、にぎやかだったりする。だからこそ本作のプレイ感は爽快! 『メタルスラッグ』や『魂斗羅』といったゲームに苦手意識を持っている人であっても、本作であれば爽快感を味わえるハズ。かなり間口の広い作りになっていると感じた。



アクションの醍醐味! プレイヤースキルで難局を切り抜ける楽しさ



ここまでを読んで、「なーんだ、初心者向けのゲームか……」と思わせてしまったかもしれない。が、決してそうではない。本作には確かに、プレイヤーをサポートする様々な要素が用意されている。しかし、どの要素も「選択しない」ことができるようになっているのだ。これはおそらく開発者側のポリシーとして実装したものに違いない。



どういうことかというと、セカンダリウェポンも「コンパニオン」も、初期装備は「まったく効果のない」ものが設定されているのだ。セカンダリ武器の初期装備「ガチョウがグワー」は、マイティ・グースが「グワー」と鳴くというもので、それ以上の効果はない。そして、「コンパニオン」の初期装備「レギュラーダック」は、特に強くないが、いつもそばにいてくれるという存在。



後から手に入る装備を強く見せるため、初期装備ということで弱い設定にしているのかもしれない。確かにそういう側面はあるだろう。ただ、セカンダリウェポンについては、「チョンカーボム」がデフォルトになっていたとしてもゲーム的には問題なかったはずだ。なので、あえて「まったく効果のないもの」を用意したと考えるのが自然だろう。

だからこそ筆者は、これを開発者側のポリシーだと踏んだ。つまり、腕に自信があるなら、強化要素の存在しない装備を選び、ステージ内の武器・乗り物購入も利用せずプレイしてみろよ、ということに違いあるまい! 筆者はこういう挑戦状的ポリシー、好きだ。けど、そこまで腕に自信があるわけではないので、まずは一度、ゲーム内要素をフル活用してクリアしてから、二週目に縛りプレイを行いたい。



実際本作は歯ごたえのある難易度だが、理不尽な難易度ではない。敵キャラクターの動きはしっかりパターン化されているため、テクニックさえあればローリングや下撃ちといった基本アクションだけで十分クリア可能だ。なので、『メタルスラッグ』や『魂斗羅』を攻略するような歯ごたえを求めているなら、是非初期装備でプレイしてみよう。そこでは、腕前ひとつで難局を切り抜けていく楽しさが味わえるハズだ。



ちなみに本作、敵キャラクターのパターンだけでなく、ステージの構成もよく練られている。基本的なアクションだけで乗り越えられるように設計された、チュートリアル的なステージ1。続くステージ2では、高速スクロールで一輪バイクを使ったバトルが味わえる。そして難易度がアップするステージ3は、次々敵が押し寄せてくる闘技場的ステージ……と、ステージ毎にしっかり異なるコンセプトが用意されているのだ。これは楽しい。



アクションシューティング好きなら満足できる一作!コミカルな世界観も魅力



まとめると本作は、骨太な難易度を持ちながら、難易度調整としてプレイヤーキャラクターのカスタマイズを用意することで間口を広げたアクションシューティングだ。何度も繰り返してしまっているが『メタルスラッグ』や『魂斗羅』といったアクションシューティング作品が好きな人なら、満足できると思う。

また、ゲーム性の部分だけでなく、コミカルなキャラクターや世界観も魅力。プレイ中挿入される会話シーンにはナンセンスなネタや皮肉なネタが散りばめられており思わず吹いてしまうほど。こちらは、インディゲームの金字塔といえる『キャッスルクラッシャーズ』を作ったデベロッパー、The Behemothのテイストに近い。なので、The Behemothの世界観が好きな人も、是非プレイしてみてほしい。



文/田中一広

当記事はガジェット通信の提供記事です。

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